今も世論の注目を集めている「旧統一教会」問題について30年以上にわたって取材・追及を続けているメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』発行者でジャーナリストの有田芳生さんと、かつて旧統一教会の信者でメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』発行者でもあるジャーナリストの多田文明さんが、統一教会の深層に迫った対談のVol.3をお届けいたします。爆笑問題の太田光ら芸能人が、知っていてもテレビでは絶対に言わない統一教会の恐ろしい野望とは? Vol.1、Vol.2に続き、今回のクロストークの模様をテキストにて特別に公開します。(この対談をYouTubeで見る | Voicyで聴く)
● 有田芳生×多田文明 Vol.1
● 有田芳生×多田文明 Vol.2
● 有田芳生×多田文明 Vol.3
● 有田芳生×多田文明 Vol.4
有田芳生×多田文明 世界中に信者を送り込む、統一教会「海外宣教」の実態
(前回「Vol.2」からの続き)
内田まさみ(以下、内田):海外にもたくさんある?
有田芳生(以下、有田):海外は、統一教会っていうのは、韓国では宗教法人法がないから、財団なんです。かつてで言えば、世界基督教統一神霊協会財団とか、アメリカも企業ばかりで、世界宣教本部というのはあるけど、基本的には、韓国も企業、アメリカも企業、日本も今、統一教会っといったら宗教というイメージが強いけれども、さっき言ったように、身近なところで魚を売ったり飲料水を製造したり、ものすごい企業体でもあるよね。
多田文明(以下、多田):そうです。だから、私たちが集めたお金っていうのは、色んなところに投資されているっていうか、色んな企業のところにいっているという話は聞いています。
有田:あれはいつだったかな。オウムの年だから、1995年の1月にニューヨークに統一教会の取材をしに行ったんです。アメリカにある統一教会の日本人学校って、今もあるんだけども、そこに統一教会が結構入っていたので、それを取材に行った時に、寿司屋さんもやっているわけです。統一教会が経営している寿司屋さんに行くと、睡眠不足だなと思うぐらい、くたくたになったような顔で働いている若い女性がいたのを思い出しますけど。そういうところに派遣されるんだよね。派遣していたんじゃないの?
多田:私は育てていただけで……上はどうしていたのか分からないんですけど、多分みんな色んなところに行っていると思います。この間たまたま、ある二世の子に取材をしたら、やっぱり今言ったように、お父さんが海外に行っていたというような話とかも、結構聞きます。今、二世問題ってすごく出ているんですけど、私と同じような一世(信者)の人たちがそういうふうにアメリカに行ったり、今でも企業で働いたりしています。でもお金はほとんどないですよ、みんな。
有田:1996年に文鮮明教祖がウルグアイに行って、4200人の信者が参加した研修を実施したんだけど、そこで出産直後のお母さんが、飛び降り自殺したんです。そのとき、週刊文春の石井謙一郎記者と二人で飲んでたのよ。そしたらそういう情報が来たから、すぐ週刊文春の編集長に「信者が自殺したので取材に行かせてくれ」って言ったら、「明日から行ってこい」って。
すごい話です。次の日にはもう飛行機に乗って行ったんですけど、取材が終わって空港に戻ってきたら、統一教会の信者たちがいっぱいいて。日本に戻る人もいれば、海外赴任する若い人たちもいるわけ。本当に不安そうな顔をして、その国の会話を一生懸命勉強していて、本当に大変です。今だってアフリカとか色んな国にも単身で行かされたりしているので。あれは宣教師っていう形なんですか?
多田:そうです。宣教です。海外宣教ですね。
太田光、三浦瑠麗…統一教会を「擁護」する芸能人の発言をどう受け止めるべきか?
内田:どうにかして気づかせてあげたいなっていう気持ちもあるわけですけれど。そのあたりは後半でも伺っていきますけれども、今、芸能界の中でも統一教会を擁護するような発言をされる方もいらっしゃって、そういう方々にも批判が集まったりもしているんですけど、こういうのは我々はどういうふうにとらえたらいいんですか?
多田:簡単に言えば、被害者の話を何も聞いてないからだと思います。有田さんは、ちょうど20年前、私が統一教会を辞めてから裁判があったときに、唯一聞きに来てくださった方ですので、この問題を分かっているんですけど、多分コメントする人は、ほとんど被害者の方の話が分からない、話を聞いていない人だと思います。
有田:爆笑問題の太田光さん、それから政治学者の三浦瑠麗さんなど、色んなことを言う人がいて、週刊現代から「その人たちを批判してください」っていう取材があって。全部丁寧に答えたんだけれども、結局僕のコメントは一行も出なくて、太田さんたちの言い分だけの記事になっちゃったんだけど。
ちょっと別の話になるけど、普通は「せっかく取材させていただきましたけれども、記事にはなりませんでした」って事前に言うもんでしょ。だけど何もない。何にもないから、こちらから「掲載誌を送ってください」と言うと、二週間ぐらい経った頃に「有田さんのコメントは使いませんでした」みたいな。こういう編集者が出る時代だから。
内田:それもやっぱり、統一教会側から手が回っていたりとか、そういうことがあるんですか?
有田:違うと思う。むしろ太田さん達に弁明させた方が読まれると思ったんじゃないですかね。太田さんは、サンデージャポンに一回来てくれって言われて、ご本人を批判したんだけれども、明らかに歪んだ人の本に影響されているっていうのは分かりました。
内田:刺激的な方にっていう感じ?
有田:刺激的にっていうか、芸人だから逆張りで違ったことを言うっていうのはありだと思うんです。僕は、太田さんはそういうタイプだと思っていた。だけど、これは被害者がいる話だから、それはもう成り立たない話なので。Twitterで批判をして、番組にも行って批判したんですけれども。三浦瑠麗さんは、言っちゃ悪いけど統一教会のことを知らないね。知らないで発言しているから間違っちゃうという。
だけど、これはしょうがないんです。今回の問題が起きてテレビや新聞の記者が僕のところに来た時に、何も知らないんです。それはしょうがない。「桜田淳子さんの合同結婚式の時、何歳でした?」って聞くと、「あの時3歳でした」とか「生まれていませんでした」とか。だからしょうがない。しょうがないんだけれども、被害者がいる話だから、そこはやっぱり注意して発言してもらいたいと思いましたけどね。