MAG2 NEWS MENU

「コロナ禍の五輪」東京大会が閉幕。海外メディアはどう評価したのか?

開催前からゴタゴタの絶えなかった東京オリンピックですが、フタを開けてみれば日本は金メダルラッシュに沸き、8日に閉会式を迎えて16日間の熱い戦いの日々は無事に終了しました。日本国内では賛否のあった東京五輪、はたして海外メディアの評価はどのようなものだったのでしょうか? 今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、NYタイムズの報じた今大会最大スポンサー米「NBCユニバーサル」から見た東京五輪の評価を翻訳して紹介するとともに、シンガポールメディアが報じた「コロナ禍の五輪開催」に関する見方を分かりやすくまとめています。

日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから

 

 

東京オリンピック 海外の評価はどうだったのか?

東京オリンピックも8日で終わりました。海外評価はどのようなものだったのでしょうか?

まず海外新聞が異口同音に報道していたのが、開会式において外で叫ぶ「オリンピック反対」の声が無観客の会場に響いた事でした。最初だけに相当に印象的だったようです。

それでは個別に紹介しましょう。

まず最大のスポンサー、米国NBCユニバーサルから見た大会はどのようなものだったのでしょうか?

8月5日のニューヨークタイムズが掲載しています。

・NBCユニバーサルは10億ドル以上を投じて放映権を買いました。NBC、 CNBC、MSNBC、そしてストリーミングの「ピーコック」などを子会社としてもち7000時間の試合中継を行いました。

 

・その制作チームは、東京に1600人、アメリカに1700人の計3000人以上で構成されています。

 

・朝の生放送とゴールデンタイムの再放送は、開会式としては過去33年間で最低の視聴率となり1700万人弱の視聴者でした。最高は7月25日(日)の2000万人強でした。

 

・視聴率は期待外れで、火曜日までの一晩の平均視聴者数は1680万人で、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの同日までに視聴した2900万人から急落しています。その原因として以下があります。

 

・開会式は陰気な雰囲気の中で行われました。いつものように選手が笑顔で観客に手を振るのではなく、ほとんど誰もいないスタジアムを参加者が歩いていましたが、全員がマスクをつけて、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防いでいました。

 

・1992年のバルセロナオリンピックには「ドリームチーム」がありました。2008年の北京オリンピックでは、マイケル・フェルプスがメダルを独占しました。東京オリンピックはパンデミックです。

 

・テニスの大坂なおみ選手、バスケットボールのレブロン・ジェームズ選手、体操のシモーン・バイルス選手、など、一部の人気選手が欠場したり、早々に退場したりしたことで、期待がさらに薄れてしまいました。

 

・従来のテレビからNetflixなどストリーミング・プラットフォームへの視聴習慣の変化が広まっていることも大きな要因です。

 

・NBCユニバーサルは、コマーシャルタイムを購入した一部の企業に無料の広告を提供することで予想を下回るテレビ視聴者数を補うことを提案しています。

 

・それでも東京大会は広告売上が取材費を上回り利益が出ると予想されます。NBCユニバーサルは東京大会の広告売上総額はリオ五輪のそれを上回るだろうと述べています。

 

・NBCユニバーサルの最高経営責任者は、「我々は少し運が悪かった。ネガティブな雰囲気が漂っていた」と述べました。

特に日本のオリンピック運営を非難するような論調ではありません。しかし、コロナおよび有名選手の欠場などもあり、NBCから見ても寂しい大会であったとの印象は避けがたいようです。

日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから

 

また大会前には、コロナの拡散の中心(スーパースプレッダー)になるのではないかという意見がありました。

それについてシンガポールのストレートタイムズ8月7日の記事があります。

・東京(REUTERS) – オリンピックの健康アドバイザーが8月7日、2020年東京大会はコロナに打ち勝つことができることを示し、世界中の国々がコロナウイルスと戦うためのデータを提供するだろうと語りました。

 

・東京オリンピックの独立専門家委員会の委員長であるブライアン・マクロスキー氏は、記者会見で、社会的な距離を置くこと、マスクの着用、手指の消毒、検査と追跡などの対策がパッケージとして実施された場合に効果があることを示したと述べました。

 

・「これは、東京から世界に向けての非常に重要な教訓です」と述べました。

 

・東京2020大会の主催者は先に、7月1日以降、大会関連のコロナ症例を404件記録したと発表しました。大会には選手、役員、ボランティアなど2万人以上が参加していますが、批評家や日本国民が懸念していたようなウイルスの超拡散装置にはなっていません。

 

・選手村を含む大会期間中の2週間に収集された健康データは、分析・公表され、各国がコロナウイルスへの対応策を練る際に役立てられるだろう、とマクラスキー氏は述べています。

毎日のように新規感染者数が記録更新と言われていますが、少なくとも「東京オリンピックが感染源になったわけではない」という報道です。

発言元がIOC関係者ですから、当然ともとれる発言ですが、世界的にも同意できる見方なのでしょう。

世界における東京オリンピックの評価としては、「コロナのため無観客で寂しい大会であったが状況を考えるとよくやった」といったところでしょうか。

(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 8月8日号より一部抜粋)

社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために

メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 では、在米14年の経験と起業家としての視線、そして大学教授という立場から、世界で起きているさまざまなニュースを多角的な視点で分析。そして各種マスコミによる「印象操作」に惑わされないためのポイントを解説しています。8月中であれば、8月配信分のメルマガ全てが「初月無料」でお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。

月額:¥330(税込)/月
発行日:毎週 日曜日(年末年始を除く)
形式:PC・携帯向け/テキスト・HTML形式

日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから

 

 

image by: A.RICARDO / Shutterstock.com

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説 』

【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け