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いじめを受けている我が子へ絶対に言ってはいけない4つの言葉

被害者が自死を選ばざるを得ないほどに追い詰められることも多々ある、いじめ問題。もしも我が子がその対象となってしまった時、親としてはどのように対応すべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では漫画『ドラゴン桜』の指南役として知られ、23年間の公立小学校勤務の経験を持つ親野智可等さんが、子供が発するいじめのサインを紹介するとともに、父親が取るべき行動を記しています。

いじめの早期発見、父親ができる対策

最近のいじめは、昔に比べて多様になり、大人から見えにくくなっている。

前回(「『学校裏サイト』で広がるいじめ」)も触れたように、あまりいじめを受けにくいように思われる強い子、元気な子、活発な子、明るい子、友達が多い子などでも、いじめられていることはある。

多様で巧妙になったいじめを担任が見抜けないように、親もまた自分の子どもがいじめられていることに気付かないケースが多い。なぜなら、多くの子どもが自分がいじめられていることを親に知られたくないからだ。

学校がつらいから家ではくつろぎたい、親に心配をかけたくないといった気持ちもあるだろうし、いじめを親に告白していろいろと聞かれるのも嫌だろう。あるいは、いじめている相手から「チクったな」とさらにいじめられることが恐いかもしれない。

そのため、子どもは親に話そうとしないばかりか、隠そうとし、わざと明るく振る舞うことも少なくない。

いじめのサインに気をつけよう

とはいえ、心の内側の苦悩が何らかの形で表に出るのも事実だ。「いじめのサイン」にはいろいろなパターンがあるが、特に以下のようなことがあったら要注意である。

「元気がない」と「妙に明るい」など相矛盾するサインがあるので、いじめの発見をさらに難しくしている。

子どもが「親だけには知られたくない」と思っている場合、見抜くことは本当に難しい。だが、日頃から上記のようなサインに気をつけ、兆候があれば注意深く観察するべきだろう。

いじめの情報が我が子ではなく、友だちのお母さんから伝えられることも少なくない。友だちが、自分のお母さんにクラス内のいじめのことを話したとき、親がそのお母さんと仲がよければ、知らせてもらえる。

絶対に子どもに言ってはいけない言葉

それでは、いじめが発覚したときに親としては何をするべきだろうか。

まず、子どもに絶対言ってはいけない言葉がある。

特にお父さんたちはこうした言葉を子どもに投げつけがちだが、それができれば子どもも苦労しない。できないから、悩んでいるのだ。

このような言い方をするのではなく、まず受容的、共感的に話を聞いてやることが大切だ。子どもは話すだけでもストレスをある程度解消できる。

親はアドバイスや説教をしたくなるかもしれないが、ぐっとこらえて、子どものストレス解消に努める。話を聞いてやって、好きな遊びをゆっくりさせてもいいし、休日に遊園地に連れて行ってもいい。家庭ではくつろげるような環境を作ってほしい。

次に担任に事実を報告する。緊急の時はすぐ電話で伝え、さらに約束して学校に話し合いに行く。その際、ちゃんとした服装で行くことだ。買い物帰りのような格好では、真剣味が伝わらない。できれば、夫婦で出かけた方がいいだろう。

問題が深刻だったり、学校側の対応が遅い場合は、クラスの親や学級代表と一緒に話し合うが、その際は担任だけでなく校長、副校長、生徒指導主任なども同席してもらった方がいい。

いきなり、怒鳴り込む親もいるが、それは子どものためにならない。けんか腰で行くと、学校側は守りに入り、出すべき情報も出さなくなる。だから、一緒に問題を解決しましょうという姿勢が大切である。

もし、顔すら合わせたこともないようだと教えてもらえないかもしれない。だから、母親でも父親でもクラス内のネットワークは大切だ。

「一人でいる力」を身につけさせるのもいじめ対策

いじめが起きたときにお父さんたちにやってもらいたいことは、冷静に対応することだ。

まずは、子どもに「いじめからお父さんが守り抜いてやる」ことを伝え、情報をできる限り集めて、対策を考える。仕事ではいくら相手に非があっても、すぐにけんか別れはしないだろう。冷静に学校側と話し合って、解決策を探ることだ。

友だちをいじめる子どもの多くは親子関係に問題がある。その改善について学校が指導していくことも大事だ。

一方、ときには、いじめを受ける側にも「いじめを受けやすい要素」がある場合もある。いじめられる側に「原因も非も責任もない」のは当然のことであるが、見た感じや振る舞いや態度面などでいじめを受けやすい要素があることもあるのだ。

お父さん方はそれを客観的に見つけて、改善した方がよければ改善に取り組むべきだろう。例えば、「不潔な感じがする」「イヤと言えない」「おとなしすぎる」「すぐムキになる」「冗談が通じない」などである。

もちろん、すぐに直そうとしても無理だし、それが子どもに苦痛になることもあるので、長い目でじっくり取り組むことが大切だ。

子どもはちょっとしたことで、相手をからかったり、バカにしたりするものだ。それを受け流せず、いちいちムキになっていると、いつの間にかいじめの対象になる。冗談やユーモアで切り返せるようになれば、子どもの心も成長するだろう。父親がそうした対応をロールプレーイングなどで教えてあげてほしい。

引っ込み思案で、おとなしい子は泊まり込みのサマーキャンプなどに思い切って子どもだけ送り出す手もある。塾やスポーツクラブなどに入れるのもいいだろう。学校以外や大人の中で自分の居場所を見つけることのできる子もいる。

いじめが悪質である場合は、転校も有効な手段だと思う。

最後に本コラムの1回目で書いた「一人でいる力」を子どもに身につけさせることも大切だ。

子どもの友達力は親子関係から ~その1~

自分の世界や好きなことを持っていて、グループから離れて一人でも平気でいることができる子はいじめにも耐えることができ、いじめグループの仲間入りもしない。

「みんな仲良し」を真に受けず、子どもが好きな世界に没頭できるように親が手助けすることもいじめ対策の重要な一つといえる。

初出「親力養成講座」日経BP 2007年10月5日

image by: Shutterstock.com

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5年連続でメルマガ大賞の「教育・研究」部門賞を受賞!家庭教育メルマガの最高峰。教師生活23年の現場経験を生かし、効果抜群の勉強法、子育て、しつけ、家庭教育について具体的に提案。効果のある楽勉グッズもたくさん紹介。「『親力』で決まる!」(宝島社)シリーズは30万部のベストセラー。

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【著者】 親野智可等 【発行周期】 不定期

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