感謝祭翌日、11月の第4金曜日の「ブラックフライデー」を皮切りにスタートするアメリカのホリデー商戦ですが、今年はこの日を待ってクリスマスプレゼントを予約しても、当日に届かないという事態が起こりかねない状況となっているようです。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』ではNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、米国紙の記事等を引きつつそのような「悲劇」が起こりうる理由を解説。さらにコロナ禍にあって心強くプライバシー保護の観点からも安心な、住所を知らない相手に直接会わずともギフトを贈れるサービスを紹介しています。
毎回ニューヨークからの最新情報を届けてくださる、りばてぃさんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ
コロナ禍のギフトアイデア
(1)今年のホリデー商戦事情
アメリカでは毎年11月後半から12月のクリスマスにかけてホリデーシーズンとなります。
この時期に家族や友人といった大切な人へ贈るギフトやホリデーカードを準備したり、需要がある時期ということで小売店側も1年で最大の割引セールを行ったりします。そのため1年の大半の売上を上げる時期とも言われています。
日本で言うところの年末商戦に近いものとなっています。
なので、9~10月にアップルはじめ新商品の発表時期にもなっているわけです。で、11月前くらいからホリデー商戦の話題も出てくるわけですが、今年もっとも注目の話題は、
「ホリデー商戦のオンライン購入品は遅れて届くかもしれない」
…ということ。
理由はサプライチェーンマネージメントが大きく変化しているのと、従業員不足。
なので通常どおり、11月後半のセールから買い物をはじめると郵送で届くのがかなりかかるのではないかと各所で報じられています。
ご参考:
● Don’t wait until Black Friday to start your holiday shopping. Here’s why you need to shop now.
物を売るための宣伝も兼ねた煽り記事ではないのか?とも思う人もいるかもしれませんが、これ実際に本当でしょう。
まず、2020年のコロナ禍でアメリカのEコマース需要は10年は進んだと言われています。
つまりかなり多くの利用者が増加し、自粛など終えた今でも利便性の高さや慣れから継続して利用していたりします。
なのでそもそも例年よりオンライン購入する人たちが多く郵送に時間がかかる可能性が高いのです。
さらに、今年2021年のギフト関連の消費者の消費行動については、長引くコロナ禍の影響で、爆発的な増加を見せた昨年に引き続きオンラインでの消費が大幅に増える見込みとも伝えられています。
専門家によると
人々は店内でのショッピング体験に戻りたいと思っています。そこでは、商品を購入してすぐに家に持ち帰れて、即座に満足することができます。
昨年、唯一の選択肢はオンラインで買い物をすることでした。今年、消費者はオンラインスペースと物理スペースの両方にアクセスできるため、昨年に比べて実店舗での購入が増えるでしょう。
ご参考:
● Gift Consumers’ Behaviors 2021: What They Actually Want
オンラインと実店舗の両方で需要が増えるのは企業にとっては良いことですが、それに対応する準備をしないといけないわけですが、アメリカは経済再開しているものの、まだまだコロナ感染が落ち着かず工場が稼働していない国や地域はあり、商品によっては在庫がないとか原料不足問題が起きていたりもします。
それに伴いサプリチェーンも不安定な状況に…。
そして、極めつけは従業員不足。
アメリカではコロナ禍に貧困を増やさないためにかなり手厚い支援金がありました。
仕事を解雇された人たちは通常の失業補償に加えて州ごとに追加の支援金もでていました。
それらは9月には終了したはずで、仕事を再開する人も多いはずなのに企業は従業員を戻すのに苦戦しているのは個人的に聞く話でも出ているほどなのです。
理由は様々。
感染を恐れて工場内や店舗での仕事を避けているとか、そもそも別の仕事に就くようになったなどなど。
なので、需要はあるのに企業側の体制が整っていないところも多いのです。
そんなわけで、今年はどうしても購入したい商品は早めに取り寄せるほうがいいよ、というわけなのです。
毎回ニューヨークからの最新情報を届けてくださる、りばてぃさんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ
(2)直接会わずに贈るギフト案
物質的なギフトの送付に時間がかかったりコロナ以前のように直接あって手渡しできない場合のためのギフト案はいろいろ出てまして、参考までにマッシャブルの記事を引用します。
いわゆる、贈る相手の住所を知らなくてもメールやソーシャル・メディアを通じて気軽にギフトを贈れるサービスで「ソーシャル・ギフトおよびデジタルギフトと呼ばれるマーケティング手法」ですが、以下のようなものが挙げられています。
- 映画やドラマなどのストリーミング・サービスの会員の権利(Netflixなど)
- スーパーやECサイトの会員の権利・お酒のECサイト用のギフトカード的なもの(アメリカではWinkというワインのサブスクリプションなど)
- その他様々なサブスクリプション(月額いくらいくらで継続購買する)方式の権利
- 飲食関連(食事、ケーキやスイート、コーヒー、その他)のデリバリーの権利
等などです。
これらの品々は、自分が購入するだけでなく、誰かへのギフトとして購入し、Eメールで通知を送る仕組みが、だいぶ昔からできているものが多めです。
ご参考:
● How to give a good gift when you can’t see the person *in* person”
また、「贈る相手の住所を知らなくてもメールやSNSを通じて気軽にギフトを贈れるサービス」もいろいろ出てまして、例えば、
● 「ギブトル(Gibtr)」
というスタートアップ企業もあったりします。
これは、
「同僚の住所がわからなかったため、同僚に誕生日の御馳走を送る方法を見つけられなかった」という創業者が、ギフトの受け手の住所がわからなくても送れる仕組みをつくりたいということで昨年2020年後半にロサンゼルスで立ち上げた会社だそう。
同社によると、
プライバシーへの懸念が高まる中、人々は通常、物理的なアドレス(つまり、自宅の住所)を共有しなくなりました。
新型コロナウィルスにより、人々は、直接会うことが常に可能ではなくなりいつの間にか、贈り物を届けることは困難になっています。
…とのこと。
そんな時代だからこそ、「ギブトル」(Gibtr)が役立つ…とのこと。
これは特にアメリカは日本と違って携帯番号ですらクライアントにかってに会社の人であっても教えたりは絶対してはいけないほどプライバシー維持に厳しいです。
なので、自宅勤務とかになっても、どちらかの家でミーティングとかはなく、中間地点のカフェなどでミーティングとかしたりします。
「ギブトル」はそれこそコロナ以前から求められていたサービスなのかもしれません。
image by: Russ Vance / Shutterstock.com