3.人がブランド、商品はパーツ
実店舗はブランドを表現するのに適していた。実店舗というパッケージには、ブランドイメージを伝えるショップデザインがあり、商品とそれを着用している販売員がいる。それらの全ての要素がブランドイメージを演出している。
しかし、ネットショップでは商品は商品で検索される。基本は単品であり、トータルなイメージを訴求するのが難しい。そういう意味では、特定のインフルエンサーが複数の服を複数のコーディネートで着用した写真をインスタグラムに上げるほうがブランドイメージを訴求できるだろう。
というより、インフルエンサー自身がブランドであり、商品は、そのパーツに過ぎないのではないか。商品を主役に考えるのではなく、人を主役に考える。店舗からネットへの転換は、商品から人への転換でもあるのだ。
4.初めに商品か、コミュニティか
ここまでの仮説が正しければ、ネット販売のマーケティングは店舗流通のマーケティングとは根本的に異なるだろう。店舗は商品の入れ物であり、商品を全国に並べて、全国の人に見せることで売上を上げていた。しかし、商品を検索できるようになり、店舗の優位性は崩れた。
一方で、店舗とは商品を販売するだけの場所ではない。半日以上、店で過ごし、店長や販売員と会話し、「話を聞いてくれたから」という理由で商品を購入していく顧客も存在する。商品の決済だけならネット通販で十分だが、ネットでは人とのふれあいは存在しない。実は、ネット通販も同様だ。商品だけを並べてあるネット通販は最終的に価格競争に陥る。価格競争したくなければ、オンリーワンの商品が必要である。
商品が介在しなくても、多数のコミュニティがネット上には存在している。まず情報発信者がいて、そのファンが集まり、その中で商品企画が生れ、その経過を紹介し、最終的に商品が完成し、それを販売する。初めに商品ありきではなく、初めにコミュニティありきの方がネット通販では王道かもしれない。