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【有田芳生×多田文明 Vol.4】「殉教者」安倍晋三が統一教会を暴走させる?国会議員信者化工作に要警戒、団体規制法で監視せよ

今も世論の注目を集めている「旧統一教会」問題について30年以上にわたって取材・追及を続けているメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』発行者でジャーナリストの有田芳生さんと、かつて旧統一教会の信者でメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』発行者でもあるジャーナリストの多田文明さんが、統一教会の深層に迫った対談のVol.4をお届けいたします。国会議員たちを「信者にする」という意向で続けられた政界工作とは?  Vol.1Vol.2Vol.3に続き、クロストークの模様をテキストにて特別に公開します。(この対談をYouTubeで見る | Voicyで聴く

● 有田芳生×多田文明 Vol.1
● 有田芳生×多田文明 Vol.2
有田芳生×多田文明 Vol.3
有田芳生×多田文明 Vol.4

有田芳生(ありた・よしふ):
1952年生まれ、ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。2022年12月より、まぐまぐのメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』が好評配信中

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多田文明(ただ・ふみあき):
1965年生まれ、ルポライター、ジャーナリスト。統一教会元信者。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。2022年9月からまぐまぐのメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』が好評配信中

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司会:内田まさみ(フリーアナウンサー)

有田芳生×多田文明 政治家の秘書として入り込んだ統一教会の信者たち

(前回「Vol.3」からの続き)

有田芳生(以下、有田):90年に国際勝共連合の思想新聞っていう機関紙が、勝共推進議員(共産主義に勝つことを推進する議員)の105人の名簿を発表したんです。その時に、細田さんが入っていたかな。それが初めてか。90年ね。

多田文明(以下、多田):色々調べて90年に初当選というから、僕は、総選挙の表にはオウムがいて、裏には統一教会がいて(自民党を応援)、そういう意味でもあの総選挙はピークだったのかなって本当に思いました。それがずっと続いていて、文鮮明が安倍派を応援する発言とか色んなこともあって、そういったもので、私たちに色々圧があったんだろう。

有田:政治家の秘書には入っているんだけど、今でも。そういうのは聞かなかったんですか?

多田:秘書にどんどん入っているという話は散々聞いています。ただ、誰がどう入っているかは当然知らないです。統一教会員であることがバレると問題だから、そういう人たちには「統一教会は辞めたと言え」という指示を出しているみたいな話は聞いていました。

内田まさみ(以下、内田):それを雇っている政治家も知っているわけですか?

多田:知っているでしょうね。たぶんね。

有田:この8月に僕、安倍さんとものすごく親しくて大臣をやった人と話していて、その人は「有田さん、今でもいっぱいいるよ」って言ってました。

内田:そうですか。分かっているんですね。

有田:優秀なんだって言っていました。

内田:そうすると、色んな政策の中にもやっぱり統一教会の意見なりが組み込まれてしまっているって、もう考えたほうがいいわけですね。

国会議員たちを「シンパどころか信者にする」という教団の意向

有田:例えば、緊急事態条項とか、自衛隊を9条に位置付けるとか、家族を大事にするとかっていう基本的な憲法改正は、自民党の政策と国際勝共連合や世界平和連合は一緒なんです。似ているのか浸透しているのか。

多田:文鮮明の言葉もそうでしょうけれども、議員たちをシンパどころか信者にするっていう意向がありますから、勉強会とかはそこそこ開いているんだろうなと、私なんかは思っていますけどね。統一教会というのは、必ず修練会やセミナーを行って、パターン化して教え込みをしていくので、まずはそういったところに連れ込んで、議員だけじゃなく秘書も一緒に勉強させて思想統一させて、それを反映させるっていうことは、多分やっているんじゃないの?っていうように私は思っています。

内田:今回、「質問権行使」っていう話が出ていますよね。そういう、今までは考えられなかったことが、今回行われる可能性がある。

有田:宗教法人法が96年に改正されて、質問権から調査権というのができて初めてのことなんだけれども、非常に危ないなと思うのは「質問して何も問題ありませんでした」ということになったら、お墨付きを与えちゃうことになるわけでしょ。宗教法人法の解散の方向に向けて質問するわけだから、本当に政権が「これは解散させなきゃいけない」という前提で質問・調査をしない限り「何も問題でませんでしたよ」になったら、とんでもないことになっちゃう。

