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Little boy is scared of his terrible father

統一教会に10億円も献金し続けた女性の子供が「自殺未遂」した理由

安倍元首相が銃殺された事件が引き金となり、旧統一教会と政治家の関係がメディアで大きな話題になり続けています。そんな中、注目されているのが「宗教二世」と呼ばれる問題です。メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、新宗教を取材し、信者の子どもたちについて詳しく調査した内容を紹介しています。

【一日一冊】カルトの子─心を盗まれた家族

カルトの子─心を盗まれた家族

米本和広 著/文藝春秋

オウム真理教、エホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)、統一教会、幸福会ヤマギシ会といった新宗教を取材する中で、著者が出会った信者の子どもたちがどうなっているのか、教えてくれる内容となっています。

この本のプロローグでは、30年間、統一教会の信者として高額な印鑑や壺を売ってきた人が出てきます。これまで10億円は献金したという。59歳になって、組織の間違いに気づき、退会したというのです。さらに恐ろしいのは、59歳元信者の娘は精神的に不安定で、職場でのちょっとしたミスで自殺未遂をしたというのです。

著者が思い出したのは、ヤマギシ会という集団農場で育った女性です。彼女は18歳でヤマギシ会を去ったのですが、アルバイトをしながら、夜に飲み屋で男と知り合い、交際しては、すぐに男を替えるという生活を送っていたということです。

人を幸せにするはずの新宗教の信者の子どもがこのようなことになっているのは、何か間違っているのではないか、というのが著者の思いなのです。

(統一協会の)「神の子」は自殺未遂を図り、ヤマギシ会の子は夜な夜な男を替える、これはいったいどういうことなのか(p12)

子どもを施設に隔離しているという点では、オウム真理教とヤマギシ会となります。オウムでは百人強の子どもが社会から隔離されていましたが、ヤマギシ会では2,000人が「ヤマギシズム学園」の高等部で毎日農作業をやらされているという。

ヤマギシ会とは、人の執着心を捨て去れば、争いやいがみ合いのない「全人幸福社会」が出現するとした自給自足を目指す団体です。

信者は集団農場で働いているのですが、子どもも集団農場で働かせているのです。さらに執着心を捨てているから、朝から夜まで労働が続くというのです。反抗すれば執着心が取れていないということで、暴力という指導を受けるというのです。

ヤマギシ会ではそうした子どもの労働、暴力だけでなく、成人した女子が自分の意思とは関係なくヤマギシ会の中の中年男性と結婚させられるということでしょう。

結婚をコントロールされるだけでなく村の中で離婚、再婚が頻繁に繰り返され、統一教会と似て、非常に性的に乱れている印象が強いのです。

(ヤマギシ会で)竹刀で殴られたり、背中に熱湯をかけられたり、池の中に突き落とされたり。いっぱいある(p189)

統一教会の二世については、日本だけで10万人を超えるのではないかと推測されています。信者の家族は全財産を献金するだけでなく、霊感商法や商品販売、政治家の手伝いに駆り出され、家族と向き合う時間が少ないというのです。

合同結婚式で結婚することになった韓国の女性が文鮮明の長男、孝進の愛人だということがわかり、自殺未遂を図った青年もいるという。信者の中では有名な事件らしいのですが、統一教会の中での性的な乱れを示していると考えられています。

問題のある宗教は、子どもにまで影響を与えるということだと思いました。関係する人たちの人生を大きく変えるのです。

米本さん、良い本をありがとうございました。

【私の評価】★★★☆☆(79点)

<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
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★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)

image by: Shutterstock.com

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