ウクライナとの戦争を起こしているロシアとイランを攻撃したアメリカ。その為政者たちにはある共通の手法があるそうです。今回は、メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんが、とある書籍を引きながらそのロジックについて語っています。
「戦争プロパガンダ10の法則」を再度思い出す
こんにちは!廣田信子です。
2020年1月15日に、ベルギーの歴史学者、アンヌ・モレリの書「戦争プロパガンダ10の法則」の話を書きました。
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「戦争プロパガンダ10の法則」には、20世紀以降の戦争には、為政者が行う共通の手法があるとして、そのメカニズムを示し、為政者が国民を戦争に駆り立てる手法に取り込まれないよう、警鐘を鳴らしているのです。
「戦争プロパガンダ10の法則」
1.われわれは戦争をしたくない
2.敵側が一方的に戦争を望んだ
3.敵の指導者は悪魔のような人間だ
4.われわれは偉大な使命のために戦う
5.敵はわざと残忍な行為に及んでいる
6.敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
7.受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
8.芸術家や知識人も正義の戦いを支持
9.我々の大義は神聖なものである
10.この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である>
本当に、その通りだと思いました。
この時は、アメリカのトランプ大統領の言動に対するものでした。イラン攻撃後、トランプ大統領が発した言葉は、「われわれは戦争を止めるために行動したのであって、戦争を始めるために行動を起こしたのではない」。
これは、まさに、為政者が戦争を始めるときに常に語られるロジックです。
「イランはテロ支援者であり、その核兵器開発は文明世界を脅かしている。われわれには決してそれを実現させない」と言い、正当化の論理が繰り返されます。
この時、イランからのミサイル攻撃の被害を、イラン側は、「少なくても米兵80人が死亡」と伝え、アメリカ側は、「人的被害はなかった」と言っています。
今、ロシア、ウクライナ問題でも、同様なことが行われています。
ロシアの発言に耳を覆いたくなると同時に、ロシアを徹底的に非難しているアメリカのバイデン大統領を見ていて、アメリカも、同じことを行っていたのではないかということに、違和感を感じてしまうことがあります。
その違和感を無視してはいけない。そうしないと、とてつもない世界に巻き込まれそうな…そんな気がしてしまいます。
私は、ロシアの言うことはもちろんですが、EU、アメリカの言うことにも、注意をしていきたいと思います。
「戦争プロパガンダ10の法則」は、自分の国の枠を超えた価値観の源になると思います。
ウクライナの皆さんはもちろんですが、アフガニスタンのタリバン政権下で、命の危機にさらされている皆さん、ミャンマーで軍事政権と戦っている皆さん、みんながどうしているかが心配です。
ウクライナ支援のニュースが流れると、それは、すばらしいことなのですが、アジアで厳しい状況にある人たちのことを思い、何ともいたたまれなくなります。
戦争がない…というだけで恵まれている日本…この時期の日本に生まれているということを、どう未来につなげて行けばいいのか…本当に考えてしまいます。
「戦争プロパガンダ10の法則」は、絶対に忘れないようし、その法則をとってしまう為政者を生まないような政治が必要だと改めて思いました。
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