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なぜ先生やコーチは大勢の子どもにうまく話を聞かせられるのか?

話を聞いてくれない子どもにしっかり話を聞いてもらうようにするポイントについて、前回「話を聞かない子どもがガラリと態度を変える『魔法の姿勢』」で紹介してくださった無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』。今回は、大勢の子どもたちがしっかりと大人の話を聞けるようになる方法を伝授しています。

ちゃんと聞きなさい!~先生・コーチ編~

話を聞かない子どもがガラリと態度を変える『魔法の姿勢』」では、「子どもが大人の話をちゃんと聞かない」との問題を取り上げました。「どうすれば、子どもが大人の話をしっかり聞けるようになるか」のポイントを3つ、

1.聞かせる前に聞く
2.聞いて嬉しい内容で
3.子どもに成功体験を

をお伝えしましたね。「3つのポイントを押さえたコミュニケーションを続けていれば、子どもはやがて、大人の話をしっかり聞けるようになる」とお伝えしたところ、読者の方から「一度に大勢の子どもを相手している時には難しい」とのコメントをいただきました。

私もサッカーのコーチをしているので、よく分かります。10人、20人、30人の子どもを前にして、「大人の話を聞かせる前に、子どもの話を一通り聞く」なんて、事実上不可能ですよね。

そこで今号では、先生やコーチなど、多数の子どもに接する方に、「子どもが大人の話をしっかり聞けるようになる」ための方法をお届けします。

※ 便宜上、サッカーチームのコーチの立場を例に書いています。他の立場でご活用いただく際には、一部の言葉を置き換えてお読みくださいね

1.聞かせる前に聞く→1人1人の行動を見る

1人ずつ「話を聞いて」いては、時間がいくらあっても足りません。「話を聞く」代わりに、「行動(スポーツならプレー)を見て」あげましょう。ただ漠然と・漫然と見るのではなく、

・短時間でも良いので1人ずつに焦点を当てて
・プレーの中に、子どもの意図(あそこにパスを出したかった、ドリブルで右に抜けたかった、など)を見つけること

がとても重要です。言い換えれば、「プレーの中に表れた意図を読み取ること」で、話を聞くことに代えるわけです。

2.聞いて嬉しい内容で

子どもは、新しいことにチャレンジしては失敗して…を繰り返して成長するもの。なので、プレーの結果(出来・不出来)を話題にすると、どうしても失敗=ミスを指摘する厳しい内容になりがちです。

「ボールを取られちゃダメじゃないか」

─そんなこと、子どもだって百も承知です。取られたくて取られているわけではないのに、この言い方では進んで話を聞きたい気持ちにはなれませんよね。

「あそこでは、左に行くべきだった」

─思い出してください、子どもは“自主性・主体性”に溢れた存在。一方的に言われると、吸収が悪い素材でできています(笑)。触れるべき話題は、子どもの意図を認めること。かけるべき言葉は、意図を持ってプレーしたことへの褒め言葉です。

「ユウトは今、ケイスケにパスを出そうとしたんだね!」
「ちゃんと周りを見て、自分で考えたんだね。良いプレーだ!」
「その調子で行こう!」

そこに加える形で、子どもに伝えたいことを前向きに言い添えましょう。

「今度は、右だけじゃなく、左の方まで全部見られたら、もっと良いプレーができるよ!」

結果へのダメ出しは、もうひとつ大きなデメリットがあります。意図を持って行動している子は、誰よりも自分で失敗を痛感しているもの。そこへ重ねて厳しい指摘を受けてしまうと、失敗の可能性のある行為、つまり次のチャレンジ自体への意欲を失いかねない恐れがあるのです。

また、仮に意図を持ったプレーではないと見えた場合に、「意図を持たずにプレーしたこと」にダメ出しすることも、不適切です。その子が「意図を持たずにプレーした」理由は、

・考えて意図を持ってプレーする余裕がないか
・どんな“意図(=プレーの選択肢)”があるのかを知らない

のいずれかです。これはどちらも、コーチ側の課題として受け止めるべきもの。

・意図を持つことの大切さを伝えつつ
・顔を上げて周囲を見る(=余裕を持って意図を持つ)ことができるようなトレーニングを実施し
・子どものレベルに応じたプレーの選択肢(≒戦術など)を教えていくこと

でじっくりと対応していきましょう。

3.子どもに成功体験を

コーチからのアドバイス(前の例で言えば、右だけでなく左まで広く見る)通りに子どもがプレーしようと意図したら(結果の如何にかかわらず、意図しただけでOK!)、すぐにその姿勢を認める声をかけてあげましょう。

「ユウト、いま右も左もちゃんと見ようとしていたね!素晴らしい!続けていれば、必ずできるようになるよ!」

やがて、結果まで出せるようになってきたら、最大限の賛辞を贈りましょう。

「ユウト、右も左もしっかり見て、いちばんいい所にパスを出せたね!すごく良いプレーだったよ!」

このように接することで、子どもに下記のような体験をいっぱいさせてあげられたら、理想的です。

─自分なりに考えて工夫したり努力したりすれば、コーチは認めてくれる

─コーチに言われたことに取り組んでみても、コーチは認めてくれる

(ただ、新しいことはチャレンジしても失敗ばかりで全然うまく行かない)

(しかも失敗の度にボールを奪われたり、点まで取られたり(泣))

─でも、失敗してもコーチはチャレンジした気持ちを認めてくれる

─チャレンジし続けていたら、ある日、うまくいった

─すごくうれしかったし、コーチにも褒めてもらえた

10歳未満の子どもは、やはり個人個人への声掛けが重要です。とは言え、コーチ1人:子ども20人、あるいは先生1人:子ども30人などの状況では、全員をしっかり見て全員に声をかけることはかなり難しいですよね。それでも、子どもの姿勢を認める声掛けは、全体に対してではなく1人1人の子どもに向けて言ってあげましょう。1回の練習、1コマの授業で全員に声をかけられなくても大丈夫!この意識を持って、まずはできる範囲から取り組んでいくこと、心に留めていただければ嬉しいです!

image by: Shuttestock.com

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【著者】 パパコーチ くろさわ 【発行周期】 週刊

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