ドアダッシュの勝算と今後の目論見は?
ではこのような競合状況の中で、ドアダッシュの優位性について考えてみます。
ドアダッシュの、日本でのサービスやサポート形態が、まだ不透明なので、あくまでもアメリカでの仕組みにおいてですが、ドアダッシュがウーバーイーツを大きく引き離した要因の1つに、ウォルマート(日本では西友ですね)や、ドラックストアと提携することで、飲食物の宅配だけではなく、日用品や日常雑貨の配達を行っているという点です。
また、ホテルとも提携しているので、対象ホテルに宿泊したら、ホテルの部屋まで、持ってきてくれる、しかも、デリバリーの配達料が無料になる、といった、仕組みと販売促進策があります。
出店する飲食店サイドからの視点で見ると、ドアダッシュで加盟店登録をすると、デリバリーの売上を上げるための戦略ややり方を一緒に考えてくれるというサポート体制があるそうです。
例えば、ドアダッシュ掲載リストに使用するメニューの写真撮影を、プロが無料で行ってくれるなどの施策が用意されているので、撮影機材や編集ソフトの用意がない、小規模飲食店でも、質の高い写真を掲載することができます。
決済システムの構築も、ドアダッシュの注文の買い物カゴを、出店する店舗が自分のお店や会社の、注文ページやサイトに組み込めます。
飲食店から見ると、自社のページを大きく変えなくても、注文ページだけ作れば、ドアダッシュの仕組みで注文を取ることができます。なので、大企業ではなくても簡単に自社サイトに組み込めますし、もちろんドアダッシュのアプリからも注文できます。
あわせて、配達員の用意などもドアダッシュに任せることができるので、最小限の追加コストで、新しいチャネルとしての、フードデリバリーサービスに参入できる点も大きなメリットです。
また、ウーバーや出前館に既に出店していても、ドアダッシュにも出店しようかな、という気持ちになるため、出店者数を増やすことに対して、優位性があると言えます。
さらに、アメリカで、スーパーやドラッグストアなど、料理以外の宅配の実績と経験があるため、フードデリバリーサービスに加えて、雑貨や食材の宅配も追加されるでしょう。
そうなると、店舗まで移動距離が長い地方で、「数時間で届く」ということになれば、利便性が増し、広がる可能性は増えるでしょう。
ドアダッシュは、都心よりも地方にチャンスがある、と強調していますが、まずは地方でテスト的に始めながらチャンスを伺う、という戦略でしょう。
これから、市場が伸びるにつれて、競争が激化することが予想されます。
その市場機会を、どのような事業コンセプトで、ものにすることができるのか、が勝負の分かれ目になります。
後発ですが、ユニークなサービスを持ち、関与する飲食店の利便性が高い、ドアダッシュの独自ポイントに、今後注目したいと思います。
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image by: Tada Images / Shutterstock.com