なぜマンションで風呂の残り湯を貯めることが防災対策にならないのか

 

図面を見ればわかる…かというと、必ずしもそうでないところがやっかいです。竣工図面は、当初の設計図面から変更になった部分を修正していないことも、少なくないのです。調査をしてみると、竣工図面とはかなり違う場所を通っていたり、施行の都合でかなり無理な配管になっていることもあります。排水桝の位置や深さが違っている場合もあります。経年によって地盤沈下の影響を受けている場合もありますし、当初から必要な勾配が確保されていない場合すらありました。

専門家と共にしっかり調査すると、どの部分が地震に弱いか、水害時にどこから水が逆流するか、といった弱点も見えてきます。それが、防災を考える上でも、災害時の調査・復旧の上でも、重要になってきます。

なかなか専門家に依頼しての調査までできないと思ったら、まず、図面を確認して、雑排水管清掃の時に、業者に同行して、桝の位置や深さ、そこにどこから配管が来ているか…そこからどこに向かっているのか…を確認するだけでも、かなりのことがわかります。こちらが、真剣に敬意を持って立ち会っていると、排水設備を扱うプロとしての「生の声」が聞ける場合があります。

「ここは、もともと勾配が確保されていない」
「この場所は、地震の揺れが大きいと破損しやすい」
「ここの構造が詰まりやすい」

といったことです。私は、よくそうやって、情報収集していました。

まずは、自分のマンションの排水経路に意識を向けてみましょう。「弱点」を知っていることがいざと言う時の一番の「強み」になります。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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