この世の地獄。中国とロシアが糸引く「紛争地」で起きている惨劇

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開幕まで残り3週間を切った北京五輪。しかしこの「平和とスポーツの祭典」が行われる2022年も、国際社会の混迷は深まるばかりのようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、年明けから続々と「北京詣で」に訪れる各国の意図と中国の企てを解説。さらに中ロの影が見え隠れするエチオピアの紛争の悲惨な現状を紹介するとともに、この混乱が周辺国に与える深刻な影響を考察しています。

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2022年が国際的な大シャッフルの年になりそうな懸念

【北京詣でに勤しむ中東諸国・トルコ、そしてイラン】

今年に入りUAE、サウジアラビア王国、トルコ外相が相次いで北京を公式訪問し、そして近々、イランのライシ大統領と外相が北京入りすることになっています。

いろいろと理由は考えられますが、の最大のものは【中国との安全保障・経済上の戦略的パートナーシップの再確認と強化】でしょう。

その顕著な例はイランですが、核合意をめぐって欧米諸国から非難を浴びせかけられ、経済制裁で締め上げられているイランを救ったのは、同じく核合意の当事国である中国とロシアです。中でも中国は昨年に25年間にわたる戦略的パートナーシップをイラン政府と結んでいます。

イランの首脳は、北京の後、モスクワに移り、ロシアとも同様の数兆円規模の20年超の戦略的パートナーシップを結び、ロシア製の兵器を購入する大型契約を結ぶ見込みで、それはイランの革命防衛隊の戦力の近代化を意味すると言われています。確実にイランは反欧米に舵を切るアピールをしていることになります。

同様の動きは中東諸国でも起きています。サウジアラビア王国とUAEと言えば、中東アラビアにおけるアメリカの同盟国の筆頭格で、トランプ政権時代には密月とも評されるほどの関係でしたが、オバマ政権およびバイデン政権下では、次第に距離を取り始め、中国とロシアへの接近を行っています。産油国から安定的に原油を購入するというカードを用い、中国は中東諸国から外交的な支持を得ています。

中東諸国も専制国家が多く、欧米的に言う人権侵害が多発していると思われますが、中国と同じく欧米から人権問題で口出しをされているという共通点から、数がものをいう国際機関での会合、特に人権理事会などの場では、欧米および日本から人権侵害に関する懸念が評されても、中東諸国は「内政問題に対して他国が口出しをすべきではない」という立場を貫き、中国に対する人権決議が通ることはありません。

同じことは、理事会における批判の矛先が中東諸国に向いているときも同じで、その場合は強力な中国からのバックアップが入ります。

新疆ウイグル自治区問題、チベット問題、香港問題…いろいろな中国の人権侵害への非難が国際的な場でなされても、中東諸国および中国から支援を得ているアフリカ諸国、そして一帯一路諸国は、数の力で非難を葬り去ってしまいます。

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