MAG2 NEWS MENU

最悪の場合、倒産も。クレームを甘く見ている企業ほど痛い目に遭う

クレーム対応は企業の存続にも関わるといっても過言ではありません。今回の無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』では著者の川岸宏和さんが、まず、クレームを0に近づけるための教育法と発生時の教育について語っています。

従業員教育の重要性 従業員に当事者意識を持たせる

金属異物で歯を折ってしまうと、偽歯を入れなくてはなりません。一度自分の歯で無くなってしまうと、10年に一度は新しい歯に変える必要が出てきます。

歯を失ってしまうと一生保障する必要が出てきます。自分の子供の永久歯が生えてきたばっかりの時にパンに入っていた金属異物で永久歯が折れてしまったとしたら、あなたはパン屋さんにどんな保障を求めますか。きっとお金を積まれてもパン屋さんを許さないと思います。

従業員全員に自分の家族、自分の子供がクレームを受けたとして対応するように教育することが大切です。「どうせクレームは暇な営業が対応してくれるよ」と思っている工場はクレームは決して無くなりません。

クレームは必要悪と考えている工場長もいると思います。クレーム処理専門の部署、クレーム対応専門の社員を採用している工場もあると思います。「クレーム処理が無くなれば仕事が無くなるから適当にクレームがあった方がいい」などと考えている従業員もいると思います。しかし、クレームを0に近づけるためには、クレームに対して全従業員が当事者意識を持つことが大切なのです。

「従業員の方が使用している包丁の先が欠けてしまっているのを気がついたときにどうしたらいいか」、「使用している設備のビスが抜けているのに気がついたときにどうしたらいいか」、「ミキサーの端が欠けているの気がついたときにどうしたらいいか」等について従業員、原料仕入れ業者に対して充分な教育が必要になります。

従業員教育は、クレームが発生した時に行うことも重要ですが、従業員教育を思いつきでは無く、定期的に行うことが重要です。

クレーム発生時の教育 

正確に正直に情報を公開することが大切です。従業員に対して、お客様に対して情報の透明性が大切な点になります。

クレームが発生したときは必ず正面と向かい合うことが必要です。三菱自動車の様にリコールが必要なクレームまでも、ロッカーの中に隠して、事実を公表しなくてはお客様から信用が得られるはずもありません。起こしてしまったクレームから正直に、素直に学ぶことが必要なのです。「クレームはお客様からのプレゼント」と思って、製品を更に良くすることが必要です。

食品事故は、新聞の三面記事、インターネット上の回収記事などを見ていても毎日の様に発生しています。工場の内部発見クレーム、内部発見トラブルも小さい物まで含めると毎日の様に発生していると思います。

クレーム情報は、フイルターを通さずに経営トップに伝えることが大切です。「クレームが多すぎるから」とか、「こんな小さな情報まで伝える必要は無い」とかでフイルターを都合良く変更して経営トップに情報を伝える場合がありますが、情報は全て正確に公開する必要があります。

最近は上場企業で無くてもコンプライアンス経営が行われています。コンプライアンスの基本は情報の透明性、情報の公開が基本になると思います。

従業員教育に使用する物は、社内の情報の他に「他山の石」の情報として、世の中の話題が必要になります。原材料はグローバルで手配している場合がありますので、外国の鶏インフルエンザの流行でも工場に影響が出る場合があります。

社内クレーム、世の中の情報を纏め、従業員全員に正確に公開する必要があります。工場のクレームなどの不具合状況を数字で公開し、数字を素直に教育しますクレームのデーターを昨年比、先月比などで、現在の工場の置かれている状況を従業員全員に公開します。工場の置かれている状態が悪くなっているか、昨年より良くなっているかが大切な点になります。数字の結果として良くなっていれば安心できますが、結果として悪くなっていれば、何が悪くて数字が変化しているのかを教育を行う必要があります。

注意が必要な点は、数字が悪くなった結果を従業員個人の資質にしてはいけないと言う点です。食品工場で発生しがちなミスで、工場全体に影響を与える日付ミスにしても、印字をくみ上げる従業員の資質の責任にするのでは無く仕組みで考えることが大切なのです。

ミスを犯さない仕組みをどう作り上げるかを教育することが大切なのです。

image by: Shutterstock.com

河岸宏和(食品安全教育研究所 代表)この著者の記事一覧

“食の安全”に関する多数の書籍を執筆する著者に食品工場の現場から見た品質管理の方法など、工場に勤務する人には、必読の無料メルマガ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 食品工場の工場長の仕事 』

【著者】 河岸宏和(食品安全教育研究所 代表) 【発行周期】 ほぼ 週末刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け