一方、尹錫悦候補本人は、文大統領の「積弊清算発言謝罪」要求後、「わたし尹錫悦の辞書に政治報復という単語はない」とし「そのことは文大統領とわたしと、同じ考えだ」と語った。さらに「文在寅大統領も常に法と原則による、聖域のない捜査を強調してきた」とし「わたしも権力型不正と腐敗に対しては常に法と原則、公正なシステムによって処理しなければならないと申し上げてきた」と述べたとし、「それはわたしが検察に在職していた時や、政治の畑に飛び込んで今日に至るまで変化がない」とし「（わたし尹錫悦が当選して）執権時に政治報復をするものではない（報復ではなく、不正があれば法に照らして捜査するだけ）」と付け加え、文在寅政府に積弊（不正）などが1ミリもないのであれば、なんでそんなに恐れるのかと締めた。
さすが尹錫悦。最高権力者の謝罪要求にも微動もしない。不正があったらただそれを糺すだけと己の所信をあくまでも貫く姿勢だ。李在明は自分が大統領になれなかったら「オレは刑務所行きだ」と自分の口からすでに言っている始末。文も、もし刑務所行きとなったとしても、それは政治報復などという次元の低いものではなくあくまでも不正をただすという法の精神を素直に発揮された形にすぎない。常にきれいごとを言ってきた文大統領だ。不正がなかったら恐れる必要はない。堂々と雄々しくあれば、それでいいだけだ。
ただ、民主党の中の文在寅派が「尹錫悦、候補を辞退せよ」とシュプレヒコールをあげはじめた。民主党の中は李在明派と文在寅派が水と油の関係でずっときているのだが、尹錫悦発言を受けて李在明派と文在寅派が一つになりそうな雰囲気となっている。所信を貫こうとする尹錫悦らしい堂々たる発言だったのだが、選挙戦からみるとかなりのダメージになることは間違いない。が、かといって、尹錫悦が不当選にまで追い込まれることはないと筆者は見ている。とにかく韓国は、毎日毎日がものすごいニュース特ダネで溢れている。3月9日の投票日までは目の離せない日が続きそうだ。
（無料メルマガ『キムチパワー』2022年2月11日号）
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