女子ビール部が考案~新しいビールの飲み方とは?
コロナの前から、若い世代を中心にビール離れは進んでいる。ビール類の年代別購入量を調べたところ、50代以上が6割。一方で20代はわずか3.6%だった。
このままでは未来はないと、アサヒビールは東京・千代田区の直営店「ビア&スパイススーパードライKITTE丸の内店」で新たな取り組みを始めた。
「ビアドロップス」(800円)は凍らせた果汁を入れたビアカクテル。スイカやパインなどの果汁が時間とともに溶け出し、フルーティーなビールが楽しめる。見た目がカラフルで鮮やかだからインスタ映えすると、若い女性にも受けている。
こんなカクテルを考案したのも女性社員だ。社内の一角にある巨大なバーカウンター。ここで女性社員達が新たなビールの飲み方を色々試し、商品化につなげようとしている。2年前に女性社員の有志が立ち上げた社内プロジェクト「女子ビール部」。ビールをあまり飲まない若者や女性の意見を集め、そんな人でも飲みたくなる商品を模索している。
「私たちがビールに混ぜ物をしていることに対して『そのまま飲むべきだ』と言う人も多いですが、もう少し飲みやすさや見栄え、ビジュアルの手に取りやすさは必要ではないかと思います」(松生まゆ子)
さらに「飲まない人」たちもこれからアサヒビールは狙っていく。
今、20代以上のおよそ4000万人が「お酒を飲めない」「飲めるけど飲まない」という。そこでアサヒビールはこの春、飲まない人向けの新商品を出した。
完全なノンアルコールではなく、微アルコールのビール「ビアリー」(3月30日から首都圏・関信越エリアで先行発売、6月29日から全国発売)。通常のビールのアルコール度数は5%前後だが、「ビアリー」はたったの0.5%。いったんビールを造り、そこから企業秘密の方法でアルコールを抜くので、ちゃんとビールの味がするという。
※価格は放送時の金額です。
~村上龍の編集後記~
若者はビールを飲まなくなったらしい。ビールを飲みたいという気分にならなくなったのではないだろうか。「そもそもビールの世界に入ってきてくれない」塩澤さんは言っていた。ビールの世界とは何か。楽しいということではないか。希望があるということだと思う。今の若い人の、少なくない層が、希望がない世界を生きている。塩澤さんと対していて、ビール好き同士が向かい合ってるなと思った。希望があった時代を知っている世代だ。
<出演者略歴>
塩澤賢一(しおざわ・けんいち)1958年、東京都生まれ。1981年、アサヒビール入社。2006年、大阪支店長。2011年、執行役員営業戦略部長。2013年、取締役兼執行役員経営企画本部長。2015年、常務取締役兼常務執行役員営業本部長。2017年、アサヒグループ食品取締役副社長。2019年、アサヒビール社長。
(2021年4月29日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成)