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中高年こそ身につけるべき。図解で理解する「社会人基礎力」とは?

「社会人基礎力」と言えば若者が身につけるべき能力とされてきましたが、昨今その対象者が変わってきているようです。今回のメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』ではiU情報経営イノベーション専門職大学教授の久米信行さんが、中高年世代こそが社会人基礎力を高めるべき理由を記すとともに、その具体的な方法を図版を用いて解説。社会人基礎力を構成する1つの能力である「前に踏み出す力」の身につけ方をわかりやすくレクチャーしています。

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オトナのための社会人基礎力養成講座

みなさんは社会人基礎力についてご存じですか?ご自身は社会人基礎力が高いと思いますか?

おそらく、多くの人にとって「社会人基礎力」は耳慣れない言葉でしょう。私も、10年ほど前、大学生による「社会人基礎力育成グランプリ」関東大会の審査員を拝命した時に、初めて聞いたのでした。

もともと「社会人基礎力」は、2006年に経済産業省が提唱した比較的新しい考え方です。その定義は、この図の通り。

つまり「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を指します。

はや十数年も、参加型の授業で大学生と接しているのですが、残念ながら、若者たちの「社会人基礎力」は年々低下しているようにしか思えません。

そこで、日本経済新聞の別冊「新卒採用広告特集」でのインタビューでは、あらためて社会人基礎力を高めようとお話させていただきました。

そのインタビューの際に使わせていただいたのが、こちらの「新社会人基礎力を究めよう」という図解です。

とはいえ、この「社会人基礎力」なるものを、私自身キチンと兼ね備えているのか自問自答すると、少々自信が無くなってきました。なまじ社会経験を積むと、どうしても過去の成功体験・失敗体験に縛られて「前に踏み出す」のはおっくうになりますし、「考え抜く」こと無しに経験則で乗り切ろうとしがちです。さらに、気の合う縁者が増えるとなじみの仲間でつるんで新しい「チームで働く」のを避けたりします。

ところが、時代はDX革命進行中。それもコロナ禍で加速されて、これまでの成功体験が通用しない時代になりつつあります。一方、これからは再生医療などの医療革命で寿命は伸びて人生100年時代がやってくるのです。半ばゼロリセットして、新しい知恵を取り込み、自分を磨き直さないと、これから何十年もの間、どう生きたらよいかわからなくなりそうです。

そんな危機意識もあってか、経済産業省は、もともと若者向けに提唱していた「社会人基礎力」を「人生100年時代の社会人基礎力」と改めて、むしろ私たち中高年世代向けに発信し直しているのです(もっともほとんどの人は知らないと思いますが)。

人生100年時代の社会人基礎力

そこで、2月26日の日経産業新聞Smarttimesの連載コラムは、自戒の念をこめて 「社会人基礎力を磨く」というテーマで書かせていただきました。

日経産業新聞SmartTimes「社会人基礎力を磨く」

しかしながら、どんなにスペースをいただいても、とても前述の「新社会人基礎力を究めよう」の図の中身は説明しきれませんでした。そこで、このメルマガ読者のみなさんに、じっくりご説明をさせていただきます。

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■Step1 前に踏み出す力

「前に踏み出す力」は、拙著では『「すぐやる!」技術』に関わるテーマ。自分を変える第一歩です。

<ライフワーク志向>

この図で一番大切なのは、赤線で囲まれた目指すべきゴールです。なんのため「前に踏み出す」のかという人生の意義でもあります。

それは「ライフワーク=生涯をかけて実現したい夢」の実現です。夢があるからこそ、一歩前に踏み出せるのです。就職・転職(あるいは起業)も、NPOや趣味の活動も、目的ではなく、ご自身の夢の実現のための手段なのです。

