【有田芳生×多田文明 Vol.3】爆笑問題・太田光が擁護する統一教会の不都合な真実。軍事訓練、赤報隊事件、日本破壊計画の深層

2022.12.27
by gyouza(まぐまぐ編集部)
 

朝日新聞を襲った未解決「赤報隊」事件。警察が疑った統一教会と新右翼

有田:1987年5月3日の憲法記念日に、兵庫県の西宮市にある朝日新聞の阪神支局が、目出し帽の男に散弾銃で襲撃されて、当時29歳だった小尻知博記者が命を失うんです。警察は、新右翼(右翼でも反米愛国思想)の可能性があるというふうに見たのと、動機から考えて統一教会、国際勝共連合の可能性があるとして、新右翼と統一教会系の捜査をずっと続けたんです。

僕も捜査資料を持っているんですけれども、信者たちの名簿なんです。本籍、現住所、それから色んな事が書いてある「勝共非公然軍事部隊」っていうのがある。それから別の人は、元自衛隊の人なんだけど、その人は「統一教会軍事部隊」って。そういう規定を警察がやってるのがいっぱいあって、散弾銃を持っているかとか、空気銃を持ってるかっていうのを、全部警察が調べた。結局、新右翼も統一教会系の人も逮捕されないまま未解決事件になっているんですけど、警察は統一教会をそういう組織として見ていた。中では、そういうことは知らないですよね。

多田:全くそういうのは教えられないです。赤報隊事件ですよね。出て初めて「そうだったの?」っていう。知らされないことが多すぎて。今の時代はインターネットで色んなことを調べられるようですけど、当時は本当に知らなかった。

有田:なんで87年5月3日に赤報隊事件があったかというと、新右翼の可能性も当然あるんだけれども、87年って霊感商法の一番ピークに向かっている時だったんです。僕らが朝日ジャーナルで霊感商法批判のキャンペーンを始めて、87年の2月に霊感商法被害弁連ができるんです。5月に弁護士の全国組織ができて、その5月3日に事件が起きて、動機から言うと可能性はある。

内田:散弾銃っていうと、やっぱり安倍元総理のあの事件っていうのが、そこで繋がるのかなって勝手に思っちゃったりするんですけど。

有田:偶然、散弾銃なんですけどね。さっきの話で言うと、例えば早稲田大学の原理研究会も一つの拠点だったんだけれども、早稲田の原研のメンバーが韓国の本部に行って研修をやって戻ってきて、それで実は山の中で空気銃で訓練をやったりしていたんです。これは事実なの。

内田:部隊を日本で作ろうとしていたっていうことなんですか?

有田:警察はそういうふうに認定しているんです。僕は今、統一教会に訴えられているんですが、それは「『警察庁は統一教会を反社会的組織として見ている』と言ったのが名誉毀損だ」と言うんですが、名誉棄損どころか、もういくらでも証拠出せるので。霊感商法だって、1986年の国会の衆議院の法務委員会で、統一教会の信者がやっていた霊感商法について「各種の悪質商法の中でも最も悪質である」と警察庁が答弁しているんです。警察の立場からすれば、多田さんたちが中にいる時には知らなかったような非常に危険な側面を持っている組織なんです。

日本人には見えていなかった統一教会の怖さ

内田:目的は一体なんなんでしょう。

多田:簡単に言えば、日本という国を統一思想に全部染めるっていうことでしょう。今の自民党の色んなところに入り込んでいるのもそうですけれども、統一教会が国教にならないといけないっていう教えなんです。今の話を聞いていると、オウムもそうでしたけれども、カルト的思想の団体は、武器を持つことを最初の出発点としている。でも統一教会はそこに見切りをつけて、経済や政治の世界という違う方向にうまく裏から入るっていう方向にシフトしたのかなというふうに思います。

有田:日本ではね。だけど、多国籍企業みたいな存在でもありつつ、宗教の顔も持ち、それから政治との関わりもある。1978年に「フレイザー委員会」という、アメリカが韓国政府の動きと統一教会を分析する委員会があった。統一教会というのは「文鮮明機関(文オーガニゼーション)」という表現で、準軍事組織的な内容も持っているって言うんです。当時フィリピンの反政府ゲリラや南米のゲリラとも繋がっていたんです。だから、統一教会系の組織として世界反共連盟(WACL)というのができて、それはもうやっぱりゲリラ組織とつながっていた。

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日本ではそういうのが前面には出なくて、お金集めの霊感商法ということが中心になったんだけれども、だけどさっき言ったように警察の目からすれば、散弾銃や空気銃を持ったり、軍事訓練をやったり、というのが統一教会。だから、私たちは極一部しか見ていない。お酒を飲んだ時に酔い覚ましに飲むようなドリンクを作っているだけだったら、それは中身はいいわけだから問題ないんだけれども、見えないところでそういうものがあるのが統一教会だっていう、その怖さなんです。

内田:政治的にも、ものすごい深いところで結びついているって考えていいわけですか?

有田:そう。どうだったの?選挙の応援なんかはしなかったんですか?

多田:振り返ってみると、一番すごかったのは90年の総選挙です。私は教育・伝道活動がメインだったので、そんなに選挙活動をしてないんですけど、あの時はとにかく「この議員に入れろ、この議員に入れろ」という、ものすごい圧がありました。

毎日新聞がすっぱ抜いた、1989年に文鮮明が安倍派に触れたという記事を見て、なるほど、とすごく合点がいったんですけど、確かあの時、安倍晋三さんのお父さんである安倍晋太郎と久保木修己会長というのは昵懇の仲で、久保木修己が政界入りするためには、やっぱり安倍晋太郎を総理大臣にしないといけないと。そのためには、当然、統一教会としても応援すると。文鮮明教祖がそう言ったその時がちょうど、安倍晋太郎が入院して退院する前ぐらいだったんじゃないかなと思います。退院した時にエールを送って、それで全面的に協力して、と。90年の総選挙の時は、街頭にオウム真理教もいましたしね。

有田:オウムが25人候補者をたてたんです。

内田:町で踊っていたんですよね。

多田:一方で、私たちは内部的には「自民党の新井将敬議員に入れろ!」とものすごく言われて「石原慎太郎はダメだ!」ってあの時、言われてました。「とにかくこっちに入れろ!」っていうふうに言われて、後で色々と調べていくと面白いもんです。安倍晋太郎が、多分、相当選挙を応援していたと思うんですけど、ちょうど90年に初当選したのが細田さんなんです。

有田:86年なんじゃないかな。90年か。

多田:90年の総選挙だと思います。

Vol.4 「殉教者」安倍晋三が統一教会を暴走させる?国会議員信者化工作に要警戒、団体規制法で監視せよ につづく


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