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日本企業の会議が「時間ばかりかかって実りがない」当然すぎる理由

日本の会議は時間がかかる割に実がないと海外でも揶揄されることが多いですが、オンライン会議に切り替わった今でも無駄な会議の時間は流れ続けているようです。そこで、今回のメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』では、著者で、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されている尾原和啓さんが、テレビ朝日のエグゼクティブアナウンサーである平石直之氏との対談から得た学びを共有しています。

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会議での対話をなめらかで実りあるものにするために、やるべきことたった2つのルールを解説

先日、ひろゆきから政治家まで実りある議論を培うアベプラ平石さんと対談をさせていただいたのですが、平石さんの「超ファシリテーション力」、これが本当にやばかった。

今日は尾原が「超ファシリテーション力」から学んだ、会議(特に3人以上集まった会議)での対話をなめらかで実りあるものにするために、やるべきことたった2つという話をしていきたいと思います。

会議での対話を実りあるものにするたった2つの方法

簡単に言うと、1つ目は「全員が話す機会を提供する・リスペクトすることを言葉と態度で示す」です。そして2つ目は「限られた時間の中でみんなで結果を出していくために、ある程度の議論の介入をしていくこと・介入・加速する役割がファシリテーターであることを共通のゲームルールとして認識する」です。

・全員で意見を出す、リスペクトを持って話すという宣言
・「ファシリテーターが、時間の中で有意義な回答をどう出していくかをやっていく」というゲームルールをちゃんと提示する

この2つですね。これをちゃんとやることが大事なんです。

人間って特に5人以上の会議とかだと、「話さなくても聞いているだけで大丈夫」ってなったり「前の人と同じ感じです」みたいに受け流したりする。そうなると自分の頭で考えないんですよね。

それが事前に「今日の会議では一人ひとりの意見を聞いていきますのでよろしくお願いしますね」とか「○○はこうでしたけど、○○はどうですか?」みたいなことを言われると、「自分ならではの意見は何だろう?」って考え始める。アウトプットが多様な方向から出るので、議論が立体的になって新しい結論が出てくるんです。

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日本の会議って、偉い人が何か1つ言うとそこになびいていくし、「反論してもしょうがないや」ってことで言わなくなる。

超ファシリテーション力でものすごく大事なことは、ファシリテーターが自分の意見が言いにくい人に対して「今のタイミングで言ったらどうですか?」と目配せをしたり、「今までこういう意見があって前からこういう意見をおっしゃっていますけど、例えばどう思いますか?」みたいに、ちゃんと離陸路を作ってあげることです。そうすることで安心してしゃべれます。

逆にしゃべりすぎてしまう人に対しては、「今日は10人の意見を聞いて回りたいので、前半30分の間に1人2分くらいを目途にしながら意見を聞いて回って、その論点を後半まとめていきたいと思います。最初にぜひ○○さんのご意見を2分でお願いします」と事前に言っておく。そして、その方の話が長くなったら「2分でまとめていきたいので、いったんここまでにさせていただいて、みなさんの意見を聞いてから回りましょう」と言うことです。そうすると、意見の強い人にも「ちゃんと自分の言っていることが理解された上で、全員のために止めているんだな」と理解していただける。

このように、「リスペクトをもって全員の意見を聞くよ」という宣言をするのがめちゃくちゃ大事なんですよね。

もう1つ大事なことは、とはいえ全員の意見を引き出すと(某元首相が「女性が入ると会議が長くなる」という話をされましたが)時間が掛かります。論点が違う人から意見を聞けば、別の角度からいろんなものが見えてくる。そこを解決するためには当然時間が要るという話です。

いろんな人がいろんな方向から見ると、会議の時間は長くなるわけですよね。でも、会議では1時間なら1時間の中で結論を出すことが大事です。だとすると多様な論点をもらえばもらうほど、だれかが凝縮して時間を切って、「こことここの違いがあるけど、今回はここが大事だからここを話しましょう」「ここについては今日の時間の中で結論を出して、ここは次回でいいですね」と、論点をわける必要がある。論点をわけるためには「今の話はここまででやめましょう。ここに戻りませんか?」って、だれかが言わなきゃいけない。だから、「この役割をファシリテーターの人にまかせていきましょう」ってことを共通ルールとして持てばいいんですよね。

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会議において全員がファシリテーション力を持っていなくてもいいんですよ。それを一番持っていそうな人に、「あなたが今日はやってくれませんか?」と言って任せればいい。時間の中で共通のルールを決めて、凝縮して結論を出すことが決まっていたら、ファシリテーターが「このスケジュールだけで考えたら、あと15分で論点1の中のここの部分だけでも結論が出せればいいと思うんだけど、どう思う?」と言って、ファシリテーターを中心にいろんな人がよい結論の出し方をアドバイスしていくことができるわけですよね。

こんなふうに、変化の時代はいろんな方向から見て、新しい道で新しい視点を見ることが大事です。「全員発言リスペクト」と「時間内に有効な結果を出そうというゲームルール」、この2つを守るだけで会議の生産性がよくなっていきます。これは会議だけじゃなくて、3人以上の日常会話やいろんなシチュエーションで使えるものです。

というわけで

平石さんの話はめちゃくちゃわかりやすいので、本もぜひ見ていただければです。そして何よりも、この本は第1章の「心構え」がものすごくやさしい。いろんな人の個性を尊重しながら意見を引き出していく、という姿勢がものすごく溢れていてすごく勉強になるし、第4章の「こういう会議の時にこういうことを言いましょう」みたいなキラートーク集もすぐに使える実践的なものなので、ぜひみなさん手に取っていただければです。

この本をメンバーの方に渡して「ヒントにしたらいいんじゃない?」ってやったり、場合によってはメンバー全員にこれをパパっと読んでもらって「今日はこれでやってみない?」ってやる。それだけでみんなの話し合いの力が上がり、結果としてその場にいる人の能力が最大に引き出される。それぞれの個性も増えるし成長もすると思うんですよね。

ということで、ぜひ平石さんの『超ファシリテーション力』みなさん楽しんでいただければです。

※ 参考書籍
超ファシリテーション力』平石直之 著/アスコム

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image by: Shutterstock.com

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

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