前回の記事『恐ろしい真実。統一教会が日本人女性を韓国人と結婚させる「本当の理由」』では、今なにかと話題の旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の実態について書かれた一冊を紹介してくれたメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』。今回は、「新宗教」に入信している芸能人について書かれた一冊を紹介しています。
【一日一冊】芸能人と新宗教
『芸能人と新宗教』
島田裕巳 著/イースト・プレス
統一教会を調査するなかで新宗教について興味をもち手にした一冊です。タイトルのわりには芸能人についてあまり書いていない印象でした。
芸能人については「週刊文春」の2012年5月17日号に掲載された「最新版芸能人『新興宗教』入信リスト」の内容を紹介しています。
芸能人で有名なところでは創価学会員の久本雅美でしょう。昨年打ち切りになった「メレンゲの気持ち」では、久本雅美の力なのか、同じ創価学会員である柴田理恵や相田翔子など、創価学会に関係する芸能人がゲスト出演することが少なくなかったとしています。
創価学会を含む新宗教は、何よりも「現世利益」を説いていますので、創価学会員になるとメリットがあるということなのでしょう。
創価学会関係で驚いたのは、宮古島と石垣島のあいだにある多良間島や水納島からなる多良間村では、公明党の得票率が50%近くとの記載があり、離島で創価学会が浸透していることです。創価学会は中国共産党とも近いため注意が必要と感じました。
1994年、創価学会の本部幹部会の中継…山本リンダ、雪村いづみと朝比奈マリアの母子、沢たまき、田中美奈子、相田翔子…が映っていました(p40)
印象的だったのは、大きくなっている新宗教は、信者拡大とお金について貪欲であったということです。
例えば、創価学会会長であった池田氏は、日蓮正宗の総本山大石寺の総講頭の地位にありました。講のリーダーでした。講とは、信者で金を出し合い、助けあう仕組みです。天理教も「講を結ぶ」ことから教団の組織化を進めたといわれています。
創価学会では12月に「財務」という名の献金が求められています。一人1万円が目標になっていますが、10万、100万、1,000万円財務する人もいるという。また、会館を建てるときには「供養」と称する資金集めが行われるという。
天理教でも勢力を拡大していた明治から大正の時代には、「貧に落ちきれ」と統一教会と同じように信者に全財産を献金するよう促していたという。
創価学会などは、じつは講としての性格を持っていました…天理教の開祖である中山みきも、信者にむかって「講を結ぼうやないか」と呼びかけ、教団の組織化を促したとされています(p79)
幸福の科学は信者が、大川総裁の離婚などの影響で1万人が半減したとか、宮沢賢治は日蓮宗系であるなど興味深い一冊でした。
こうして見ていると、新宗教とは都市化が進む日本の中で、寂しい日本人に求めていた仲間というか、居場所を提供しながら成長してきたように感じました。
仲間がいて、入信すれば現世利益が得られるとすれば、入信する人もいると思うのです。そして仲間がどんどん増えていけば、ますます増やそうということで組織を大きくしていったのでしょう。
今の日本は人口減少、高齢化が進んでいますので、新宗教もその流れの中でなんとかやっているのだと感じました。
島田さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★☆☆(75点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
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