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人格に問題アリか。自民新幹事長に就任の茂木敏充が血相を変えた“ある質問”

35日間というわずかな在任期間で辞任した甘利明氏に代わり、自民党の幹事長となった茂木敏充氏。茂木氏を巡っては先日掲載の「茂木敏充、致命的な欠点は“パワハラ”。頭脳明晰&能力抜群も問題だらけの人間性、官僚への逆ギレが得意な新幹事長」でもお伝えしたとおりその人格を疑問視する声も聞かれますが、果たして党幹事長という要職を勤め上げることは可能なのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、茂木氏の外相時代のとある会見を紹介し、その疑わざるを得ない品格を指摘。さらに「政治とカネ」の問題を、氏にまつわる不安材料として挙げています。

【関連】茂木敏充、致命的な欠点は“パワハラ”。頭脳明晰&能力抜群も問題だらけの人間性、官僚への逆ギレが得意な新幹事長

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傲慢、姑息、自己過信…甘利氏と茂木氏は同じ穴の狢だ

まさかの選挙区敗戦で退いた甘利明氏に替わり、自民党の幹事長に就任したのは、まさかの人物だった。前外相、茂木敏充氏。

その、“人となり”にメディアが言及するとき、必ずといっていいほど、出てくるのは「頭脳明晰」「切れ者」という言葉である。そしてまた、そのあとには間違いなく「怒りっぽい」「人望がない」が付いてくる。

幹事長としては芳しくない評価だ。経産相、外相を歴任し、安倍元首相や麻生副総裁とゴルフ仲間ではあっても、茂木氏に実力者のイメージは薄く、カリスマ性も乏しい。そのうえに怒りっぽく、人望がないというのである。自民党という大所帯をうまくまとめられるのだろうか。

なにしろ、自民党幹事長といえば、選挙の立候補者を公認し、莫大な資金を配分する党内最高権力者だ。党の政策を最終決裁する権限を持ち、過去には首相も盾突けない幹事長さえいた。

実力でそのポストにのしあがってきた政治家なら、それなりの求心力もあろう。二階元幹事長はどう見ても「頭脳明晰」という感じではなかったが、親分肌で、勝負カンと度胸があり、人心掌握術に長けていた。

茂木氏の場合、竹下亘氏亡きあと代表代行として派閥・平成研を束ねているとはいえ、甘利氏の失策でたまたま転がり込んできた印象も拭えない。そのうえ人格上の問題もあるとしたら、かなり厄介だ。

ただし、善かれ悪しかれ実務派の茂木氏がメディアに登場することはさほど多くなく、われわれ一般市民がその人物像を知る機会は限られている。つまり、人間性については、判断のつきかねるところがある。

そこで、頼りにしたいのが、大臣時代の記者会見動画だ。なにかと面倒な質問をぶつけてくる記者に対し、どういうふうに答え、振る舞っていたか。外務省のホームページから印象に残った二つの場面をピックアップしてみた。

一つは今年8月31日、米国がアフガンからの撤退を完了した日の会見である。話題は、現地の日本大使館で働いていたアフガン人スタッフと家族の救出作戦に集中した。そのうちのワンシーン。

朝日新聞記者 「カブールの陥落から、自衛隊の派遣の決定に至るまで、大臣や担当の局長が中東の外遊に出ているタイミングだったが、一連の事態に対応する影響が出たか」

茂木外相は8月15日から24日までエジプト、パレスチナ自治区、イスラエル、ヨルダン、トルコ、イラン、カタールを訪問した。

この間の8月17日、カブールの日本大使館で働く日本人スタッフは全員、ドバイに脱出したが、アフガン人スタッフとその家族約500人は現地に残され、カブールを制圧したタリバンの脅威にさらされていた。

米欧各国は、8月15日のカブール陥落を受けてすぐに軍用機を現地に送り、救出作戦は一定の成果を挙げていた。日本は米欧に遅れること1週間、同23日に自衛隊輸送機3機と政府専用機を派遣したが、自爆テロ事件もあって、目的を果たせなかった。

記者は日本政府の動きの鈍さについて、外遊の影響がなかったかどうかを外相本人に確かめようとしたのだが、なぜか茂木外相は血相を変えた。

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茂木外相 「何時代のことを言っているんですか。明治時代ですか。Wi-Fi通じてないんですか。飛行機の中でも通じますよ。毎日、連絡とっていました。中東の主要国と連絡を取りながら、現地の情勢がどうなのか、トルコとしてどんなことができるのか、また、カタールとしては一番タリバーンと関係が深いという中で、今、タリバーンが何をしようとしているのか、そういったことを…」

