この世の地獄。中国とロシアが糸引く「紛争地」で起きている惨劇

 

イラクからの米軍戦闘部隊の撤退を受けて、サウジアラビア王国・UAEとイランが直接的な対話と、対立の棚上げを協議し始めましたが、人権問題でも、中国というバッファーを挟みつつ、中東諸国(スンニ)とイラン(シーア)は共同歩調を取っています。

その見返りは、先ほど触れたように、中国からの経済・技術援助です。中には一帯一路を通じて債務の罠にがんじがらめにされて中国に言いなりにならざるを得ないジレンマに陥っている国もあり、北京詣では債務返済の再調整の依頼が主目的になっていますが、今年になって北京詣でを行う中東諸国やトルコ・イランはそのカテゴリーには入っていません。

2つ目の理由があるとすれば、これらの国々は12月にバイデン大統領主催で行われた“民主主義サミット”に招待されず、ことごとく専制主義だとか権威主義的な政体であり、独裁政権であると、アメリカ政府から見なされたという共通点があります。

これらの国々との関係を深め、ほぼ時期を同じくしてオンラインでの会合を行ったのが中国・ロシアそして中東、アフリカ、イラン、トルコ、そしてニカラグアやグアテマラなどの中南米諸国です。結果、より反米機運が高まり、中国とロシア主導の国家資本主義陣営の影響力が拡大したと言われています。

年明け早々の北京詣では、それらの国々の中国との連帯を示すイベントだと考えられます。

そして3つ目は、2月に開催される北京冬季五輪に、これらの国々はフル参加するということです。これらの国々は、冬の競技で強豪とは考えられていませんが、欧米諸国がことごとく外交的ボイコットに打って出る中、それらへの抗議の意思を示し、かつ中国との連帯を強調する狙いがあるものと考えられます。

裏には経済的な利益がちらつきますし、外交的な側面での連帯の強化というポイントもあるでしょう。

噂では北京冬季五輪時に、中ロに加え、スタン系、そしてパートナー国の会合が開かれるとか。

2022年はこれまで以上に「欧米諸国 vs. 国家資本主義諸国」という世界の2極化が進むように思われます。

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