たとえ、今は食べていくために働いている現実があっても、転職や起業まではせずに今の会社で勤めあげたいと考えていても、夢はいつでも誰にでも大切です。そのまま流されるのではなく、もういちど夢を再設定することで、前に踏み出すことができるのです。その夢は、当初は漠然としていても、たとえちっぽけなことでも、朝令暮改で変更してしまっても構いません。社会人基礎力が高まると共に、夢はより大きく、より具体的になっていくからです。

生涯かけて実現したい夢を決めたら、期限をつけて具体化するために、夢に向かう一里塚=10年後の自分の仕事ぶりをイメージいたしましょう。どこで、どんな仕事をしているか、具体的であればあるほど、それを実現するための努力もしやすくなります。

まずは10年後の自分の理想像に近づくために、今すぐ学ぶべきこと、これから身に着けるべきスキルも明確になるのです。今から3年、あるいは今年1年の学習計画も立てられることでしょう。

この赤枠のライフワーク志向、夢実現の手段としての仕事と、仕事実現のための学習があってこそ、よりよい就職・転職・起業ができるのです。

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<就職・転職(起業)>

ここで心がけるべきは、生涯のゴール、夢の実現は、遠い先の話で、時代は変わるということです。現在人気があるジャンルではなく、10年後20年後に本格化しそうなジャンル、それもニッチで競争が少ないジャンルを選ぶ必要があるのです。

例えば、私が大学卒業をした1980年代は、成績が優秀な学生ほど、都市銀行や大手生損保に就職しましたが、就職した時のままの社名で、すなわち合併なしで生き残れた会社はありませんでした。逆に、もしも、当時まだ花札メーカーのイメージが強かった任天堂に就職していたら、今頃どうなっていたでしょうか?あるいはマイクロソフトに就職していたら?

当然、こうした新しいジャンルは怪しく見えるので、親や家族の賛成は得られないでしょう。多くの場合、親は保守的なので、今のところ一番調子がよく人気のある業種や会社を勧めるものです。しかし、今一番いいということはこれから落ち目になるということ。だから、私も子供たちには、私が勧めるような会社には行くなと伝えております。

私自身の経験では、わけがわからない、好きでもないようなジャンルに踏み出すのがおすすめです。なまじ好きなことを仕事にすると、理想と現実のギャップに直面して思うようにいかずストレスがたまることも多いのです。結婚式までが一番熱く燃えていて成田離婚してしまう恋愛結婚のようなものです。

私の場合、ゲーム嫌いなのにゲーム会社に就職したり、株嫌いなのに証券会社に転職したり、予期せぬ職業につきました。期待値ゼロで好きでもないジャンルの仕事に臨んだ結果、修羅場続きではありましたが、思いがけず面白いことを見つけたり、もともと好きで詳しい人よりも柔軟で斬新な発想ができたりしました。そして、30年後の今、そのキャリアがじわじわ効いてきた上、多種多様な人脈ができ助けてくれたので驚いているのです。仕事選びも、実はお見合い結婚の方が、結果として少しずつお互いの良さがわかって、長持ちするのかもしれません。(この記事は『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』2021年3月2日号の一部抜粋です。続きは定期購読にご登録の上、バックナンバーをお求めください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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1963年東京墨田区出身。87年慶応大経済卒。イマジニア新卒一期で飛込営業と株式投資ゲーム開発。88年日興證券でAI相続診断システム開発研修統括。91年家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業入社。94年三代目社長就任(現相談役)。97年日経インターネットアワード、05年経産省IT経営百選、09年東商勇気ある経営大賞等受賞。10年APEC中小企業サミット日本代表。20年開学の新大学iUでは起業家教育・地域創生担当教授。明治大、多摩大の授業や企業団体研修に即した25万部超の「すぐやる技術」シリーズ等著書15冊。内外情勢調査会等で毎年数千人に講師。東京商工会議所墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、墨田区文化振興財団 評議員として地元振興。新日本フィルハーモニー交響楽団・NBS日本舞台芸術振興会・日本吟剣詩舞振興会 各評議員として文化芸術振興。

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