愛知ビジネスと社員起点のマーケティング
社内文化の醸成、組織の仕組みづくり、というと、一見「マーケティングには関係ない」と感じるかもしれません。
もともとマーケティングとは、人間に関する考え方です。「市場にいる人を動かすこと」が目的ですし、調査、分析、戦略立案、製品開発、施策実行など、マーケティングの前後にある、ものやサービスを作り出し、販売するのは、全て社内にいる「人」です。
こう考えてくると、社内起点のマーケティングと、組織や社内文化とは、密接に関係があるものだ、とお分かりいただけることかと思います。
そして、人間を重視するという意味においては、社外にいる、顧客や取引先のビジネス・パートナー、地域の人々、といった関係者も人間です。
さきほど、愛知ビジネスの特徴は、人間関係を大事にすることだ、と書きました。もちろん、愛知企業の特徴は、素晴らしい技術力を持った、製造業という側面もあります。しかし、それを支えているのは、とりもなおさず「人間力」なのです。
先程事例を出した愛知の企業は、上場もしていた大企業ですが、この人間重視の姿勢は、大企業にしか当てはまらない、というわけではありません。
愛知県一宮市に、シトロンヴェール、というケーキ屋さんがあります。おいしいケーキと、洗練された雰囲気で、繁盛しているお店です。ここの名物がプリンセスシリーズ、というオリジナルのデコレーションケーキ。1つ1万円以上するものもあり、一宮市外からわざわざ買いに来る人も多くいます。オーナーシェフが以前、マーケティングを学んだこともあり、独自性抜群の商品です。ビジネスも順調でお店も法人化し、スタッフも増えたそうです。
そのオーナーシェフが気づいたことが、「社員がハッピーだと、いいアイディアが出て、新しいケーキも開発できるし、店内の雰囲気も明るくなった」ということです。そこで今後は、オーナーシェフの思いである、経営理念、目指すビジョンを、冊子として形にして、社員で共有しよう、という取り組みをしました。いわゆるいい雰囲気の社風を、持続的に成長させるための仕組みづくりまでに、持っていこう、ということです。
これも、愛知の企業に脈々と流れる、「人間関係重視」の姿勢の表れなのです。
ビジネスをしていると、どうしても、結果にこだわりすぎ、数字やノルマが目的になりがちです。もちろん、成果を上げること、数値を見える化することは重要です。しかし、製品を生み出し、バリューチェーンにのせ、ユーザーに届けるという一連の流れの、中心にいるのは「人」です。
モノづくりは人づくり。
愛知ビジネスの強さは、「人重視」の姿勢にある、と、特に強く感じています。
(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2022年1月11日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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