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がんや大きな病気の予防にもなる「主観的健康度」とは何か?

長寿大国である日本ですが、老後の心配が解消されるような社会にはいまだに至っていません。不安の尽きない長い人生の中で、せめて若くいるために何ができるのでしょうか?今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、科学的に「若さ」を追求した方法を語っています。

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長寿大国ニッポン。若さを保つには何が必要か?

日本人の平均寿命が、男性81.47歳、女性87.57歳で、前年に比べ、男性は0.09歳、女性は0.14歳、短くなったことがわかりました。原因は新型コロナウイルス感染症。寿命が前年を下回るのは、東日本大震災以来だそうです。

前年を下回ったとはいえ、日本が長寿大国であることに変わりありません。

昭和生まれからしたら、まさにミラクル!50年前の男性の平均寿命は60代でしたから、こんなに長生きすることになるとは全くの想定外です。「あと何年生きられるか?」を示す平均余命は、50歳の場合、男性であと32.93年女性ではあと38.61年“も”ある。そうです、あと30年以上“も“生きられてしまうのです。

医療技術の進歩などにより平均寿命は爆発的に伸びているのに、より良く生きられる社会には決してなっていません。

若い頃に夢見た「悠々自適」という甘美な4文字は死語と化し、50歳を過ぎても綱渡り人生を歩まされているのが、今の日本社会です。

寿命が延びるのはいいことなのかもしれませんが、それでもやはり素直に喜べない。「人生100年時代? 何がめでたい!」と文句の一つや二つ言いたくなりますよね。

だいたい健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である「健康寿命」は、男性72.68歳、女性75.38歳と、どちらもの70代です。数年前に比べれば、平均寿命と健康寿命の差は縮小したとはいえ、10年以上も不自由な生活を余儀なくされるのは・・・切ないとしかいいようがありません。

昨日までできていたことが、一つ一つできなくなっていく「老い」を受け入れるのは難儀なこと。できることなら最後まで自分のことくらい自分でやりたい、いくつになっても若い体や心のままで生きていたい・・・それは「私」たち共通の願いではないでしょうか。

そこで最近注目されているのが、「生活習慣の見直しこそが、健康で老いる最良の手段」という古くから言われていることを、科学的に検証する方法論です。

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このような研究は主に長寿研究の分野で進められているのですが、健康社会学でも類似の研究が増えてきました。

具体的には、「食べ過ぎない」「運動をする」「社会的な参加をする」という古くから言われていることに加え、特に重要視されているのが、「私は健康です!」と即答できる主観的な健康です。

主観的健康度が高い人ほど「疾患の有無にかかわらず生存率が高い」ことや、「病気の予後や平均余命にも強く影響を与える」ことがわかっています。

私が関わった調査研究でも、主観的健康度の高い人は術後の経過が良く、リハビリの効果も出やすいことに加え、人生満足度や職業満足度が高いことが確認されました。

主観的健康の効果はそれだけではありません。なんと、心疾患やがんといったストレスとの関連の高い病気への、単独の予測因子にもなることが追跡研究でわかってきているのです。

それは「主観的健康」が、ストレス状態に強く影響を受けていることを意味しています。

そもそも主観的健康は、1946年にWHO(世界保健機関)が健康を以下のように定義したことから派生した指標です。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること。

精神的・社会的とは・・・

こと。このような環境があることで、私たちは「健康だ」と知覚できる。他者との関わりがある、会話がある、尊厳をがある、などの心が温まる環境を作ることで、「私」の主観的健康は向上するのです。

では、「私」たちの社会は、精神的・社会的な健康を享受できる社会になっているでしょうか。

みなさまのご意見、お聞かせください。

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image by: Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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