本業もコラボも絶好調。なぜドムドムハンバーガーはここまで人気が高いのか

コロナ禍にあっても出店を続けた。これは2020年9月にオープンした「浅草花やしき店」
 

キャラクターから「ドムドム」を知る

これらのコラボやポップアップストアの展開は、一番上で紹介した2019年夏の「フラボア」とのコラボに始まる。これはどのようなきっかけで始まったのだろうか。藤﨑氏はこう語る。

「フラボラさんから『コラボをやりたい』とお声掛けをいただき私は絶対に実現したかった。ドムドムの店舗は主に町場のスーパーマーケットに併設していて、店舗規模は小さく限られたお客様に守っていただいている。そこで新しい施策を打ったとしても新たなお客様の反応を蓄積できないと考えていた。私は常々全く違う人たちの反応を見たいと思い、このような人たちとコンタクトを取りたかった。もう一つは、どむぞうくんの可能性がどこにあるのかということを知りたかった」

藤﨑氏は「転機到来」という感覚を抱いたのであろう。その後、このような試みはハンバーガーショップとどのように関連するようになったのだろうか。

「これらの経験はすべて良かった。アパレルをはじめとした方々と協業することによって、先方から私どもの存在を発信していただいたということはとても心強い。どむぞうくんのぬいぐるみを見て「このキャラ何?」とか「ハンバーガーも売っているの?」といった感じで、いまいろいろな伝わり方をしている」

ちなみに「ドムドムハンバーガー」のツイッターのフォロワー数はコロナ前約1万であったが、2020年のコロナ禍となってから急激に伸びていま4万5,000あたりとなっている。藤﨑氏は「この数字に自信を持っている」と語る。それは同社がキャンペーンを行うなどして意図的に増やした数字でなく、この間に自然と増えた数字であるから。そこで、同社がツイッターで挙げたものに対して「いいね!」の数がとても多く、ファンの人たちが心のこもったリツイートをしてくれるという。

ハンバーガーの商品開発も活発になっている。今年の事例では6月23日から「ゴーヤチャンプルーバーガー」を発売。苦さを控えめにしてかつお節をトッピングして風味を出している。7月23日から発売された「ジーパイバーガー」を発売。鶏むね肉の大きなからあげを花山椒と唐辛子で香り付けした台湾屋台のメニュー。10月1日から「びたびたバターフィッシュ」を発売。スケソウダラの一枚もののフライを芳醇な香りのバターソースで“びたびた”にしている。存在感のある期間限定メニューは「ドムドムらしさ」としてファンに広がった。これらの期間限定メニューが発売されると、ドムドム店舗は休日に客数が1.5倍に増えるという。ドムドムファンが購入に訪れているということだ。

「ドムドムバーガー」が多様な展開をするようになって、フードメニューも“映え”があり食味に記憶が残るヒット商品を生み出している

「ドムドムバーガー」が多様な展開をするようになって、フードメニューも“映え”があり食味に記憶が残るヒット商品を生み出している

藤﨑氏は自信が社長に就任して以来をこのように振り返る。

「一つ一つ階段を上がって今日に至っている。一つ一つ上がっていく前段階で、例えば『ハンバーガー屋がマスクをつくっていいのか』『洋服屋とコラボをしていいのか』という課題と向き合うことになる。しかし、ここを踏み越えると後は自然と流れていく」

このような業界の常識や慣習に拘泥しない藤﨑氏の発想が「ドムドムの逆襲」をもたらしているのであろう。

image by: 千葉哲幸
協力:ドムドムフードサービス

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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