バイデンも頼りにならず。すでに3選確実な習近平を前に無力な岸田首相の情けなさ

2022.09.29
 

岸田首相に浮上の目はない

9月27日に安倍元首相の国葬を執り行い、滞りなく弔問外交をこなしたとしても、国民の反発や疑問はしばらく続く。

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題も、自民党が9月8日に発表した党所属国会議員の調査結果で氏名が公表されなかった木原誠二官房副長官らの新たな関わりが浮上し、“報告漏れ”が相次いだこと、そして山際経済再生相が旧統一教会関連のイベントに出席していたことを認めたことなど、国民の不信感は頂点に達している。

これに、OPECプラス(石油輸出国機構とロシアなど産油国)が原油減産を決めたことに伴う原油高、10月から約6,500品目が値上げとなる空前の物価高、そして、1ドル=150円まで下落する可能性すら出てきた円安が追い討ちをかける。

10月からは臨時国会が召集され与野党の論戦が火ぶたを切るが、岸田首相にとっては最悪のタイミングで質疑が続くことになる。

防戦一方となって、内閣支持率は軒並み30%を割り込む「危険水域」になるかもしれない。

私は先頃、他メディアの記事で、岸田首相がさらに追い込まれれば、衆議院の解散に踏み切るのでは?との論調を目にした。これは間違いだ。

「衆議院の10増10減で新たな区割りになったところでは支部長を決めなきゃいけないのにそれすら進んでいない。今の支持率では解散できないだろうが、この先もできない」

自民党議員からはこのような本音が漏れる。つまり、岸田首相は八方ふさがりの中、10月に国民の批判と野党の追及を正面から受けることになるのだ。

自民党所属国会議員381人(衆参議長を含む)の中で岸田派はわずか43人。全体の11%にすぎない。党内基盤が脆弱であることに加え、世論の支持も失えば、政権はダッチロール状態にならざるを得ない。

年内に岸田降ろし?

私は、10月解散はない、と見ているが、「10月は政局になる。遠出はできない」と腹を括る官邸関係者もいて、年内に10増10減の区割りを待たず解散、もしくは岸田降ろしの突風が吹く可能性も否定できない。

そのような政権が、3選はおろか、それ以降の体制作りも進めている“アジアの怪物”と対峙できるだろうか。

岸田首相が頼みにするアメリカのバイデン大統領も、11月8日に行われる中間選挙では、自ら率いる民主党が上下両院ともに共和党に敗北する公算が大きい。そうなるとバイデン大統領の政策はことごとく議会で却下され、政権はレームダック化していく。

本格的な秋の到来を前に、習近平総書記だけがほくそ笑んでいるに相違ない。

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著書紹介:ゼレンスキー勇気の言葉100
清水克彦 著/ワニブックス

清水克彦(しみず・かつひこ)プロフィール
政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師。愛媛県今治市生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得期退学。文化放送入社後、政治・外信記者。アメリカ留学後、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーなどを歴任。現在は報道デスク兼解説委員のかたわら執筆、講演活動もこなす。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP文庫)、『台湾有事』『安倍政権の罠』(ともに平凡社新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『人生、降りた方がことがいっぱいある』(青春出版社)、『40代あなたが今やるべきこと』(中経の文庫)、『ゼレンスキー勇気の言葉100』(ワニブックス)ほか多数。

image by : Shag 7799 / Shutterstock.com

清水克彦

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