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事前情報は一切、無視。新年度に新しい上司を正しく迎える方法

新年度を新しい職場でスタートするという人、新たな仲間を迎える側に立つという方、そのどちらにとっても気になるのが「人間関係」ではないでしょうか。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役小学校教諭の松尾英明さんが、異動する人、受け入れる側それぞれが意識すべき心がけをレクチャー。事前に流れてくる「噂」の扱い方はなるほど納得、ですよ。

人事異動心得帖

全国で、人事異動の発表がなされている。異動先への不安を抱えている人も多いことと思う。

ちなみに、不安を抱えるというのは、希望がある証だという。うまくいくかもしれないという可能性が十分にあり、希望をもてるからこそ、不安になる。

例えば、宝くじを買って、3億円が当たるかどうかに不安を感じる人はまずいない。それはさすがに外れるだろうとわかっているからである。希望が本当にごくわずか、一縷しかないから、外れることへの不安は感じない。

例えば、好きな相手に気持ちを告白しようとする。確実に無理とわかっている場合、まず恐らく挑戦すらしようとしない。チャレンジしている時点で、多少なりとも希望を抱いている。だから、セットで不安もくっついてくる。

授業や講演等で準備をどんなにしても、本番への不安が完全には消えないのも、そのためである。受験でも同様で、完全に無理という場合の記念受験なら不安は感じないが、合格を目指す場合は不安になるはずである。

不安を感じていること自体、可能性を強く感じている証拠である。次がうまくいくかもしれないという可能性が、不安を生んでいる面がある。

さて、この異動についての不安が、学習会の相談でも出た。ここについて、学習会で答えたことに加筆して述べる。

まず、異動者自身。

どうせ自分の思うようにうまくいく訳がないと、覚悟を決める。ここは最も大切なポイントである。

「あきらめる」=「明らかに認める」ということである。そうすることで、まず先の原理により、不安を多少なりとも軽減することができる。

さらに、あきらめることで、謙虚になれる。それは、あなたの能力がどうこう関係なく、今までと違う水に入るからである。今の場に長くいるほどその水に馴染んでいるため、新たな水への適応には余計に時間がかかると思ってよい。

最初は、やらせてもらえることをまず徹底的にやらせてもらう。何も知らないのだから、教えてもらいまくる。どんなに前の職場でリーダー的な立場にいたとしても、関係がない。自分色を前面に出すのは、まずそこの風と水の流れを感じ、最低限のマナーやルールを知ってからでよい。

次に、異動者を受け入れる側である。一般的に、こちらの立場であることの方が多い。

一番大切なのは、異動者に関して事前に流れてくる周囲の噂を一切信じないこと、無視すること。悪い噂はもちろん、評判が良すぎる場合も同様である。他人の作った色眼鏡で見ないことである。自分の眼と耳と心で接して、判断すべきである。

人の噂は、フィルターを通った「情報」=「感情の入った報せ」である。しかも厄介なことに、良い噂より悪い噂の方がよく広まる傾向がある。ニュースがネガティブに溢れていることからもわかるが、これは人間の本能であり、止められない。

悪い噂は、その人のことを個人的に嫌いな人が意図的に作って流していることがかなり多い。そして、悪い噂を熱心に流す人自身が「良い人物」といえるかどうかを考えれば、さもありなんというところである。過半数が「良い」という評価の人であっても、数%のアンチの意見だけが一人歩きするのが情報・噂の正体である。

実際今までも、噂話はほとんどあてにならないどころか、有害でしかなかった。実際に会ってみたら、人間味に溢れた素晴らしい人物だったということが一度や二度ではない。前職場でのネガティブ情報は、その人に「叱られた」「負けた」と感じている人が流していることが多いからである。

だから特に管理職の方の場合は、ネガ情報が回りやすい。実はこの噂を流している人々が、さぼって不正をしていたからこそ、正しいこの人によく注意されていたのではないかと推察する。管理職の方が立場も実力も上で、真正面では歯が立たないため、裏で噂を流すしかやり返す方法がないのである。要するに「赤ちょうちんの愚痴」の結果である。

とにかく、まっさらの状態で自分が実際に見た相手の人物そのもので評価した方が賢明である。第一印象はもちろん大事だが、長く付き合ってみないとその人の本当のことなどわかったものではない。

そのためにこちらができることは、最初はとにかく親切に教えることだけである。自分がやられたら嬉しいことをする、嫌なことをしない、という子どもに常日頃教えていることを実践するだけである。

いずれにせよ、時間が経てばわかる。一緒にいる時間が長いほどわかる。そして、自分が悪い評価を与えた相手は、大抵相手も自分をそう評価しているものである。親切にして感謝を伝え続けた相手であれば、相手もそう返してくるものである。

気持ちの良い職場づくり、学級づくりは、4月が肝である。新しい環境では、お互いに思いやりをもって気持ちの良いスタートを切りたい。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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