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コーヒーに「糖尿病の予防効果あり」の研究データは本当か?現役医師が考察

さまざまな健康効果が期待されるコーヒー。その力は、糖尿病に関しても存分に発揮されるようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖尿病専門医で糖質制限の提唱者としても知られる江部康二先生が、コーヒーの糖尿病発症予防効果を示す研究結果を紹介。さらに糖質制限食が家族性高コレステロール血症に効果を上げた例を誌面で報告しています。

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コーヒーは飲み続けても大丈夫なのか?コーヒーと健康を研究データから考察

私は、日頃コーヒーをよく飲みますので、コーヒーに都合の良さそうな情報はできるだけチェックしています。

紅茶も飲みますが、やはりコーヒー党です。コーヒーはブラックか生クリーム少量いれて飲みます。

今回の情報元は、ネスレ日本株式会社のサイトです。

つまりコーヒー会社のサイトなのですが、九州大学大学院医学研究院予防医学分野教授 古野純典氏の学術的お話しなので、それなりに信頼度は高いと思います。

コーヒーと健康

[コーヒーと糖尿病]

以下、上記サイトを簡単に要約してみました。

<糖尿病の予防とコーヒー>

多くの研究により、コーヒーには糖尿病発症予防効果があることが示されています。

例えば18本の海外のコホート研究をメタ解析した論文では、コーヒーを1日3~4杯飲む人は、1日2杯以下の人に比べて2型糖尿病発症のリスクが24%下がるという結果でした。

欧米では広く飲まれているカフェイン抜きのデカフェ・コーヒーでも、2型糖尿病発症のリスクが下がっていました。

コーヒーに豊富に含まれるクロロゲン酸類などのポリフェノール(抗酸化物質)に予防効果があるのかもしれません。

<コーヒーと糖尿病のコホート研究>

日本人を対象としたコホート研究には、厚生労働省のJPHCスタディ、文部科学省のJACCスタディ、岐阜大学の高山スタディ、九州大学の自衛官スタディがあります。

欧米人と比べ日本人はコーヒーの飲用量は少ないですが、いずれの研究でもコーヒーを1日1~2杯飲む人から糖尿病発症のリスクが下がる可能性が示唆されています。

<コーヒーが血糖値へ及ぼす急性効果>

コーヒーの成分では、カフェインが有名です。

多くのコホート研究が、コーヒーの習慣的な飲用で、2型糖尿病発症のリスクが低下することを示しています。

一方で、カフェインの急性効果としてカフェインそのものやカフェインが入っているコーヒーを飲んだ後に血糖値が上昇し、インスリンの感受性が低下する現象が知られています。

しかし、これらの実験的研究では、多くのカフェインを摂取しているものもあり、実生活で通常量のコーヒーを飲む場合は問題ないと思われます。

<コーヒーが糖尿病を予防するメカニズム>

コホート研究を中心とした観察タイプの研究結果から考察すると、コーヒーに2型糖尿病の予防効果があることはほぼ間違いないと思われます。

しかし科学的に裏付けるため、習慣的なコーヒー飲用と糖代謝との関係のメカニズムを解明することが重要です。

古野氏らは、健康で過体重の中年男性(43名)を対象に、16週間にわたり、カフェイン入りのコーヒー(1日5杯)を飲むグループ、カフェイン抜きのインスタントコーヒー(1日5杯)を飲むグループ、コーヒーを飲まないグループ、3つのグループを無作為に割り付け、グループ間で糖代謝への影響を比較しました。

結果は、コーヒーを1日5杯飲んだグループでは、食後2時間の血糖値が約10%下がりました。

コーヒーは食後の高血糖を抑えることにより耐糖能障害を予防し、結果的に2型糖尿病を予防する可能性があることとなります。

しかし、コーヒーを飲むと血糖値が上がる人もいるようです。

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血糖値と家族性高コレステロール血症

私の場合、コーヒーを飲むと血糖値が爆上がりします。

 

コーヒーだけでなくお茶やチョコレートでも同様です。

 

コーヒー摂取後、何故か具合が悪くなるので、尿糖試験紙を買って自分で調べて分かりました。

 

コーヒーを1杯飲んだ一時間後、尿糖試験紙は+3となりました。

 

驚いて血糖値測定器を購入し調べたところ空腹時98mg/dl、コーヒー1杯摂取後30分で180mg/dlとなりました。

 

私自身は糖尿病ではありませんし、ヘモグロビンa1cも正常値です。

 

加えて、嬉しいご報告です。

 

私は家族性高コレステロール血症ですので2ヶ月毎に血液検査をしております。

 

以前はスタチンを服用しておりましたが、糖質制限+ゼチーアならどこまで下がるのかを実験したく主治医に頼みこみ、ゼチーアとエパデールに変えてもらいました。

 

医師は怒っていましたが、徹底した糖質制限とゼチーア、エパデールで半年後、LDLコレステロールが基準値となりました。

 

何もしなければ290あるコレステロール値が、糖質制限とゼチーア、エパデールで基準値になるとは大変驚きました。

 

私以上に医師が驚いていました。

 

しかしこれも私がそうであったという事実があるのみなので、家族性の全員に勧める気持ちはありません。

私自身がコーヒーが大好きなもので、どうしてもコーヒーの良い面にばかり目が行ってしまう傾向がありますが、貴重なご報告をいただきました。

「コーヒーを1杯飲んで空腹時98mg/dl。コーヒー1杯摂取後30分で180mg/dl」

これはびっくりです。

コーヒー1杯150mlに、「糖質が1.05g、カフェインが90mg」です。

これほどの血糖上昇は、聞いたことがありません。

糖質1gがいくら血糖を上げたとしても、せいぜい数mgレベルと思います。

従って、これだけの血糖上昇(82mg)は、ほとんどが、カフェインの急性反応と思われます。

この方は、カフェインの急性血糖上昇作用に対して極めて敏感な体質と思われます。

このような体質があるということは、医療関係者には是非、知っておいて欲しいと思います。

お茶やチョコでの血糖上昇も、カフェインによるものと考えられます。

「スタチンを中止して『糖質制限+ゼチーア+エパデール』に変更。半年後、LDLコレステロールが基準値」

こちらも、びっくりです。

現在まで知られている家族性高コレステロール血症治療に関するエビデンス(過去に発表された研究論文)では、ありえない経過です。

主治医もさぞかしビックリされたことでしょう。

勿論、一人の成功例を一般化して、【「糖質制限+ゼチーア+エパデール」で家族性高コレステロール血症が改善する】とは、言えません。

一方で、家族性高コレステロール血症治療に関する今までのあらゆるエビデンスは、ほぼ全て糖質を普通に摂取している人々における研究であることは間違いありません。

今後、糖質セイゲニストにおける新たなエビデンスが構築されていけばいいなと思います。

糖質制限食に内在するポテンシャルを考慮すると、今回のようなケースは、チャレンジしてみてもリスクは極めて少ないと言えます。

少なくとも、「糖質タップリ食+スタチン製剤」よりは、「糖質制限食+ゼチーア+エパデール」のほうが、副作用が少ないことは間違いありません。

なお私も家族性高コレステロール血症に、糖質制限食を責任を持って推奨するということではありませんので、実践される場合は、あくまでも、自己責任でお願い申しあげます。

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image by: Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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