有田芳生氏

今、岸田政権の支持率がどんどん落ちていますから、解散請求をする可能性は、僕は高いと思っているんだけど、解散請求しても裁判があるから。オウム真理教はすぐに解散になったけど、妙覚寺は裁判をやって3年かかったんです。そうすると、2023〜2025年ぐらいまでかかってしまう可能性がある。

安倍氏の国葬で「結束」してしまった一世信者たち

有田:それから、宗教法人格が無くなって、税金上の優遇措置が無くなったとしても、任意団体としての統一教会は家庭連合として残るわけです。教義も変わらないわけですから、お金を出す、献金するという教えは何も変わらなくて、しかも宗教法人格が剥奪された一世の信者たちは宗教弾圧だって、今でも言っているわけで、結束すると思うんです。結束することの怖さを僕は感じているんですけど、そこは元当事者としてどうですか?

多田:すごく感じています。特に安倍さんが亡くなって国葬しちゃったじゃないですか。ある意味、これは統一教会のために死んだようなものですから、殉教者だというふうに捉えていると私は思うんです。しかも晋三氏が亡くなったのは、晋太郎氏と同じ年齢なんです。統一教会には「歴史の同時性」という考えがあって、常に歴史は同じように繰り返すって話しているんです。

有田:韓国の統一教会ができて68年で、安倍さんは67歳で亡くなりましたから、そういう意味もある。

多田文明氏

多田:そういう意味づけもありますね。とにかく「何か一致している」ということが、まず前提にある。宗教法人が剝奪されたとして、信者たち、特に一世信者が核になって暴発しないといいなっていうのが一つ。もう一つは、最近ちょっと思うんですけど、分派が勢いづいているんです。

有田:いっぱいあるよね。

内田:分派というと、分かれているということですか?

多田:はい。こないだも何かの書き込みで見たんですけど、私を名指しして、お前みたいな信仰観がダメなんだと。でも、マインドコントロールは無いと言っているんです。本部のやっていることが悪いと。これは分派のやつが書いているんだなって分かったんですけど、分派が「今まで本部のやってきたことが悪い、自分たちは正しい」って言い分で、ものすごく力を得ているから、もしかしたら分派に走って、それがまた強烈になって、ということが起こりえるかもしれない。サンクチュアリ教会なんかは、銃じゃないですか。アメリカで、銃でって話ですから。

有田:ライフルを持って写真に写っているわけだから、トランプ支持でホワイトハウスに入り込んだ中には、その分派の人達もいたわけで、危険なんです。

二世は信仰心ゼロの子が多い。悪夢は断ち切れるのか?

多田:だから二通りです。内部の信者でものすごく強くなるパターンと、分派系にどんどん走っていくパターン。分派の思想としては旧統一教会と同じですから、先ほどの話を聞いてやっぱり銃なんだっていうふうに思いました。分派してもやっぱり最初にやるのは銃ですよね。そういった方向に走っていくっていうことを考えると、単に法人を解散するだけではなく、その残った人たちが何をしていくかっていうことに警戒していかないとね。

内田:そういうところに目は行き届くものなんですか?

有田:今、国会も議論をやっているけど、全くその先のことまで見えてなくて。宗教法人格を剥奪すればいいだけのところで止まっていて、その先のことまでいってないんです。だから僕は、宗教法人格を取り上げるのは賛成なんだけれども、同時に「団体規制法」も改正すべきだと思う。「団体規制法」というのは、オウムを規制している法律で、それはオウムの分派もちゃんと監視をしているんだけれども、その「団体規制法」を改正して、オウムと同じく統一教会もそこに位置づけて、定期的に施設なんかに立ち入るっていう。そこまでやらなきゃダメだなと僕は思ってるんですけどね。それが一番早いと思っている。

多田:今おっしゃったように、何が問題かというと、オウムの時はまだ子供があまりいなかったんです、二世が。今二世の子の問題も出てきていて、それがより必要になってくると私は思っています。

内田:ただ、これだけ世の中に問題が明らかにされてきていますから、二世から三世に繋がっていくってことは絶ち切れたりしないんですか?ここで。

有田:宗教法人格がなくなれば、特に一世は結束が固まるけど、二世三世は相当脱会の方向にいくと思いますけどね。

内田:そうすると、フェードアウトしていくっていうような方向が考えられるのかどうなのか?

