フードもドリンクも高品質。虎ノ門の新名所「小虎小路」が成功の予感しかない訳

2022.02.04
 

業種がかぶらず全国から出店

入居する店舗には高橋氏がそれぞれ出店してくれるよう直接アタックした。基本的にフードメニュー、ドリンクメニューのクオリティがしっかりしているところに出店をお願いした。フードメニューが手薄となる「スナック」「バー」は対象から外した。出店している店舗名(業種は店舗名の冠)、運営会社、本社所在地をそれぞれ紹介しよう。

  • 小籠包「蒸川点心」(有限会社ac:鹿児島県鹿屋市)
  • 沖縄料理「美ら酢シャングリラ」(Seebun合同会社:東京都渋谷区)
  • たこ焼き「タコとハイボール」(株式会社フラバーダイニング:長野県塩尻市)
  • 地方創生アンテナショップ「浜焼き真鶴」(G-FACTORY株式会社:東京都新宿区)
  • イタリアン「寅の日」(合同会社Accoglienza:栃木市大平町)
  • 焼肉「YAKINIKU DATEYA」(D.P.T FACTORY:群馬県伊勢崎市)
  • 肉巻料理「NIKUMAKI YASAIべじつつむ」(株式会社YM商店:東京都足立区)
  • 海鮮居酒屋「酒と魚とオトコマエ食堂」(株式会社すぎうら:京都市中央区)
  • フレンチビストロ「大衆酒場 仏男フレンチマン」(有限会社らくちん:京都市中央区)
  • ジンギスカン「ジンギスカンいしい」(P-FUNCTION:東京都葛飾区)
  • 焼鳥「串酒場 バンビ」(合同会社MAKI:鹿児島市中央町)
  • 餃子・鉄板焼「べっぴんや」(株式会社すぎうら:京都市中京区)

このように全国の各地から集まっていて、業種がかぶることなく、既存の業種であっても特徴がはっきりとしたメニューを打ち出している。

店舗の業種は和食に限らず、フレンチ、イタリアン、ジンギスカンなど多岐にわたる(筆者撮影)

店舗の業種は和食に限らず、フレンチ、イタリアン、ジンギスカンなど多岐にわたる(筆者撮影)

プロデュースした高橋氏は地元の広島県福山市内で横丁をプロデュースしていて、そのノウハウがここに十二分に生かされている。高橋氏によると、横丁運営にとって重要なポイントとは「いつもお客様がパンパンに入っていること」。その状態を保つことができないと、いつの間にか横丁の中に「勝ち組」「負け組」が生ずることになるという。そのようなことから、ここが常ににぎわうような仕掛けをつくるという。

お客同士が会話するきっかけをつくる

各店舗共通のルールとして、ビールとハイボールの価格を統一していて、ここでの価格競争をしないこと。また、同じ店内にいるお客と会話をするきっかけをつくる「あちらの方からレモンサワー」というレモンサワーをサービスする仕組み(拒否されたら自分で飲む)や、「一緒にシーシャ」という呼称でシーシャ(水たばこ)を各店舗で販売、「一緒にシーシャしませんか?」というタイミングを演出するために用意している。また、シャンパンをボトルで注文して近くにいるお客にグラスでシャンパンを振舞う「みんなでシャンパン」という仕掛けもある。

ここではランチ営業も行っている。ご飯のメニューもあるが看板となる「ヌードル」のメニューを設けることを条件としている。そこで「麻辣湯麵」「琉球まぜそば」「牛骨の塩生姜ラーメン」「自家製ボロネーゼのスパゲティ」等々、各店はそれぞれの強みを託したヌードルメニューをラインアップしている。

高橋氏によると、「お客様は、横丁の店舗のはしごを平均1.7店舗で楽しんでいただき、客単価は4,000~5,000円を想定している」という。月商目標を6,000万円としている。

「小虎小路」の最大の強みは「居酒屋甲子園公認」となっていることだろう。これらのメンバーの学びに基づいた結束は固い。また地方から東京に訪れる機会が多く、勉強会等の活動を行った後にはここで打ち上げを行うといったシーンは容易に想定できる。

オープン初日の1月19日は、17時オープンと共に店内は満席となった。居酒屋甲子園の関係者はもとより、これらの活動を支えるメーカーなどさまざまなサポーターが詰めかけて「居酒屋」「横丁」を楽しむ一体感があった。何より、フードメニュー、ドリンクメニュー共にクオリティが高いことが、これまでの「横丁」とは一線を画した感動があり、繁盛スポットとして定着していくことであろう。

image by: 千葉哲幸

協力:㈱カロスエンターテイメント 

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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