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自分の老後のために育児する、中国「養児防老」が現実的ではなくなっている

中国の伝統的な「養児防老」という考え方。親の老後を子供に背負わせるために子供を育てる、という意味なのだそうですが、日本にはあまりない考え方ではないでしょうか。今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』では、 現在の中国では難しくなってきている「養児防老」はこれからどう変えていくべきなのかについて語っています。

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中国は老後を子供に背負わせるために子育てする「養児防老」の意識を変えるのか?

「養児防老」とは、中国の伝統的な考え方で、自分の老後を子供に背負わせるために子供を育てるという意味である。中国では昔から、娘よりも息子を好む傾向が強い。一族を受け継ぐだけでなく、男は強く、金を稼ぐことができると広く信じられているからでもある。

国内の親族には、「養児防老」という考え方が残っている。子供を離さない、留学させない、息子が異郷へ出て行くのを恐れて息子に故郷のガールフレンドを探さなければならないと考えることさえある。

長年日本に住んでいると、「養児防老」の観念が薄くなってきた。子どもには子どもの人生があるのだから、無理に考えを変える必要はない。何歳であっても自立心を持ち、他人に迷惑をかけないということは、自分の家族に迷惑をかけないということも含まれるはずだ。一方、中国から見ると、日本人は人情に乏しく、中国人は家族意識が強く、子供や孫に恵まれることが幸せな人生である。

しかし、今、中国では「養児防老」ということが現実的ではなくなってきている。実は、これは紛れもない事実なのだ。社会の発展や人々の習慣の変化に伴い、多くの人が必ずしも原点回帰を望んでいるわけではない。経済状況や生活環境の変化により、定年退職後に働き続けた都市や地域を離れ、より気候条件の良い都市での生活や老後を選択する人が相当数いるようだ。

大学を卒業した後、多くの人は大学を卒業した都市に留まる傾向がある。そうすれば、より良いキャリアと就職の機会が得られるからだ。もし、故郷の都市、実家に戻れば、親に付き添うことができるかもしれないが、キャリアには大きな影響を与えるかもしれない。

これが、多くの子どもが親元を離れ、中には海外にいる人も多くいる。「養児防老」が不可能になり、高齢者は子どもに頼れないということが想像できる。

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また、1950~60年代生まれの人は、計画経済時代と重なる1980年代以降に生まれた子供が多いため、ほとんど一人っ子の家庭だ。そして、このたった一人の子供が一緒にいない場合は、彼は異郷の地、あるいは海外にいる。「養児防老」はほとんど不可能で、それは今、多くの家庭が抱えている状況だ。

中国人は将来の老後のために何をすべきなのか?実際、老後の過ごし方はすでに多様化しており、例えば、サービス事業者によっては、中・高・低レベルの高齢者介護サービスを提供するところもある。

60歳以上の人口が2億6,000万人もいる中国では、高齢化社会のプレッシャーが実に大きい。現在、中国の高齢者の90%は家族で暮らし、7%が地域社会で助けてもらい、3%が老人ホームで暮らしている。

子どもが1人しかいない家庭も多く、子どもが複数いても老人と子どもの両方の面倒を見なければならないし、年金などを持っていない高齢者も多い。高齢者向け公立・私立の福祉施設の充実は急務だと専門家が助言する。

中国人は「養児防老」という伝統的な意識を変える時期に来ているのかもしれないね。親と子は、あまり功利主義的な考えではなく、精神的に尊敬し合い、支え合うべきであり、親は子に多くの利益を求めてはいけない。逆に、親の財産に目をつけて、お金があれば近くにいるけれども、なければ離れて行くというような子どもはダメなんだ。

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image by: Shutterstock.com

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在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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