多田:どこまで話していいかあれなんですけど、今、二世の祝福っていうのがあるんですよ。二世が祝福を受ける時には、必ずその三世も統一教会にすることを確約してから祝福を受けるって話になっているらしいんです。

ただ、色んな話を聞くと、二世の子自身の信仰がゼロらしいんです。そういう子が多い。私も色んな話を聞いていると、そりゃ子供の頃から色んな変な儀式をさせられたり、お祈りをさせられたら「嫌だ、こんなのやりたくない」と思う子が絶対いるはずなんです。でも結局、組織、教義としてはがんじがらめだから、そういった子も子供に同じことをしないといけない。みんな地獄の恐怖を持っているんです。やっぱり。

地獄、霊界、サタン…二世信者たちが植え付けられた「恐怖」

内田:地獄が怖いということですか?

有田:僕が話を聞いた二世の人は、お父さんは幹部なんだけれども、彼はもう信仰なんてほとんどなくて、心が離れちゃっている。彼には教会で付き合っている女性がいて、彼女はお母さんの影響を受けてものすごく信仰が深くて。彼は結婚したいわけ。だけど、結婚するには合同結婚式に出るしかない。「二人で辞めちゃえばいいじゃない」って言ったんだけど、「いや、彼女は信仰が深くて、辞めた場合の地獄の恐怖が……」と言った。「どうするの?」と彼に聞いたら「嫌だけど、二人が一緒になるには合同結婚式に出るしかないかな」と言っていました。そういう矛盾もある。

多田:この間、別の女性の方に聞いたんですけど「30代になってやっと男性恐怖症が取れた」って言うんです。それまで、男女間はダメだよ、自由恋愛はダメだよっていう教えがあって、霊界の恐怖がずっとあった。

かといって、この方も小さい頃から信仰がなかったって言うんです。ないけど、教え込まれているのがずっと残り続けていて、色んな人に付き合ってと言われたけど、付き合えないということが続いていたと。だから、信仰がなくても霊界の恐怖がある子が多いなって。色んな方に話を聞くと、パニック障害になる子も多いというのもある。皆さん、そこそこそうした経験があるので。

内田:地獄に対する恐怖とかを与えているからってことなんですかね?

多田:地獄に対する恐怖とか、自分が離れたらと……。

有田:つまり、テレビや新聞、ネットを見ていると、政治との関係、霊感商法、信者たちが過酷な献金を求められていること、二世三世、これをどうするかっていう色々なことがあるんだけど、今日、多田さんとお話ししていて、それだけじゃなくてもっと身近なところにもいるし、同時に気持ちの悪い、危ない側面もあるっていうことはお話しできたと思います。

山上容疑者の裁判開始で再び議論される安倍氏と統一教会

有田:今月の29日に、山上徹也容疑者の鑑定留置が終わるんです(有田注、2023年1月10日まで延期された)。鑑定留置が終わると、おそらく数日後に検察が起訴して、起訴すると来年、裁判員裁判が始まるんだけれども、公判前の整理手続きっていうのがあって、争点をはっきりさせて、それで裁判に入るんだけれども、来年の早くて夏、遅くても秋ぐらいから、また裁判が始まるんです。

そうすると、なんで安倍さんが撃たれなきゃダメだったのか、統一教会ってのはなんなのかっていうのが、また報道されるし、議論になっていくと思うので、日本の民主主義はこのままではいけないってことを含めて、今年で終わる課題ではないので、来年以降もまたこういう機会あればお話しできればなというふうに思いました。

内田:この火を絶やしちゃいけないんですよね。

有田:すぐ忘れちゃうんです。

内田:そうだと思います。

有田:オウムの時もそうだったけど、3月20日に地下鉄サリン事件が起きて秋に裁判になって。そうすると、江川紹子さんも言ってたけど、オウムの次の年の96年には報道がほとんどなくなるんです。だけどこの統一教会の問題は、さっき言ったように来年に裁判が始まりますから、引き続き多田さんには頑張ってもらって。

多田:有田さんによって目が覚めた信者も多いと思います。今の信者って、今日のこうした対談も多分見られるので。昔の信者だと絶対見なかったんです。今の信者たちって悩んでいらっしゃる方も多いので、ぜひ見ていただいて、ぜひ辞めていただくのが一番いいかなと思います。

内田:そういう人たちが一人でも増えるように、我々も色々情報発信していかなきゃいけないっていうことですね。今日は有田さん、そして多田さんにお話しを伺って参りました。ありがとうございました。

多田:どうもありがとうございました。

Vol.1 なぜ統一教会は塾を経営し、町のゴミを拾い、ハマチを輸出するか?日本を侵食するカルトの長期戦略 この対談を最初から読む


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