MAG2 NEWS MENU

driving a car

カネと権力は人を狂わせる?韓国企業の社長はなぜ社員を脅したのか

韓国企業の社長がイギリスで社用車をぶつけたことに端を発した、とあるトラブル。それに巻き込まれたのは、メルマガ『Taku Yamaneのイェーデン・ターク』の著者で長くドイツに暮らすTaku Yamaneさんです。ヨーロッパらしさとアジアらしさが詰まったそのトラブルについて詳しく明かしています。

この記事の著者・Taku Yamaneさんのメルマガ

初月無料で読む

「社長が起こした自動車事故で相手方から脅されている」と相談された話

いつもご愛読ありがとうございます。

今回は最近我が社で起こった、ちょっとしたトラブルの話をしようと思います。

ヨーロッパらしさと、アジアらしさが詰まっている話だなと感じたので。

僕が勤めている会社は保険のブローカーで、主に在独法人企業にドイツの保険を仲介し、仲介手数料をもらって売り上げにしています。仲介ですから保険の売り買いの他にも、事故が起これば請求手続きの手伝いをしたりもします。

何かと不親切なドイツの他のブローカーと比べて、日本人的なサービスが提供できるのが売りなので、何かとお客さんからは頼りにされ過ぎちゃうのが辛い所でもあります。

そんな我々のクライアントの中に、一社だけ韓国企業があります。結構大事なお客さんなのですが、彼らのスタンスもあまり日本と変わらず、割と無理難題を押し付けてきたりします。

で、最近僕指名でこんな話がこの会社から来ました。

「1年前に社長が起こした自動車事故で、相手方に脅されているので何とかしてほしい」

正直これを見た瞬間、「うちの仕事ではない」と無視したい所ですが大事なお客さんなんでそうはいきません。

経緯はこうです。

約1年前、この韓国企業の社長がイギリスで社用車を他人の車にぶつけました。止まってる車にぶつけたので社長に100%責任があり、賠償責任をその社用車の自動車保険でまかないました。結果的に保険会社からは車の修理費用諸々で計8,000ユーロ弱支払われました。

ただ、これでなぜか相手方は納得せず、車が使えなかったせいで発生した電車代や営業停止の損害費用を1年後に請求してきたのです。その額が6,300ユーロ。保険会社はドイツの法律に基づいて損害額を試算しています。最大100ミリオンユーロまで損害額を支払い、その中には代車費用なども含まれます。要は保険会社の判断はほぼ絶対なのです。

この記事の著者・Taku Yamaneさんのメルマガ

初月無料で読む

今回、相手方の6,300ユーロの請求は非論理的だとして拒否されました。当たり前です。

なのに相手方はそれに納得せず、今度は当時の運転手だったクライアントの社長に直接連絡をしてきたのです。「保険会社が誠実な対応をしないので、お前が払え。さもなければ法的手段に出る」と。

正直、こんなものメールも電話も全部ブロックしてそれでお終いなんですけど、攻撃されてるのが社長だったのが話をこじらせました。彼は自分の部下に命令で何とかするようにプレッシャーをかけ、その部下は私に連絡してきたのです。彼らにしてみれば、保険会社が誠実な対応を取らなかったので、社長が困っているということでしょう。こんなのヒラ社員とか、個人のお客さんだったら「この案件は全部クローズしています」で終わりです。それでも契約解消されてしまっては元も子もないので、相手を納得させます。

結果的に、保険会社と事故相手方とのコレスポンデンスを公開して、溜飲を下げてもらいました。本当は相手の個人情報等の問題があるので、やってはいけないんですけどね。大事なのはあくまでお客さんなんで。

我々は保険の契約をもらってるのでまだ許せますが、可哀想なのはクライアントの社員さんです。ただの社長が個人的な問題で、プレッシャーを受け、社長のために弁護士に相談までしたそうです。

権力があるってのは良いよなーと感じます。本当に権力者というのは、自分が皆から恐れられていたり、ヨイショされているという感覚に鈍感になっていきます。かつては皆そうではなかったはずですが、お金と権力は人を盲目にします。

皆当人の権力を重んじているのに対して、当の本人はそれが自分の人格から出ているものだと勘違いしてしまうんですね。僕は世の中のお金を持っている人、または権力を持っている人で普通の感覚の人に会ったことがありません。皆どこかしら独善的です。

人間とは恐ろしいものだなと、我ながら感じますね。

この記事の著者・Taku Yamaneさんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

Namaka Yetこの著者の記事一覧

1991年大阪生まれ 2009年:大阪府立生野高校卒業、神戸大学国際文化学部入学 2011年9月~2012年6月:オーストリア・グラーツ大学留学 2014年3月:神戸大学卒業 同年4月~3月:高校英語科講師 2015年:地元市役所入庁、病院事務局、税務課を歴任 2016年4月~2017年3月:適応障害により休職 2017年4月~7月:再度高校の英語講師 2017年9月:ドイツ、ドレスデンにワーキングホリデー 2018年3月~7月:ドイツ、ツィッタウにて大学の語学準備コース 2018年10月~2020年2月:ドイツ、ゲルリッツ大学文化マネジメントコース


趣味:バイオリン、スポーツ観戦 特技:ダイエット 好きな食べ物:たこのから揚げ 好きな女性タレント:川島海荷、小川彩佳(テレビ朝日) 好きな作家:森鴎外 好きな芸人:ダウンタウン松本人志 尊敬する人:落合博満 変な癖:CDショップや本屋に行くと便意を催す

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 Namaka Yetのグーテンモルゲン 』

【著者】 Namaka Yet 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 火曜日

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け