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無理して毒を吐く必要なし。炎上に頼らずインフルエンサーになる方法

ネット上で手っ取り早く注目を集める方法として、未だ用いる人が跡を絶たない「炎上マーケティング」ですが、安易に毒を吐くことは決して勧められることではないようです。今回のメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』ではiU情報経営イノベーション専門職大学教授の久米信行さんが、情報発信における「毒」に対する考え方を明らかにした上で、自身が発信する際に心がけている3つのポイントを紹介。さらにビートたけしさんの言葉を借りつつ、にわかインフルエンサーが襲われる可能性のある悲劇を記しています。

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オトナの放課後相談室「『毒』は発信者として必要か?」

Question

世の中、とりわけマスで影響力を持つ発信者は、何かしらの毒を持っている気がします。

最たる例は、元アメリカ大統領のドナルド・トランプさんがまさにその典型な気がします。

日本でも、芸能人、ブロガー、YouTuberなどを見ても、「暴言・暴論じゃない?」と感じるような発言をしている人の方が、人気を獲得している気がします。

そこまで行かなくても、ちょっと意地悪な意見を言う人の方が、影響力が強いように見えます。

自分も細々とnoteとTwitterで細々と発信しているので、影響力を持つという点では、正直、憧れる部分はあります。

ただ、自分も同じように「毒」を撒き散らして、「炎上商法」的に名を挙げたいかというと、そんな気にはなれません。

読んだ人が元気をもらえるような発信、心が温かくなるような発信をしたいと思っているので、誰かを批判したり、嘲笑するような発信はしたくないのです。

以前、Webメディアでライターをしていた頃に、当時の担当者から、「穏当な意見じゃ誰も読んでくれないよ」とよく直されていたので、世間に意見を表面することはそういうものかもと、不本意ながら理解しています。

ただ、それでも自分のスタンスは崩さずに、影響力のある発信者になりたいと思っており、第三の道を探しているところです。

久米さんは、情報発信における「毒」をどうとらえているか、参考までに教えて頂けると幸いです。(東京都・44歳、男性)

久米さんからの回答

「差別に基づく攻撃」でなく「愛のある毒」を。さらには「非まじめな独創」「体感した感動」「体得した智慧」を

私は、子どもの頃から、ひねくれ者で毒のある笑いを好んできました。ツービート時代のたけしさん、モンティパイソン、スネークマンショーなどなど。

ですから、今でも、テレビなど見ながら家で吐く発言は「毒があり過ぎて」家族からも呆れられるほど。

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しかし、毒を吐くのは「家族や親しい人の中」でだけ。メディアやネットで毒づくことはありません(ひょっとしたら毒が漏れているかもしれませんが)。むしろ、毒づく公言をしないために、日常で毒を吐いて、バランスを取っている感じです。

その理由を挙げてみましょう。

1.ネットで誰かを毒づけば、必ず当人に伝わる

ネットでの自分の評判を気にする人ほど、自分の名前で検索=エゴサーチをします。また、おせっかいな友人やファンも「こんな批判をされていた」と当人に知らせることでしょう。そこで罵詈雑言が知られて、無用な争いを生み、要らぬ恨みをかっても良いことはありません。

2.ネットでの毒の多くが、安全地帯からの匿名での一方的攻撃

ネットでは、匿名で自分が特定されない、攻撃されないのを良いことに、安全地帯から毒づく人が少なくありませんが、そんな卑怯な人になりたくないのです。私自身は、意見が違う人と実名で議論することは厭わないのですが、多くの場合、同じ土俵に上がってくれないのです。

3.「愛ある毒」よりも「差別に基づく攻撃」が多い

某国大統領の例を挙げられていましたが、人種や主義主張が異なる人を貶めることは「差別に基づく攻撃」です。自分と違う人を茶化すように見えて、実はリスペクトしていることが伝わり、結果として仲良くなるような「愛ある毒」なら良いのですが(これはこれで相対で面談している時しか伝わりづらいのが難)。

たしかに、毒を吐けば、「毒を愛する人」や逆に「毒に怒る人」を、短期的には集めることができるかもしれません。しかし「毒は毒を」「悪意は悪意を」増幅します。そのネガティブなエネルギーの真っ只中にいることが、自分にとって幸せなことかどうかは、じっくり考える必要があります。

