現在の中国教育は日本へのヘイトが高められ、国民たちは当たり前のように日本を憎んでいます。今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』で本のソムリエさんが紹介するのは、そのような中国の歴史認識がどう作られたのかを中国出身の米国大学の准教授が明かした一冊です。
【一日一冊】中国の歴史認識はどう作られたのか
ワン ジョン 著 , 伊藤真 訳/東洋経済新報社
中国出身の米国大学の准教授である著者が、中国の実態についてどのように教えているのか見てみましょう。
中国では外国勢力から侵略を受けた19世紀前半から第二次世界大戦終結までの約100年を「国恥の一世紀」としているという。中国人は、自分たちは世界の中心の聖なる土地に暮らす選ばれた民だと信じていたのですから、ショックを受けたのです。
ただ、第二次世界大戦後は、国民党と共産党の内戦や毛沢東の文化大革命などの混乱によって「国恥の一世紀」を考える余裕はなかったというのが実情でした。
そもそも毛沢東と中国共産党は、日本が蒋介石の国民党と戦っている間に力を蓄えることができたこともあり、日本軍に感謝の念さえ抱いていたのです。
しかし、中国では1989年の天安門事件後、江沢民によって愛国主義教育キャンペーンが開始されました。中国共産党への国民の不満を中国を侵略した西洋列強や日本に向けようと考えたのです。
天安門事件後、間もなく開始された愛国主義教育キャンペーン…西洋列強や日本の侵略によって中国が被った屈辱的な体験について教育すること(p143)
驚くべきことは、米国の大学教授である著者でさえ、南京大虐殺で「殺害競争」「最低でも2万人の女性が強姦されたと、日本の少なくとも二紙の新聞が報じた」と書いていることです。
「百人切り競争」東京日日新聞が報じていますが、非戦闘員を殺すのは犯罪ですが、戦闘員を殺すのは犯罪ではありません。そもそも女性を強姦するというのは、新聞で報じられたということを私は読んだことがありません。
中国やロシアや韓国では非戦闘員を殺したり、女性をレイプすることが当然なので不自然に思わないのかもしれませんが、日本人であれば規律の厳しい軍隊において意識的に非戦闘員を殺傷したり、女性をレイプしようとすることが許されるとはとても考えられないことで、信憑性が薄いことはわかるはずです。
しかし現実には、中国では10億人を超える国民に対して国家として愛国主義教育キャンペーンや年間行事や南京大虐殺などの記念館やマスコミ、抗日戦争映画などのプロパガンダによって過去の恨みが教え込まれているのです。
日本の兵士たちは南京の中国人市民を暴行し、殺害し、市街を略奪した…「殺害競争」を行い、また最低でも2万人の女性が強姦されたと、日本の少なくとも二紙の新聞が報じた(p52)
興味深かったのは、「立ち遅れれば殴られる」という中国の政治的スローガンです。弱い者は強い者に殴られる。だから強くなって弱い者を殴ろうというのが中国の考え方なのです。
確かに明治維新後の日本は、富国強兵で強くなって西欧列強と同じことをしようと努力してきました。「立ち遅れれば殴られる」という思いから殴る側に立つことにしたわけです。
しかし、今の日本人であれば、強いものが弱いものを殴るのを見て、よくないことだと思えば、自分が強くなったら弱いものを殴るのをやめようと思うのではないでしょうか。
中国も一度殴る側になって、痛い目に合わないと変わらないのかもしれません。
ワンさん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★☆☆(78点)
<私の評価:人生変える度>
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