列に並ぶ、信号を守る、順番を守る…私たち日本人には当たり前のことですが、外国人からは称賛される文化でもあります。こうした日本人の美徳は今に始まったことではありません。長い歴史の中で培われたことなのです。そこで今回は、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中でそんな“庶民の日本史を”紹介。誇るべき祖先の姿を知ることができます。
【一日一冊】庶民の日本史 ねずさんが描く「よろこびあふれる楽しい国」の人々の物語
『庶民の日本史 ねずさんが描く「よろこびあふれる楽しい国」の人々の物語』
小名木善行 著/グッドブックス
楽しく歴史を教えてくれる「ねずさん」が、今回は私たちの祖先の庶民のリアルな生活について説明してくれる一冊です。
日本は島国であるためか、長い歴史の中で外敵から侵略されることが少なく、庶民の生活は盗みも争いごとも少ない平和な国でした。
その証拠に縄文時代の遺跡からは武器が発見されませんし、『魏志倭人伝』にも「窃盗せず、争訟少なし」と記載されているのです。
そうした日本が武装化したのは弥生時代に入ってからのようで、外敵に対抗するために古墳には弓矢を手にした埴輪が多数発掘されるようになったのです。
縄文時代の遺跡からはいまだにひとつも発見されていないものがあります…人が人を殺すための武器です…3世紀の古墳時代から…刀槍や弓矢を手にした像が多数発掘されています(p45)
日本は島国で独自の道徳観を持っており、そうした道徳を教えることが戦前までの教育のあり方でした。そうした道徳教育が明治から戦後にかけて知識偏重の教育に変わってきましたが、今の時代でも外国人から見ると、日本人は馬鹿に見えることがあるようです。
例えば、横断歩道で信号を守るし、列車のホームでは列をつくって並びます。契約は守るし、できるだけ良いものを作って納めようとします。誰もがやるべきことをやり切り、それを期待できるのが日本なのです。
その一方で、契約を守らない、約束の時間に来ない、お金を振り込まないと納品しない、武力で領土や資源を奪い取る、というのが常識の国も存在します。
それぞれの環境によって常識は変わるので、日本の常識は世界の常識であり、外国人から見れば日本は馬鹿でもあり、素晴らしい国であるとも言えるのでしょう。
ある中国人留学生は、日本に来たばかりのとき、駅のホームで並んで待っている日本人が馬鹿に見えたそうです…降りてくる人も押しのけて電車に乗り込んだ。毎回、席に座ることができたそうです。けれど、ある日、同じように行動するライバルが誰もいないことに気がつきます(p244)
表面的な歴史ではなく、私たちの祖先がどうやって生活していたのだろうと考えてみると、歴史というものはとてもおもしろいものであるとわかりました。
私たちの祖先が作ってくれた日本という国を作り、争いがあれば日本を守るために命をかけて戦ってくれました。私たち子孫のできることは、そうした日本を守り、継承していくことなのでしょう。
本書の最後に、九州の知覧から出征した特攻隊員の遺書を載せているのは反則技で、涙が出てきました。
小名木さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(86点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(お薦めです!ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(買いましょう。素晴らしい本です)
★★★☆☆(社会人として読むべき一冊です)
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★☆☆☆☆(人によっては価値を見い出すかもしれません)
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