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なぜ、日本の親は幼児期の自慰行為を「激しく叱って」しまうのか

日本の性教育はとても遅れている、とよく言われています。親が幼児期の「性」への関心に対して不安を抱いてしまうのも、そのせいのようです。今回の無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』では、幼い頃に自慰行為を親に強く叱られたことで心に傷を負ってしまった方が、著者であるパピーいしがみさんの話を聞いて救われたというお話を紹介。そして子どもへの性教育のあり方について詳しく語っています。

自慰行為と心の傷

こんばんは。パピーいしがみです。

今日のメルマガは「自慰行為と心の傷」としました。

今回、この内容についてお話ししようと思ったのは、ある会員さんから「自慰行為を子供の時に叱られた」お話を伺ったからでした。幼少期のお子さんが自慰行為をしていれば、それを見た親は驚くでしょう。特に、思春期であればまだしも、かわいい盛りの3、4歳の子供が自慰をしていたら、お母さんにとってはものすごいショックで「やめさせなきゃ」と思うのも不思議ではありません。

以前、私は「性教育の準備」というタイトルでメルマガを書いた時も、日本の性教育はとても遅れていて、その為に、私たち自身も「性に対する認識が乏しい」ともお伝えしました。私たちが幼児期の自慰行為を見た時に、強い不安感を感じたり、いきなり叱ってしまったりするのも、そのせいです。

子供の自慰行為は、思春期のような「性への興味」でするものではなく、「自分の体にはこんなところがある」という単純な発見からのものなのですね。でも親は、いろいろ知っていますから「その行為=汚らわしい」とか「子供がするものではない!」と思ってしまうのです。

そして今の一般的な考え方は、幼児期に自慰行為があっても「とても自然な事で、心配する必要はない」とされています。ただ幼稚園や保育所など、人がいるところでやったり、それを推奨したりする必要は全くないのですが、叱ったり、怒ったりしてはいけない事。その行為を否定することはやめてほしい、と言われています。

では、実際に怒られた時、子供はどう感じるのか、ご報告を頂いた会員さんからの声をお聞きいただきたいと思います(匿名を希望されていますのでTさんとさせて頂きます)。

私は性に興味を持ったのが比較的早かったと思います。

まだ小さかったので、それが何なのか、何を意味するのかはわかっていなかったです。ただ、ここを触ると心地よかったり気持ちよかったり安心したり…、そういう感覚がありました。

けれどそれを見た親はびっくりして戸惑ったのだと思います。強く怒られ、やめるように言われました。でもやめられない、その都度怒られるという繰り返し…。

訳もわからず怒られる私は何がなんだか、何がいけないのかわからないけれど、ただ親を悲しませてしまった、ダメなことをしたのだと思いました。ダメなことをしている、この思いは消えることなく続き、自分は他の人とは違っていやらしい人間なのだと思うようになりました。

こういうパーソナルな話って、特にすることがないですよね。だから、自分は異常なのではないかという思いが抜けなかったのだと思います。私はあの時何と言われたかったのだろう…と思った時、やはりパピーさんのように言ってもらいたかったなと思います。

(テキスト中の)パピーさんと息子さんのやりとりの中では、息子さんが純粋に性に興味を持っていて、それに向き合って誠実にパピーさんが答えられていた姿が想像できたし、もちろん息子さんは萎縮することなく、自然に性を受け止めていた様子だったでしたよね。

興味を持つことは不思議でもダメなことでもなんでもない。けれど、一人ひとり大事なものだから、あまり人に見せるものではないんだよ。たったこれだけでよかったと思います。ずいぶん心が救われたんじゃないかなと。

