一刻の猶予も許されない状況にあると言われる日本の少子化問題。そんな日本の出生率が1.3前後なのに対し、お隣韓国の出生率は0.78と驚くほど低水準になっています。結婚や出産を諦めざるを得ず、「地獄に住んでいる」と言われる韓国の若者たちの窮状を伝えるのは、メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』著者で、元国税調査官の大村大次郎さんです。韓国では大企業に就職できなかった若者たちの収入が極端に少なく、不満のはけ口として「反日感情」を利用する側面もあると解説。日本も経済の悪化がこれ以上進めば、同様の「地獄」が待っていると危機感を持って伝えています。
※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2023年3月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。
韓国の若者は地獄に住んでいる
今回から数回に分けて韓国の若者の経済事情をご紹介したいと思います。韓国の若者というのは、日本以上に経済状況が悪く自分たちで「韓国は地獄だ」とも言っています。出生率も、少子高齢化に悩まされている日本よりもはるかに低くなんと、0.78なのです。ちなみに日本は1.3前後です。韓国の若者たちは、日本以上に「まともに結婚も出産もできない」という状況にいます。
昨今、Kポップや韓国ドラマは世界的な人気を博し、韓国の若者というと、オシャレで楽しそうなイメージがあります。が、それは韓国社会の実情を反映しているものではまったくなく、むしろ韓国の若者の大半が「楽しい」とは程遠い状況に置かれているのです。
筆者はこのことを「日本はまだマシだ」「やっぱり韓国はダメだ」という意味で書くわけではありません。韓国経済は、日本の悪い部分が強調されているような面があります。つまりは、韓国の若者の経済事情は、日本の経済悪化がこれ以上進んだらどうなるかを示すものでもあるのです。そういう意味で、この記事を書くつもりです。
韓国の反日デモなどの報道を見ると、若者たちが大勢参加しているのが目につきます。今の韓国の若者たちは、日本が韓国を併合していた時代のことなどは当然知らないはずです。また現代の日本が韓国に対してひどいことをしたことはありません。日常的に韓国人を蔑視したり、街で見かけた韓国人に悪態をついたりすることは、少なくとも「普通の日本人」にはまったくないはずです。
だから韓国の若者たちが日本に強い怒りを見せる様子は、多くの日本人にとってはかなり奇異に映ります。彼らに対して日本人の多くは反発心よりも、まず「なんで?」という大きな疑問がわくはずです。
誰しも、まったく身に覚えのないことで他人の異常な怒りを買うという経験をしたことが、人生の中でおそらく一度や二度はあると思いますが、そのときの「恐怖心」や「はてな感」を感じている日本人が多いのではないでしょうか?
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韓国の若者たちの強い反日感情には、主な理由が二つ考えられます。一つは、「反日教育」です。昨今の韓国は、異常な反日教育を施しており、日本人はみな鬼畜であるかのような教わり方をしています。だから、自分たちは何の危害を被ったこともないのに、「日本人は悪い人たちだ、だから攻撃していいのだ」という意識が韓国の若者の間に刷り込まれているようです。
この「反日教育」に対して、日本政府はほとんど抗議をしてきませんでした。これは、日本政府の落ち度でもあります。隣国があからさまな自国への「敵対教育」をしていることは、両国の将来において絶対によろしくないはずです。しかも、戦後の日本は韓国に様々な経済支援、技術支援を黙ってしてきたのです。
他国の教育に口を出すことは内政干渉になると思って、日本政府はまったく抗議してこなかったようですが、両国の将来に悪い影響をもたらすようなことは、ちゃんと注意するべきだし、「経済支援を打ち切る」くらいの毅然とした態度を取るべきだったのです。韓国の反日教育のために、何のトラブルもなかったはずの日韓の若者同士がいがみ合うことになっているのですから。
この件について、この記事の趣意ではないので、これ以上の言及はしません。
さて本題です。韓国の若者たちに反日教育よりも暗い影を落としているのが、「経済的理由」なのです。昨今、韓国の若者は経済的に非常に辛い状況にあります。近年、若者の失業率は10%前後で推移しており、また賃金が著しく低い非正規雇用や中小企業への就職しかできない状態が続いています。
その経済的不満のはけ口として、「反日感情」が膨れ上がっているのです。日本側から見れば、こちらの理由の方がたちが悪いのです。反日教育は、まだ抗議で修正することも可能ですが、他国の経済状況をよくしてやることなどはそう簡単にはできないからです。
また韓国政府は、国民の反日感情をうまく利用し、経済面で国民の不満が溜ってくると、反日政策を強めて国民の不満をそらそうとしてきました。自国の経済状況の悪さを他国への敵対感情にぶつけるということは、国同士の関係でこれほど危ないことはありません。
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なぜ韓国は若者にとって地獄となったのか?
