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The small rest of a pencil after sharpening on a white background.

小型「鉛筆削り」国内シェア8割!たった14名の町工場が起こした奇跡

ものを大事にする心、小さな子供のうちから教えておきたいという親御さんも多いのではないでしょうか。そんな気持ちに応え、身近ものでもったいない精神を学ぶことに繋げる商品を開発し、成功した企業があります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、総勢14名の町工場にも関わらず国内シェア8割を占める鉛筆削り器メーカーが打ち出したとある商品の戦略を紹介しています。

プラスチック小型鉛筆削り器専門メーカーが大切にする「もったいない」精神

今号は、国内唯一のプラスチック小型鉛筆削り器専門メーカーを分析します。

● 株式会社中島重久堂が展開している「TSUNAGO

短くなった鉛筆を捨てるのがもったいないと思っている方をターゲットに「もったいない精神」に支えられた「短くなった鉛筆を捨てないで使える」等の強みで差別化しています。

「物を大事にする心」もったいない精神を学ぶことにつながる世界初の鉛筆削り器として、国内外で注目を集めています。

■分析のポイント

今回、取り上げた中島重久堂は、総勢14名の町工場です。

14名で、国内シェア8割という実績はすごいことですし、人数が少ないことが言い訳にはならないということを示していますね。

今回のポイントは、モノづくりの「想い」です。

クライアントの要求通りにモノを作ることは大切なことですが、中島重久堂のように国内外の文具メーカーから信頼を得るにはクライアントの期待を超えていけるかが重要な要素になります。

その期待を超えるために大切なことが、「想い」です。

中島重久堂はブランドアイデンティティというものを公表していて、価値観として、「もったいないの精神」「創意工夫」「想伝」を重んじる、としています。

創意工夫を大切にされている企業は、多いと思いますが、「想伝」を重んじる企業は、あまり見ませんね。

「想伝」を重んじていることが表れていると思うのが、「自分たちの子どもや孫に恥じることのない商品を作りたい」というコメントです。

この「想い」でモノづくりをしているからこそ、創意工夫の方向性もぶれないでしょうし、結果として、信頼を得ることにつながっていくのでしょう。

今回、とりあげた「TSUNAGO」も まさに、想いが詰まった商品ですね。物を大切に使うことを肌で学ぶことができるという価値は「想い」が無ければ、生まれることは無かったでしょう。

また、「想い」を掲げることは、カンタンですが、皆に共有して、皆が共通認識で行動できるレベルまで落とし込むことは非常に困難です。

日頃から社内で想いを伝えるということをしていないと難しいですが、忙しさの中で、伝えるということは後回しにされがちです。

だからこそ、中島重久堂のように想いを社内外に伝えるということを重んじている企業の存在感が高まります。

想いを伝えることに感しては、企業の大きさは関係ないということを示してくれた好事例だと思います。

今後、中島重久堂がどのような存在になっていくのか注目していきます。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

「短くなった鉛筆を捨てないで使える」(短くなった鉛筆をつなげることができる)

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

「自社製造へのこだわり」

国内外の文具メーカーから高い信頼を得ている。

上記のような、こだわりや精神が強みを支えています。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物、売り値

「捨てるのがもったいないという思いに応えた鉛筆削り」

・TSUNAGO \3300
→短くなって使いづらくなった鉛筆同士をつなげて長くする世界初の鉛筆削り

■売り方

・東急ハンズとのコラボ「ハンズ想いをつなぐギフトセット」
→このギフトセットを1個購入すると10平方メートルの森が守れる寄付がついてくる

・Workshop TSUNAGO
→TSUNAGOの使い方、コツを学べる

・ヨーロッパ最大級のインテリア&デザイン見本市メゾン・エ・オブジェ・パリに出展
→鉛筆を削った後にできるペンシルフレークやペンシルフレークアートとともに、モノだけでなく、空間やコトについて「文創具」ブランドらしい発信を続ける

■売り場

・Amazon、東急ハンズ、Loft など

※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

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