Tさんも書かれていましたが「それを見た親はびっくりして戸惑った」のでしょうね。そして「強く怒り、その都度、やめるよう」に厳しく叱られた、とありました。

怒る事、叱ることがプラスにならない事は、もう何度も話してはいますが、特に今回のように、まだ何も知らない子供に。それも不純な思いも持ってもおらず、ただきつく叱られた子供は「何が何だか、何がいけないのか分からない」という感覚になってしまい、自分を卑下する気持ちを抱き、それがずっと尾を引いてしまった、という事に、とても切ない気持ちにさせられたんですね。

「叱る」や「怒る」は、私たちにとって「そういう事はしてはいけないよ」と教えたい意味もあるのですが、「教える」の前に、「叱る・怒る」をしてしまったとても残念な例でした。

そしてこのご報告を機に、幼少期の頃、自慰行為を親に叱られた子がどのような思いを抱いていたか?をちょっと調べてみましたが、ほとんどの方が「安心感」や「落ち着くから」。もしくは「寂しさを忘れられる」という思いでしたことでした。なのにそれを、とてつもない怒られ方をして、Tさんのように「何でこんなに叱られるの?」という強烈な不安と大きな罪悪感を心に刻みこまれてしまったそうです。その時の恐ろしさが、ずっとトラウマのように頭にこびりついて離れず、強い羞恥心を抱き、消えてしまいたい…と、幼少期からずっと抱え続けていた人も少なくないようです。

Tさんの場合は、「自分自身の問題の解決にも繋がれば」との思いで、学生の頃に、大人ではなく同じ目線の10代・20代の仲間で話し合いながら性を学ぶという事業に参加された、との事でした。そこでご本人も勉強をすることで、悪いことじゃなかったんだ、自然な事なんだ、と知って、ご自分への嫌悪感もなくなっていったようです。でも、もし幼少期にお母さんが頭ごなしに怒らないで、丁寧に教えてくれたら、こんなに長い間、自分を責めずに済んだろうと思うのです。

この「幼少期の自慰問題」は今も少なからず相談があります。その時、私は「叱るのではなく、ゆっくり丁寧に話をしてあげてください」とお願いします。一番大事な事は、お母さんの先入観を取り除くこと。「何も悪いことではない」し、「子供は偶然に、その場所がある事を知ってしまっただけ」だとお母さんが理解して頂くことです。

その後で子供には、その場所はとても大事なところでであること。そして汚れた手で触ると病気になってしまうこと。又、人前でするのは恥ずかしいことだから、1人になった時を選ぶこと。その時に、一緒に「水着ゾーン」や、大事なところだから人にも触らせないことなど、「まだ早い」と思っても性について教えるスタートラインに来たんだ、という事を理解してほしい、とお願いします。

ちなみに先ほどのTさんは、成長してからの「話し合いながら性を学ぶ事業」の中でカウンセラーとして参加するにあたりいくつか研修を受けて、性は生、生き方に繋がるということ。幼い頃からの母との関わりから性教育は始まっているということ。性には3つの目的(生殖・快楽・連帯)があるということ。性器の形が人と違うと悩む思春期の子たちもいるが、顔と同じように個性なので全く悩まなくていいこと。などなど、今まで知らなかったことをたくさん教えてもらい、中高生を対象の事業でしたが、「もっと小さな頃からしないといけないよね」と話しあったことを覚えているそうです。

「性教育はいつから必要?」という疑問に対して、多くの方が「思春期になってから」「でもなんと言えばいいのかわからない」とお考えだと思います。ですがTさんも言われていたように「幼い頃からの母との関わりから性教育は始まっている」のですね。そしてまずは「いつ興味をもっても不思議ではない」という事を頭に入れておいてほしいし、「いつからでも始められるような心づもりをしておく」ことをお願いしたいと思います。

それに、今は性に関する絵本もありますし、ユーチューブで調べてみると、親としての考え方についてお医者さんや専門家が話している動画もあります。ですから「いけない事ではない」そして「正しく教えてあげる」ことをご認識頂いたいな~と思います。

ちなみに「性教育の準備」の記事は下記のとおりです。

性教育の準備

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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