韓国は1960年代以降、奇跡的ともいえるほどの経済発展を遂げてきました。また80年代と90年代の世界的な新興国経済危機に際しても、韓国はあまりダメージを負わずに済んできました。その韓国の若者たちが、なぜ経済的に不遇な目にあっているのでしょうか?
90年代のアジア通貨危機以降、韓国経済の悪い面が一気に表面化してしまったのです。アジア通貨危機の際、韓国は、一部の採算状況の良好な財閥に国の資金や資源を集中させることで、輸出を増やそうとしました。財閥の不採算部門を切り捨てさせたり、財閥の中でも財務状況が著しく悪いものは廃業させたりして、財閥をスリム化させたのです。その際には大量のリストラが生じました。
また多くの企業が正規雇用の採用を減らし、非正規雇用増やすようになりました。その結果、韓国は、財閥に正社員として就職できればかなりいい収入を得ることができますが、それ以外の人はまともな収入を得ることができない、という状況になってしまったのです。しかも、財閥に正社員として就職できる枠は非常に狭いものになってしまったのです。
2007年には、「88万ウォン世代」という本が大ベストセラーになりました。これは韓国の経済学者ウ・ソクフンと社会運動家パク・クォンイルが、当時の若者の生活を書いたものです。88万ウォンというのは、大企業に就職できなかった若者の月収のことであり大半の若者のことです。
88万ウォンは日本円で約9万円です。もちろん月収9万円では、まともな生活はできません。結婚や出産などは夢のまた夢ということになります。そのため、今の韓国の若者は恋愛、結婚、出産を諦めた「三放世代」とも言われているのです。
しかも、韓国の若者の状況は、2007年以降もまったく改善されておらず、それどころか悪化するばかりです。昨今、韓国の若者の間では、「ヘル朝鮮」という言葉が流行しています。この言葉の意味は、そのまま言葉通りに「韓国は地獄だ」ということです。日本の若者の低収入もかなり大きな問題だといえますが、韓国の場合はそれよりもはるかに深刻な状況なのです。
韓国では若者の6割がフリーターかニート
現在の韓国では、若者の高い失業率も問題ですが、それ以上に、就業率の低さという大きな問題があります。
失業者というのは、仕事を探しているけれど仕事にありつけない人のことを指します。が、仕事を探していない人、仕事を探すのを諦めた人は、失業者の中には入りません。
韓国の若者には、この仕事を探していない人、いわばニートが異常に多いのです。反日感情を引っ張っているも、この世代だと思われます。
韓国統計庁の「経済活動人口調査」によると、若干古いデータですが2014年の韓国の25歳から29歳までの男性の就業率は69.4%に過ぎませんでした。
つまり三人に一人が就業していないのです。
今の韓国の就業事情はこの当時よりも悪くなっているので、この世代の就業率もさらに下がっていると考えられます。
この世代は、だいたい学業も終えており、兵役も済んでいることが多いので、本来はもう就職していないとなりません。
先進国ではこの世代の就業率はだいたい80%を超えるので、韓国は10ポイントも少ないことになります。
またこの数値が10ポイントも高いということは社会に与える影響がかなり大きいのです。
この数値が高いということは、「働いていない若者」が多いということです。
韓国では3人に一人の若者が働いていないのです。
先進国では働いていない若者は5~6人に一人くらいなので、ざっくり言って、「働いていない若者」が先進国の倍くらいいるということになります。
また韓国の若者は、働いている人の3割以上が非正規雇用です。
これらの状況を加味すると、韓国の若者は6割近くが非正規雇用かニートということになります。
韓国は、「異常に若者が働いていない国(働けない国)」なのです。
次回は「韓国の若者はなぜ正社員になれないのか」と追究し「韓国経済を支配する前時代的な財閥の存在」をご紹介していきたいと思います。
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