挫折から立ち上がった男が年間2700万個売れるプリンを作るまで

 

何のためにお菓子づくりをしているのか、本当にお菓子屋になりたかったのだろうかと疑問が湧き、一度この業界から離れることを決めたのです。その後は泊まり込みで、北軽井沢のペンションの仕事に就きました。

そして2年目の冬を迎えた頃、私の履歴書を見たオーナーから「クリスマスケーキをつくってくれないか」と声を掛けられました。

道具も揃っていない中、一所懸命にケーキをつくる私を見て、オーナーはぽつりと、こう言ったのです。「所くんはお菓子づくりをしている時が一番楽しそうだね」と。あぁ、お菓子の世界に戻ろう──。そのきっかけをくれた、ひと言でした。

それから数店舗での勤務を経て出会ったのが、外食産業企業チタカ・インターナショナル・フーズが経営する小さな洋菓子店「パステル」でした。

私に与えられた課題は、リーズナブルなパスタのセットメニューに合う、新しいデザートをつくること。そこで着目したのがプリンでした。

ただ、普通のプリンじゃつまらない。その頃流行り始めていたティラミスや、クリームブリュレのなめらかな食感にヒントを得ました。この食感は日本人に合うかもしれない、と。

フランス菓子のように甘すぎず、濃すぎず、とろっとなめらかな優しい味のプリンをつくれないだろうか。何度も何度も試作を重ね、ついにできあがったのが、後に年間2,700万個を販売する大ヒット商品、パステルの「なめらかプリン」です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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