富裕層を見殺しにする中国。破綻危機「恒大集団」は習近平に処刑される

 

この一環としての恒大集団潰しであり、富裕層の不動産投資を止め、その金を寄付するように仕向ける意図があるのと、もう1つに製造業が苦境で「脱虚向実」を再開させたことが大きい。「脱虚向実」とは、「政策を通じて実体の伴わない業界を排除する」という意味である。

恒大は昨年から銀行の融資が受けられずに、所有物件の切り売りで資金繰りをしてきたが、とうとう9月8日に債券を格下げされ、それまでの経営難から倒産へ舵を切った。恒大は中国の不動産業界の中でも負債が多く2021年6月末で純有利子負債で4,101億人民元(約7.0兆円)で、社債も192億3,600万USドルと1.01億香港ドルの合計約2.1兆円の発行残高もある。

中国政府が恒大を救済すると期待したが、中国政府は9月14日に「恒大は9月20日の利払いを履行しない」としたし、「環球時報」の胡錫進編集長も、恒大集団について、「大きすぎてつぶせない企業」ではないとし、政府は救済しないとした。ということで、恒大の倒産が確定した。この20日、日本では休日であり、何もできない。

恒大董事長の許家印は、世界の長者番付に名前を連ねたが、これで資産没収で貧乏人になるが、脱税とか政治家などへの贈合などの罪を掛けられて、牢獄行きかもしれない。

しかし、アナリストは、恒大が抱える3,000億ドルの債務のうち、中国以外の投資家の保有分は約70億ドル(約7,700億円)にとどまり、「金融市場が吸収できない、あるいはショックを覚える金額ではない」として、あくまでも中国国内の問題であり、米国株に影響が出ないと言う。

この恒大の倒産危機で、花様年控股集団や広州富力地産など、恒大より規模の小さい競合勢に対して、著しい債務不履行リスクが織り込まれつつある。このため、連鎖倒産になる可能性もある。日本企業でも中国での不動産開発をしている企業の株が暴落している。

しかし、中国では不動産部門や関連部門が経済全体の3割を占める。このため、建築資材や鉄鋼など多くの企業が影響を受けることになる。

そのために、中国政府も、鉄鋼企業へ減産を指示したことで、鉄鉱石の価格が下がっている。というように、鉄鋼価格などに影響がおよぶことになりそうだ。

中国企業への負の影響は、日本企業にも大きな影響をあたえることになるし、習近平の社会主義回帰の直接の被害を受ける可能性もある。ということで、富裕層を顧客とする日本企業は早く撤退するべきである。

それと、中国への依存度が高いドイツ企業などEU企業も同様であり、EU企業の動向も知る必要がある。

中国の変化で米国が変化してきたような印象を受ける。そして、日本も変化に対応するしかない。

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

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