トヨタから街のケーキ屋さんまで「愛知企業」がビジネスに強い理由

 

これからのビジネス、これからのマーケティング

ここ数年、幸福経営、ティール組織、といった、次世代経営や組織のマネジメントの形が、論じられています。「社員が幸せだとビジネスがうまくいく」、「やる気のある社員は顧客も幸せにする」、といったことが言われています。私も100%同感です。企画マンとして30年以上仕事をしてきた私が、痛感しているのは、「いいアイディアはポジティブな姿勢、楽しい雰囲気から生まれる」ということです。

会社がつまらない、上司が嫌だ、と感じていると、残念ですがなかなかいい発想は、出てこないものです。一方で、幸せなだけ、ポジティブな状況さえあれば、いい発想が出て、それが独自性のある製品開発につながったり、市場で売れる製品やサービスになるのか?ということも感じています。

やはりビジネスには、売上と利益がついて回ります。また目標値も、決めていかなければなりません。楽しいだけでは、ゆるい雰囲気が続き、ひいては仲良しクラブで終わることが大半です。

いいアイディアが頻繁に出て、それを具現化して、失敗を繰り返して、その失敗を非難することなく、そこから学び、修正を繰り返して、成果につなげていける、仕組みがあることで、初めて、ビジネスとしての果実がなる、と私は考えています。

雰囲気がいいことを「社風」と呼ぶとしたら、ポジティブで闊達な意見交換ができる仕組みがあることは、「社内文化」ですよね。

今の時代、あなたも気づいている通り、変化のスピードが従来の何倍かになっています。また、変化の中身も予測ができません。ITの発達によるDXの浸透、コロナ禍の継続による「新常態」が、すでにノーマルになってしまっています。

こんな中で、旧来の「顧客ニーズを探って、認知度を上げ、店頭で販促をして買ってもらう」とか、「飛び込み訪問やお願い営業で、関係性を強化して、契約を取る」というやり方が通用しなくなっています。

顧客に価値を提供するのがマーケティングですが、顧客が「自分にとっての価値は何か?」も、わかりづらくなっているので、リサーチをして顧客に聞いてもわからないのです。

このような状況の中で、企業としてはやるべきことは、「市場や、顧客の小さな変化を見逃さないこと」を出発点にすることです。そのためには、営業や、マーケティング、製品開発や技術部、品質担当といった、組織上の役職に囚われることなく、社員1人1人が目を凝らし、「隠れた顧客のニーズは何か?」を探り出すことが必須です。

そして、次のステップとして、「顧客の新しいニーズに対して、うちの会社は何ができるのか?」を、これまた役職関係なく、全員で考え合うことで、新しい製品やサービスを開発することに、取り組むのです。その時に、「私は営業だから関係ない」「品質担当なので売り方はわからない」と言っていてはもったいないですよね。

顧客を見つめること、社員同士がお互いを尊重すること、そして、SDGsのような社会課題の解決も含めて、地域にも貢献できることを、社員総出で考えていくのが、これからのマーケティングです。すなわち、人間を見つめ大事にする、「社員起点のマーケティング」が必要なのです。

ヒューレット・パッカードの創業者が、「マーケティングはマーケティング部に任せるには、重要すぎる」と言いましたが、今まさにその時代に来ているのです。

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