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さまざまな相続の中でも「不動産」がここまで揉めるのは何故か?

平和で仲良しだった家族や兄弟が揉めてしまうことが多い「不動産」の相続。何故かこじれやすい不動産相続は、どうすれば平和的解決へ導くことができるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』で著者の真井花さんが紹介するのは、意外と見落とされがちな方法でした。

使うんなら別だけど。「相続不動産」について

さて、本日はちょっと重ためのお話。

家庭の平安♪大事ですよね。みなさんもこれを大切にしようと思って、いろいろな家事のスキルや考え方を学ぼうとしているんだと思うんです。だよね?

思うんですが、この家庭の幸せや平安を決定づけているのは家事スキルなんかじゃないんですよ。もっと大きな「残業が多くて家にいられない」とか「家族や親戚と冷戦状態」とか、そういうモンが重要なんですよ。

でね。結構たくさんの家庭にとってカンケーのある大きな事情ってのがあるんですよ。それは

・不動産

です。土地と建物ですね。え?今賃貸物件に住んでいるからカンケーない?ははは。それは、あなたが不動産を所有していないということですね。でも、

・あなたの親御さん

は、不動産を所有していませんか。田舎の実家ってヤツです。

一億総中流だなんて言われた時代があったんですよ。そのせいで、ある年齢以上の人は結構な確率で不動産を所有しているもんなんです。いわゆる

・田舎の家

ってヤツです。それが、その時代の家庭の幸せに直結していたからです。

ところが、時代は変わってしまいました。家族がいつまでも同じ場所に暮らし続けるとは限りませんし家族がかつてと同じ姿、同じ関係とも限りません。でも、不動産だけは変わらず不動産のままなんです。

で、そんな不動産の存在が突然クローズアップされるときが来るんです。それは不動産の所有者、ほとんどの場合親御さんが

・死んだとき

です。死亡とともに親御さんの財産の相続が開始するからです。経済的に価値のあるもの全てが、配偶者と子供たちのものになるからです。

でね。そう、もうはっきり言いますが、他の財産…預貯金とか株とか宝石とか、これはそれぞれ良いやり方があるんでしょうがこと不動産に関しては

・処分して現金化する

一択ですね。

家庭に突如大騒動を巻き起こす

・相続不動産

のお話ですね。

どうして不動産が相続される場合にモメるんでしょうか。これは私の独断と偏見ですが、

・不動産が高額
・利害関係人が多い(配偶者・子供・孫など)
・メンテにもお金がかかる
・(特に買った本人は)思い入れがある

この4つだと思っています。

まずひとつめ。不動産は、買えるモノの中では、最も高額ですよね。あ、でっかい宝石とかもっと高額なのかしら。知らないわ( ̄∇ ̄)

購入するとき、一度に支払えないからローンを組んで数十年かけて返済していくわけで、当然売却するときも、ソレナリのまとまった金額になりますよね。この金額の大きさこそが

・欲望を掻き立てる

んですよ。会社員だろうと自営業だろうと、一生働いても得られないかもしれない金額なんですよ。そりゃ誰でも欲が出ますよね。

で、そこに複数の、というか多数の利害関係人が存在するんです。利害関係人って、大ざっぱに言えば

・所有者 と 所有者になる権利を持っている人

です。よくあるのが、田舎の土地と建物。長年、夫婦で暮らしてきて子供たちは独立し、都会に出て行って、それぞれ結婚したり仕事をしている。多分帰ってこない。田舎ではママが亡くなり、パパが一人で住んでいる。

よくある話ですね。ほとんどの場合、田舎の土地と建物は、登記簿上もお父さん一人の所有になっていますから。

問題は、この後なんですよね。今現在父親の単独所有になっている土地だからといって、父親が死んで相続が開始すれば

・子供の人数

が利害関係人の数になりますから。母親が死んでいなければ、

・配偶者も

当然利害関係人です。

この全員で田舎の土地と建物をどうするのか話し合うわけです。

でもさ、その全員が連絡を取り合っていて、そこそこ仲も良くて、経済的にも不安のない状態なんでしょうか?その中に一人でも、

・仲が悪かったり
・音信不通だったり
・既に死んでいてその子供たちとは面識がなかったり
・リストラされたばかりで収入が激減していたり

していれば、どんな話し合いになるでしょうか?もう絶対

・モメる( ̄∇ ̄;)

ことになりますよね。仲が悪い人、会ったこともない人、経済的に困窮している人と高額の財産を分ける話をするんですからね。そりゃ揉めないって方が無理だわ。

不動産を相続した場合の

・家庭の嵐について( ̄∇ ̄)

