バイデンも頼りにならず。すでに3選確実な習近平を前に無力な岸田首相の情けなさ

2022.09.29
 

久々の外遊で見せた習近平の新戦略

習近平総書記が先頃、ウズベキスタンとカザフスタンを歴訪した。外遊は実に2年8か月ぶりのことだ。

ウズベキスタンでは、上海協力機構(SCO)首脳会議に出席したが、同じく会議に出席したロシアのプーチン大統領と9月15日に行った首脳会談には驚かされた。

習近平総書記は、会議に参加した首脳と個別の会談を行ったが、プーチン大統領と会談したのは、中央アジア4か国とモンゴルに次いで6番目。この順番は「あまり重視していませんよ」と匂わせたようなものだ。

ちなみに、上海協力機構は、中国とロシアが主導する地域協力組織で、中国、ロシアのほかインド、パキスタン、中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)、イランの9か国が加盟している。

日本人には馴染みが薄いが、加盟国を合わせた人口は世界の半数近くを占め、GDPでも2割に上る無視できない強大な組織である。

習近平総書記はこの場を、9年前に提唱して推し進めてきた広域経済構想「一帯一路」の成功を内外に見せつける機会として利用した。

そしてプーチン大統領との会談では、今年2月、北京冬季オリンピック開幕直前の和やかな会談とは打って変わり、笑顔ひとつなく用意された文面を淡々と読み上げることに終始した。ウクライナ問題にも言及することはなかった。

対してプーチン大統領は、落ち着きがなく、時折、苦悶の表情を浮かべながら、習近平総書記の話を聞いていたが、話を切り出すと、「中国のバランスの取れた立場を高く評価している。我々は中国側の懸念を理解している」「我々は『ひとつの中国』の原則を堅持している。台湾海峡における米国とその衛星国の挑発を非難する」などと述べて、習近平総書記におもねるフレーズを連発した。

つまり、中ロ首脳会談は、中国からすれば、習近平総書記による「一帯一路」の成功とロシアとべったりな関係ではないことをアピールすることに成功した会議。一方、ロシア側からすれば、国際社会からの孤立を防ぐために中国に擦り寄るしかないという窮状が露わになった会議と言えるだろう。

かくして習近平総書記は、北戴河会議で長老たちの批判をかわし、上海協力機構という強大な組織で存在感を示した。

大事な中国共産党大会を前に外遊できること自体、3選に揺らぎがないという証だと思うが、したたかに足場を固めてきた習近平総書記は、この先、さらに権力を強化し、“アジアの怪物”として日本の前に立ち塞がる可能性が高くなったと言えるだろう。

足場が崩れつつある岸田首相

こうした中、岸田首相は厳しい局面に立たされている。失速が止まらず、足場を固めるどころか崩れかかっている。

10月4日、岸田首相は首相就任1年を迎える。しかし、自民党内からは、「岸田さんのままでは、来年春の統一地方選挙は戦えない」「来年5月の広島サミットを花道に、では遅い」といった声が聞こえてくる。

参議院選挙で圧勝してから3カ月足らず。岸田首相の永田町における求心力は、今や遠心力に変わっている。

連日、報道されたように、岸田首相は9月21日(現地時間20日)、国連総会で一般演説に臨んだのを皮切りに、ニューヨークを舞台に首脳外交などを着々とこなした。しかし、岸田首相が得意とする外交も、政権浮揚、支持率回復には寄与しない。

それだけ「毎日ショック」は大きい。毎日新聞が9月17日、18日に実施した世論調査では、内閣支持率は危険水域となる29%まで落ち込み、不支持率は実に64%に達した。

これまで支持率が比較的高めに出ていたNHKや産経新聞の世論調査でも、軒並み40%台前半と、少なくとも黄信号が灯る状態まで急落している。

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