韓国では現在「検捜完剥」という単語がよく使われているそうです。これはどのような意味なのでしょうか?今回の無料メルマガ『キムチパワー』では、 その言葉の意味を解説し、同時に尹新政権が今後行おうとしている政策や新たに就任した法務部長官についても詳しく紹介しています。
いま韓国で熱い「検察捜査権の完全剥奪」
今韓国では、「検捜完剥」(コムスワンバク)という単語がホットポテトだ。「検察捜査権の完全剥奪」という意味で、検察の権力が強すぎるから「捜査権」は警察に任せて検察は「起訴権」だけにしろという法案だ。
この法案の根本目的は、尹政権になってからまさに進められようとしている文在寅の犯罪(蔚山市長選挙介入や原発を停止する目的で原発資料を改竄指示など。その他いくつもの「犯罪」がある)および、李在明の大庄洞(デジャンドン)不正事件などの捜査を検察から取り上げようという主旨だ。
300議席のうち過半数をこえる172議席を持つ民主党が4月中にも国会で通過させるだろうことがきのう民主党の党内会議で決まった。党論(党内の全体一致した意見)として可決されたというのだ。
これには左派系列の弁護士団体や市民団体などまで「反対」の声をあげている。検察から捜査権を奪ったら検察の存在理由がなくなるということだ。
去年3月、尹錫悦が「もはやこれまで」として検察総長を辞任し、かわりに文が任命した金オスという人がいる。
尹錫悦の後釜として総長の座についたものの、文在寅の顔色だけを窺って決定的な捜査などしたことのなかった人間が、ここへきて「検捜完剥」に反対するとして文在寅に面会を求めたようだ。
明日にでも面会が実現するのか数日かかるのかはわからないけれど、面会が成り立った時には文に「検捜完剥」法案には大統領の拒否権を使って退けてくれと言うのだそうだ。
国会で法案が通った暁には、これを阻止することができるのは大統領の拒否権だけなのだ。
しかし、文が自分を刑務所の悪夢から解放してくれるかもしれないこの法案を拒否するはずもない。民主党が国会にこの法案を上程した段階で、法案の可決はほぼ100%といっていいだろう。
もしそうなれば、あとは尹政権になってから何らかの方法でもう一度検察に捜査権を与える方途を模索して行くことになるのだろう。
「検捜完剥」問題で韓国全体が大騒ぎとなっているなか、尹錫悦次期大統領は13日午後、新政府=尹錫悦政府の法務部長官に韓東勳(ハン・ドンフン、49、司法研修院27期)司法研修院副院長を指名した。
「引継ぎ委」が配布した候補者資料には、韓東勳氏に関して「特に政治権力、経済権力など社会的強者を対象にした不正腐敗犯罪捜査で歴代比較対象がないほど抜群の成果を収め、『進歩』『保守』陣営を問わない『権力不正捜査の象徴』になった」とし、「これだけでなく、数年間続いたあらゆる逼迫に対抗して公職者の本分を尽くし、常識と正義を守るために努力を傾けた」と評価した。
「今後、法務部のリーダーとして国民だけを見つめ、法治主義を守り抜く適任者」と明示してある。
韓東勳・法務部長官候補は、尹次期大統領がソウル中央地検長を務めた2017年に中央地検第3次長検事を、尹次期大統領が検察総長になった2019年には権力捜査を指揮する最高検察庁反腐敗強力部長を務め、尹錫悦を懸命に補佐した。
しかし、チョ・グク前法務部長官候補一家の捜査で、いわゆる「尹錫悦師団」が政権と対立することになると、韓検事長も2020年1月、秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官によって釜山高等検察庁次長に飛ばされた(左遷)。
その後、法務研修院龍仁分院、法務研修院鎮川本院、司法研修院副院長まで計4回の報復人事(4回の左遷)を受けた。
韓候補は13日の指名直後、記者団に対し、「検察は効率的に実力を持って、法と常識に合わせて陣営を選ばず、悪い奴らを巧みに捕まえればいい」と述べた。
そして、「国民は、ただ法と常識に従って正義が正しく立つ法治国家を望んでいるということを私はよく知っている」とし、「私が公職生活をしている間、強者の不正を厳正に糺すべく努力し、その心と勇気と献身を持って法務部長官として最善を尽くす」と話した。
引継ぎ委の内外では、尹次期大統領が、民主党の内部で12日に「検捜完剥」法案の強行処理を党方針として採択したことを受け、検察捜査権の廃止が現実化するものと判断し、「検捜完剥」法案に対抗する特別捜査庁の設置など代案推進まで考慮した人選という分析も出ている。
これまで韓候補を中央地検長や水原地検長に起用するという観測が多かったが、これらは検察捜査権の維持を前提としていただけに、尹錫悦政府発足前に捜査権が消えてしまえば、ソウル中央地検長ではなんの意味もなくなるという点を考慮した格好だ。
民主党からの反対の声が猛烈に起こっているが、韓東勳氏が法務長官になるのは確実。法と常識に基づいて正義が堂々と立つ国造りに一役も二役もかうことになるだろう。
(無料メルマガ『キムチパワー』2022年4月14日号より一部抜粋)
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