でしたね。イナカの実家みたいに、両親が死んでしまったら、誰も住まなくなる物件が特に問題なんですよ。その理由は、ワタシ的独断によって

・不動産が高額
・利害関係人が多い(配偶者・子供・孫など)
・メンテにもお金がかかる
・(特に買った本人は)思い入れがある

この4つあたりじゃないのかと見当をつけているわけです。

不動産は通常高額です。しかも、それももらう権利のある人が複数いる。そして、その人たちがいつも仲良しとは限らない。もうこれだけで

・モメごと必至

だと思うのは、私だけじゃないよね( ̄∇ ̄;)

しかも、モノは不動産。半永久的になくならない代わりに、

・不審者に悪用させない
・ゴミ屋敷など近隣に迷惑にならないようにする
・固定資産税を払う

くらいのメンテの手間とお金がこれまた半永久的にかかります。これを利害関係人の誰が負担するかで、また揉めるんですよ。

ちなみ、子供の誰かがうっかり固定資産税を支払ったとしますよね。そうすると次年度から確実にその人のところに通知・督促が来ます。で、また支払うと。これを繰り返して10年くらい経ったとします。もう固定資産税を支払い続けた人は、この分くらい利害関係人間で

・等分負担してほしい

と思いますよね。でも、そもそもこういう事態になっているのは仲の悪い人たちだからです。話がまとまるわけはないんですよ。

で、ここに登場するのがこの不動産に

・特別思い入れのある人

です。多くは、自分でローンを支払って不動産を購入した人(日本ならだいたい父親)です。あるいはこの人の近くに暮らしていて心情的にこの人に近い親族(長男とか長女とか)ですね。この人たちが

・不動産をかつての姿のママ残したい

と願うんですよ。そこに暮らした思い入れが人一倍強いので姿が変わってしまうこと、とりわけ処分されて現金になってしまうことに強い抵抗感を持つんです。

いや、分かるよ。分かる。

長く使ってきたモノには、ペンだって服だって思い入れができるからね。まして数千万単位のお金を自分で払って、人生の大半の時間をそこで家族と一緒に暮らしたのなら、そりゃ思い入れだってあるでしょう。当然ですよ。

ですが、その思い入れが

・その人にとって「だけ」

だということも分かってほしいんです。その人(父親とか)にとっては人生の大半かもしれないけど、子供たちは既に別の場所で生活し彼らの人生の大半を過ごしているんです。

同じ思い入れではないんですよ。

不動産を相続した場合の

・家庭の嵐

のお話でしたね。

不動産が高額な上に、利害関係人が多く、思い入れのある人もいるけど全員の仲が良いとは限らない。おまけにメンテに費用もかかる。

なので、1回目に書いた通り

・現金化して分けるべし

なんですよ。そのまま不動産の形で所有し続けるのは、大変なんです。一番のネック、利害関係人は時間を経るに従って、増える傾向にありしかも疎遠になるんですから。

このやり方の唯一の例外が

・所有者の誰かがずっと住む場合

です。要するに、長男家族とか長女家族とかが、使い続ける場合ということです。それなら、使っている本人がメンテするわけで、使えるという利益もその人に帰属することになりますから。メンテと思い入れの要件は、なんとかクリアできると思うんです。

もっとも、この場合でも、利害関係人の持ち分分の

・現金を渡して清算する必要

はありますけどね。不動産の持ち分分をお金で買い取るようなモンですから。つまり、不動産以外に分けられる現金が無いと採れない方法で、都心の不動産などの場合には持ち分分のお金もたくさん必要になってしまいます。いろいろ難しいですよね。

相続の前後になるかどうかはともかく、大事なのは誰かが使い続けるのか、使わないなら現金化するしかないということです。

家の中にあるモノも、使う時に初めて価値が顕現します。

・使わずにとっておくだけでは価値が無い

んですよ。これは不動産も同じなんです。所有すること自体に価値がある時代はもはや過ぎ去り

・利用することに価値がある

時代になったんです。もう少し正確に言えば

・容易に利用できることが価値

です。別荘も、いつか着るつもりの高い服も、そのうちやるつもりのヨガマットも、

・持っているだけで場所とお金がかかってしまうだけ

なんです。使おうと思う時には、既に時代が変わり、新古品になっていてさっと利用できないんです。これでは容易に利用できるとは言えません。これからの時代には

・価値がない

と見做されるでしょう。

なので、そう、1回目に書いたとおり、

・不動産は使わないなら現金化する

のが一番いいと思うんですよ。

もっとも良いのは、

・父親の単独所有であるウチに現金化しておく

ことです。イナカの不動産を持っている父親が、すでに他に暮らしていればこれは問題ありません。ただ、イナカの不動産に暮らしている場合には住む場所が問題になるでしょう。それでも、父親が死んで相続が開始されてから現金化するより

・数段カンタンに話が済む

とはずです。

モノは使うべし。容赦なく使うべし。それは不動産も同じと心得るべし。それが相続が絡んだときの教訓ですよ。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 真井花(まないはな) 【発行周期】 週3回(月水金)刊

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