10月9日、北京の人民大会堂で開かれた辛亥革命110年記念大会では、中国の習近平国家主席は、改めて台湾統一について「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない歴史的任務」と述べ、そのうえで台湾独立勢力を「最大の障害」と批判しました。
これに対して、10月10日の双十節、台湾の蔡英文総統は、「私たちは中国により設定された道を歩まない。そこには自由も民主主義もなければ、2,300万人の台湾人の主権もないからだ」と述べ、台湾人民が中国の圧力に屈することはないと応じました。
● 「中国の圧力に屈さない」台湾で双十節記念式典、蔡氏が演説
10月6日、台湾国防部のトップは、中国と台湾の緊張は過去40年で最悪の状態であると述べましたが、各国も中国による台湾侵攻について、懸念を表明するようになっています。
● 中台関係は「過去40年で最悪」 偶発攻撃のリスクも=台湾国防部長
欧州議会は20日、「EU―台湾の政治的関係と協力」という報告書の投票を行う予定ですが、それに先立つ19日、欧州連合(EU)のマルグレーテ・ベスタガー副総裁は、EUは中国の脅威に対処し、「一つの中国政策」の枠組みの中で台湾との関係をさらに強化しなければならないと述べました。
さらに、台湾はEUと同様の考えを持つパートナーであり、EUは台湾の民主主義、法の支配、人権、開かれた社会、市場経済に基づく統治システムを引き続き支持し、人と人との交流、サプライチェーンなどでの協力を強化すると表明しました。
一方で中国は、経済成長の低迷が明らかになり、不動産市場も不安定な状況となっています。2021年7~9月の経済成長は前年比で4.9%と、中国経済の減速が鮮明となり、また、不動産大手の恒大集団の巨額負債問題も解決していません。一方で、電力の供給不足により停電が頻発し、中国経済の先行きも不透明になっています。冬が近づき暖房が不可欠となると、さらに電力が逼迫する可能性があります。
もちろん、不動産市場の不安定化は、習近平政権の不動産規制強化が招いたものでもあります。その他、アリババやテンセントなどへの締め付け、芸能界への規制強化などを強めていることは以前のメルマガでも紹介しましたが、習近平は中国経済の発展よりも、いかに企業や経済を自身の統制下に置くかということに腐心しています。
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10月初旬には、不動産大手の花様年集団も2億ドルの社債が返済できずに、事実上の倒産に追い込まれました。同社の創業者である曽潔氏は、曽慶紅元国家副主席の姪だということです。
● 中国不動産大手、花様年集団が債務不履行 トップは曽慶紅元副主席の姪
曽慶紅といえば、江沢民派の大番頭で、しかも、習近平を総書記に推した人物です。それだけに、来年秋に開かれる党大会で3期目を狙う習近平としては、曽慶紅が習近平の長期政権化に水を差す行動に出れば、一気に反習近平の流れができてしまう恐れがあります。そのため、曽慶紅や上海閥の力を削ぎ、自身に逆らわないよう脅しをかけていると思われます。香港に国家安全維持法を施行して支配力を強めたのも、上海閥の力を削ぐためだったとも言われています。
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