それでは、毒を吐く代わりに、私自身が、メディアやネットで公言する時に心がけていることをご紹介しましょう。

1.自分と違う人に「毒」づくより、人と違う「独創的発想」を

同調圧力の強い日本では、大多数と違う意見、外見、行動をする人を、安易に「毒」づく傾向があります(パラリンピックでちょっと変わったかも???)。

私自身も、ちょっとした変人なので、白い目で見られ、陰口をたたかれた経験も少なからずありました。

しかし、逆にそれが、私に「もっと人と違う考えで発言や行動をしよう」という意思や気力を与えてくれました。ですから、メディアやネットを通じた識者の発言を目にすると、批判ではなく、なるべくそれとは違う独創的な発想をしようと頭を働かせます。

これはちょっとしたクセのようなもの。繰り返せば繰り返すほどトレーニングになり「独創力」も高まると実感しています。毒を吐くと称して、誰かの上げ足を取るイージーな脳回路を、わざわざ創るより、「そんな考えもあるんだー」と驚かれるような「独創力」をつけた方が楽しいとは思いませんか?

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2.「まじめ」「不まじめ」よりも「非まじめ」の精神で

「まじめ」な人と「不まじめ」な人は対立しがちです。まじめな人は不まじめな人がキライ。不まじめな人はまじめな人がキライ。ここで相互に攻撃しあう根っこにあるのは、毒ではなくて不寛容な心です。

このメルマガでも意識しているのは、「まじめ」でも「不まじめ」でもない、両者の良さを認めて包み込む「非まじめ」の精神です。

ですから、悪意さえなければ、どんな投稿や質問でも大歓迎ですし、毎週のできごとやイチオシも、硬軟とりまぜて、できるだけ私のありのままをご紹介しています。

この方がラクで楽しいし、短い人生、毒づくヒマや労力がもったいないのです。

3.「代案なき批判」より「体感した感動」「体得した智慧」を

土俵に上がっていない人でも、力士を批判して毒づくのは簡単です。しかし、私はいくつになっても無言で土俵に上がり続けたい。そして、土俵に上がって初めて見える景色と、その感動を伝えたい。

土俵の上で負ければ、批判も受けるでしょう。しかし負けては勝ち、勝っては負けてを繰り返してこそ体得できる知恵(時には智慧)もあるのです。その智慧を必要としているしかるべき人にしかるべき形で伝えたい。

このメルマガも、その大切な手段だと心しております。

ということで、もともとお優しい方が、あえて短期的な人気を集めるために「毒」を吐く必要は無いでしょう。

それよりは、ご自身ならではの「独創的な個性」を、コツコツ創り上げることの方が大切だと思うのです(イチオシで紹介したStudio COOCAのアーティストがお手本ですね)。

もうひとつ、たけしさんの言葉を借りるならば、「下積みの期間と、売れる期間は比例する」。つまり時間をかけて創り上げた個性は、長持ちするのです。一発芸のにわか芸人と同様に、にわかYoutuberやインフルエンサーは、10年後どうなっていることやら。人気を失いフォロワーやらアクセスやら減るのも悲しいでしょうが、人生で目指すべきゴールや、確立すべき人格を見失ってしまうのが一番の悲劇ではないでしょうか?

最後に、「毒」とは似て非なる「狂った独創性」の話を。

私が敬愛するSF作家の筒井康隆さんによれば、あのように狂った妄想を文章にすることで、本人の日常的な精神はいたって平穏で、狂気とは無縁とか。一種のストレス解消ですね。とは言え、別に誰かを傷つけるわけでもなく、あの手の狂った話が好きなファン(含む私)が喜ぶだけだから、win-winです。

そんな形で、自分の中の狂気を表現して、精神のバランスを取りつつ、知る人ぞ知るファンが喜ぶコミュニティを創るのが、私にとっての理想的な人生です。

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image by: Shutterstock.com

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1963年東京墨田区出身。87年慶応大経済卒。イマジニア新卒一期で飛込営業と株式投資ゲーム開発。88年日興證券でAI相続診断システム開発研修統括。91年家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業入社。94年三代目社長就任(現相談役)。97年日経インターネットアワード、05年経産省IT経営百選、09年東商勇気ある経営大賞等受賞。10年APEC中小企業サミット日本代表。20年開学の新大学iUでは起業家教育・地域創生担当教授。明治大、多摩大の授業や企業団体研修に即した25万部超の「すぐやる技術」シリーズ等著書15冊。内外情勢調査会等で毎年数千人に講師。東京商工会議所墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、墨田区文化振興財団 評議員として地元振興。新日本フィルハーモニー交響楽団・NBS日本舞台芸術振興会・日本吟剣詩舞振興会 各評議員として文化芸術振興。

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