SNSは便利なツールである一方、トラブルのもとになることもしばしば。SNS上での“人付き合い”はなかなか難しいものです。そこで今回のメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』では、SNSの使い方、コメント返しのコツをご紹介していきます。
オトナの放課後相談室:facebookの私の投稿にすぐに議論をふっかけてくる友人がいます。三方良しなコメント返しの秘訣とは?
Question
facebookの私の投稿にすぐに議論をふっかけてくる友人がいます。「その考えはおかしい!」と極端な反対意見や、望まない議論をふっかけてきて、「君はそれでいいの?」みたいな感じで、煽ってくるのです。例えば、子供の習い事のパパLINE での困りごとをfacebookに書いたら、「空気を読まずに、迷惑だってちゃんと伝えるべき。そういう忖度文化が問題解決を遅らせる。君は、それでいいの?」とを書いてきました。
正直、毎度、面倒くさいです。それに友人限定公開のfacebookとはいえ、仕事関係の人とも繋がっていることもあるので、ある意味で公共スペース。
自分の中では、近況報告や日常のおもしろいことを書き溜める備忘録的な場所なので、議論する場所だとは思っていません。なので毎回、返信に苦慮します。
理想は、ひと笑いできるシャレが利いた返しをしたいのですが、そこまでの技量はなく、いつも無難な返しか、いいね!だけつけてスルーというのが定番になっています。
こういう時に三方良しなコメント返しをできるようになりたいのですが、どうしたら鍛えられるでしょうか?(千葉県/44歳/男性)
A facebookでのコメント合戦はやめて、個別メッセージかメールでコメントを控えていただくお願いを
私にとってもfacebookをはじめとするSNSは 「近況報告や日常のおもしろいことを書き溜める備忘録的な場所」です。
それゆえ、正直言えば、コメントも期待していなければ、コメント返しにも気合をいれておりません 。もしインターネット上でコメントを真剣に返している としたら、 仕事上のメールと、このメルマガぐらいです。 メルマガでは匿名で面識がない にもかかわらず、facebook以上に面白くも真剣に投稿や質問をしてくださる からです。
直接の質問の答えにはなっていませんが、私のささやかな経験から申し上げるのは 「コメントに気を遣うより、面白い日常を観察して投稿することにエネルギーを注ぐ方が良い」 ということです。
日々の「いいね」「コメント」のやりとり は、 友達が5,000人を超えた今、物理的に不可能 な上、 お互いに時間の浪費だと気づいたので、 今や誕生日公開もやめてしまいました。そのおかげで、誕生日が憂鬱でなくなり、日々の誰かの誕生日のお祝いに気を遣うこともなくなりました。
それでもおつきあいいただける奇特な友達に面白い情報を提供することに時間を使った方が、コメントより友達のためになると判断したのです。
さて、本題に戻って、私の講演や研修でも、 twitterなど匿名サイトでの罵詈雑言の応酬、炎上問題の問題 は、よくご質問をいただきます。基本は 「2:6:2の原則で、何をやっても2割のソリが合わない人から好かれることは難しいのでスルーして、2割の人と交流する」「炎上したら、一瞬、アクセスが増えて、新しい2割の友人ができると、ポジティブに考える」 というお答えをしています。
しかし、今回は 実名基本のfacebook、しかも友達限定公開している場での、 お友達から攻めとなると、また 別の問題ですね。
想像するに、このお友達は、自覚こそないでしょうが 「寂しくて誰かに突っかからずにはいられない」「直接は言えないので、facebookの場を借りて攻める」「反論されたら嬉しくなってまた反論してしまう」 という 共依存になりがちなタイプではないでしょうか?
だとしたら、この友達のアイデンティティに関わることなので、 うかつにコメントをすると厄介なことになりかねません。
もしも 「三方良し」と思って、洒落たユーモアのあるコメントが返され、それが今までのやりとりを不快に思っていた他の友達から「いいね」されたり「応援コメント」がついたり したら、その友達は「バカにされ排除された」と感じるかもしれません。
いただいたご相談のニュアンスから、ご自身は「コメントされること」「この友達とつきあうこと」を望んでいないように感じられました。だとしたら、あえて大切なfacebook公開の場で「ことを起こす」必要はないと考えます。
私なら、まずは facebookのメッセージで、個別にその方に直接、こんなメッセージを出すでしょう。かなり ストレートなお願いにはなりますが、 きちんとNOを言うことが大切です。 怒らせないように、それでいて気持ちが伝わるように、あえてよそよそしくていねいな言葉が良いと思います。
●●さん
いつもコメントを書きこんでくださってありがとうございます。しかし、今後はコメントを控えてくださるようにお願いしたくて、本日は直接メッセージをいたしました。
私にとって、facebookは「近況報告や日常のおもしろいことを書き溜める備忘録的な場所」なので、「まじめな議論をする場所」だとは思っていません。私やfacebook仲間にとっては「大切な息抜きの場」であって「人生を考える場」ではないのです。
そもそも「facebookをはじめSNSは議論をするには不適当で、議論は直接会うか、少なくともzoomなどで顔を合わせてやるべき」だというのが「私やfacebook仲間の共通見解」なのです。
ですから、これまでお伝えしてきませんでしたが、facebook仲間の中では、●●さんの議論コメントに疑問を持ち「なんとかしたら」と忠告してくれる人も少なからずいたのです。
●●さんが、私のことを考えてくれるお気持ちはありがたいのですが、私のささやかなfacebookは、その場にふさわしくないと考えます。
ですから、今後は、これまでのようなコメントを控えていただけますよう、心からお願い申し上げます。
本来なら直接お会いして申し上げるべきことですが、仕事や子育てに忙しいため、メッセージでお願いすることをお許しください。
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もしも、その後も友達付き合いをしたい場合は、メッセージではなく、直接会って、上記の内容を直接お話された方が良いでしょう。
いずれにせよ、 こうして本音を伝えれば、おそらく友達は少なからず気分を害する ことでしょう。しかし、 あくまでも、ご自身の想いとfacebookでつながる仲良しの友達のことを優先して考えて下さい。
以降、 おそらくコメントはなくなると思いますが、 メッセージやメールで面倒なことを言ってくる 可能性はあります。そんな時は、一対一にならず、味方になってくれる人とグループで話した方が良いでしょう。もちろん会う時も一人ではなく親しい友人とご一緒に 。そして、ぶれずに 「コメントを書かないで欲しい」と繰り返しましょう。
私が30年ほど前にパソコン通信 を始めた頃、 ニフティ常務でネットワークのご隠居・中村明さんから貴重な教えを受けました。当時のニフティのコミュニティでは、日々相手を罵倒し合うことが常態化していました。そんなコミュニティ荒らしをする人を、中村さんは、一人一人会ってお話を聴いて歩いたそうです。
すると、驚くことに、ほとんどの人は気が弱そうで口下手な人だったとのこと。要は、ネットという武器を手にしたことで、突然気が大きくなって、リアルではできない論争を始めたらしいのです。そして、会ってお願いしたら、以後、コミュニティ荒らしは収まることが多かったそうです。
それ以来、私はネットでの議論は不毛になりがちだと考える ようになりました。 できれば会って話し、打ち解けた上で初めて、ネットでもつながる方が良いと考えています。
本音を伝えることで良い方向に向かうことを祈って おりますが、また 何か困り事がありましたら、お気軽にご相談ください 。
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