巨大企業「恒大集団」破綻でも習近平の権力基盤が揺るがぬ“証拠”

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先日掲載の「富裕層を見殺しにする中国。破綻危機『恒大集団』は習近平に処刑される」等の記事でもお伝えしたとおり、中国の不動産大手「恒大集団」が深刻な経営危機に直面しています。日本ではセンセーショナルな形で伝えられているこの案件、海外ではどのような報道がなされているのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、翻訳した香港英字紙の記事を紹介し解説。さらに独自のルートから入手した、習近平の権力基盤が盤石である証拠をリークしています。

【関連】富裕層を見殺しにする中国。破綻危機「恒大集団」は習近平に処刑される

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中国の不動産市場、宴の終焉

中国の不動産大手、恒大集団が33兆円の巨大債務で経営危機に陥っています。

習近平指導部が見殺しにすれば「第2のリーマン・ショック」を招くともいわれています。その一方で救済すれば富裕層優遇だと習政権がピンチとの報道です。

このあたり、海外ではどのように報道されているのでしょうか?以下、9月25日サウスチャイナモーニングポストの記事です。

2017年当時、恒大集団の許氏は絶好調でした。

彼は4.6兆円の純資産で中国一の大富豪となり、彼の恒大集団は総資産36兆円の世界最大級の住宅建設会社として賞賛されました。

彼はお抱えの経済学者に2億円以上の年俸を支払っていたことで、さらに注目を集めました。

彼はイーロン・マスクに対抗することを夢見るようになり、2019年には世界最大の電気自動車メーカーを作るという構想を発表した。

関連する技術や経験がないにもかかわらず、すでに乱立している電気自動車事業に参入して注目を集めたのは、銀行や投資家が彼のビジネス帝国全体にお金を貸し続けるための、慎重に考えられた作戦だったのかもしれない。

しかし、昨年8月、政府が不動産開発業者の借り入れを制限する「3つのレッドライン」という政策を打ち出したことで、許の大戦略は崩れ始めた。

今、恒大集団は、33兆円の負債を抱えた世界で最も負債の多い不動産開発会社として、破綻寸前の状態に追い込まれています。

また、彼の電気自動車部門は、今年中に展開するという計画に反して、1台も売れていません。

株価は90%近くも急落しています。

許氏は恒大集団は大きすぎて潰せないという誤った期待を抱いていたのかもしれません。

アナリストの中には、2008年の世界金融危機を引き起こした米国のリーマン・ブラザーズの破綻を引き合いに出して、今回の恒大集団の騒動を「中国のリーマン・ショック」と呼ぶ人もいます。

しかし米国連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は水曜日、恒大集団の債務問題は中国国内のものと指摘し、この例えを否定したようだ。

またパウエル議長は、中国の大手銀行は「とてつもなく大きな負債を抱えているわけではない」とした。

非常に重大な問題ではあるが、あくまで中国の国内問題であり、リーマン・ショックのように世界に波及する金融問題ではないとの見解です。

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