確かにどこにいようと情報は入手できるし、判断もできる。それなら、なぜもっと早く自衛隊に派遣要請をしなかったのか。

「明治時代のことですか」などと人を見下すのではなく、Wi-Fiが飛行機の中でも使えるので何の問題もないことを淡々と述べるだけでよかったのだ。

茂木氏は東大経済学部卒、ハーバード大学ケネディ行政大学院に留学という経歴から見る限り、たしかに優秀と推察できる。しかし、高飛車な態度からは人間としての器の大きさが感じられない。

「豊富な知識と頭の回転の速さ、高い説明能力は党内随一といっていい」(産経新聞)。

このような茂木評がメディアでは多々見受けられる。しかし、自分を客観視できず、他者への想像力が及ばない人の「頭の良さ」など、たかがしれている。

そもそも、勉強ができるとか、頭の回転が速いとかいうのは脳味噌のごく一部の力でしかない。

作家、司馬遼太郎氏は学校の授業についていけず、図書館で本を読むのが好きだったという。豊かすぎる想像力が集中をさまたげたため、先生の言うことがよく理解できなかったのだ。

もちろん、そういう人は学校や組織では評価されない。だが、授業のような制約がない環境のもと、自分のペースで書物や資料を読み漁り、時間をかけて文章にする自由を与えられると、あのような偉大かつ膨大な作品群が生み出されてゆく。

茂木氏の所属する派閥の源流をつくった田中角栄氏は確かに頭の回転が早かったが、それよりも、人心掌握術と演説の巧みさ、政策の構想力といった面でスケールが大きかった。学歴など些細なことだと思わせた。

茂木氏の場合は小才が利くものの、ちょっとしたことに気分を害し、それが言動にはっきりあらわれる。もう一つのシーンは、昨年8月の会見で生まれた。

大住マグダレナ記者はポーランドから2005年に来日し、ジャパンタイムズで働く女性である。在留資格を有する外国人が再入国するさいの新型コロナ規制について質問した。

マグダレナ記者 「在留外国人を対象にした入国規制は、その背景になった科学的な根拠を具体的に教えてください」

茂木大臣が「再入国を認める方向で最終調整している」と答えただけだったので、マグダレナ記者は「すみません、科学的な根拠について」と聞き直した。

その時だった。茂木大臣の口から英語がこぼれ出た。「What do you mean by scientific?」(科学的とはどういうことか)。

きょとんとするマグダレナ記者に、茂木大臣はもう一度「What do you mean by scientific?」とたたみかけた。このあとのやり取りはスリリングだった。

マグダレナ記者 「日本語でいいです。そんなに馬鹿にしなくても大丈夫です」

茂木大臣 「馬鹿にしてないです。いや、馬鹿にしてないです。全く馬鹿にしてないです」

マグダレナ記者は「日本語で話しているから、日本語でお答えください」と言って「科学的な根拠」ついて質問を続けたが、茂木大臣は「出入国管理の問題ですから、出入国管理庁にお尋ねください。お分かりいただけましたか。日本語、分かっていただけましたか」と、マグダレナ記者に対しては最後まで、その日本語能力を問題にするかのような態度を続けた。

マグダレナ記者は日本語で問いかけたのである。たとえ、それが滑らかな日本語でなく、茂木氏が気を利かして英語でのやり取りを持ちかけたのだとしても、質問者が嫌がらせのように受け取るのは仕方がない。相手を重んじるなら日本語で返すのがスジであろう。

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茂木氏にまつわる不安材料は、ほかにもある。「政治とカネ」の問題だ。

昨年末に共同通信が報じたところによると、茂木氏の政治団体「茂木敏充後援会総連合会」で、使途の詳細が分からない支出が2016~19年の4年間で全体の約97%、1億2,000万円以上にもなっているという。

このうち2019年の収支報告書を見ると、収入のほとんどは茂木氏の資金管理団体の寄附によるもので、その額2,850万円。支出額は2,874万8,285円だが、支出先が記されているのは印刷費の53万5,662円だけである。

「後援会総連合会」は政治資金規正法が定める「国会議員関係政治団体」として届け出られていないために支出の公開基準がゆるく、これほどの杜撰な報告書記載でも違反にならないという。

茂木氏はこの抜け道を利用し、公開基準の厳しい資金管理団体から政治資金を移したとみられている。姑息きわまりないやり方だ。今からでも使途を明らかにしたらどうか。

さもしい割りには頭が高く、自分を過大に評価する。その点で、甘利氏と茂木氏は同じ穴の狢である。幹事長の顔は変わっても、自民党がよき方向に向かうとは思えない。

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image by: 茂木敏充 - Home | Facebook

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