腰抜けニッポン。中国包囲網に大穴をあける菅政権の“媚中売国”病

 

煮え切らぬ日本の対中姿勢

これに対して、欧米諸国からなる中国包囲網はもちろん反発し、中国が嫌がる新疆ウイグル地区での人権侵害のクローズアップと非難、南シナ海での米英艦隊を中心としたプレゼンスの強化、台湾問題のクローズアップと対立構造の明確化、そして尖閣諸島問題を巡る日本との共同歩調の強調による“対中シールド”のアピールを行っています。

しかし、これまでより結束が高まっていると思われる中、まだ効き目が薄いのが、残念ながら日本の煮え切らない対中姿勢が理由にあります。

ミャンマー問題についても懸念は示しても動かず、新疆ウイグル問題についても懸念に留まり、対中包囲からは距離を置いています。ゆえに、米国務省の分析で用いられた表現を借りると、【日本のはっきりしない態度ゆえに、包囲の網に大きな穴が開いている】という状況になっていると認識されています。

そこに同じく国内で民族問題や分離独立の問題、そして人権侵害の疑いがあるロシア、トルコ、サウジアラビア王国などの中東諸国、そしてエチオピアをはじめとする東アフリカ諸国などの「戦略的な沈黙」が加わり、結果として、中国の強硬姿勢が、勢力圏拡大に寄与しているのではないかと考えられます。

米バイデン政権は、期待以上に中国に対して強硬姿勢を示し、それに欧州各国も協調への復帰という名の下、同調していますし、そこにアジアのライバルであるインドと、中国と袂を分かつことを決めたオーストラリアが加わって、中国への圧力を強めていますが、なかなかcompleteしないのは、Quadをリードしているはずの日本の姿勢ゆえかもしれません。

日本外交の基本は日米関係の強化にあるというのが変わらない方針ですが、メディアなどでその強化がクローズアップされる裏で、米英のアジアにおける再接近が、もしかしたら日本が胸を張るQuadを有名無実化する結果になるかもしれません。

アメリカのペンタゴンおよびインド太平洋軍の最新の分析によると、6年以内に中国が台湾(本島から1,500キロ離れた、台湾が領有を主張する島も含む)を攻撃し、アメリカを含む同盟国はそれに対抗しなくてはならないとの見通しがありますが、アメリカとの最も強い同盟関係を自負する日本はその時、米中の狭間でどのような結論を出すのでしょうか?

空想ではなく、現実に起きうる事態・懸念と想定して具体的な対応を迅速に決めておく必要があると考えます。ロシアのように、中国の衛星国に日本がならないためにも。

皆さんは、どうお考えになりますか?

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