中国で相次ぐ、不当と言っても過言ではない外国人の拘束。現在も5人の日本人が満足な説明もなく収監されていますが、国内メディアではほとんど取り上げられないのが現状です。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、NYタイムズが伝えた6年間服役させられていた邦人に関する記事を紹介。その上で、腰が引けていると思わざるを得ない日本外交の弱さを疑問視しています。
中国に拘留される日本人
大手製薬メーカーのアステラス製薬社員が中国でスパイ容疑で拘束されました。
これに関連してNYタイムズが4月13日に記事を出しています。
スパイ容疑で中国に拘束されて昨年10月に帰国した鈴木英司氏に関するものです。
スパイ容疑で日本人を拘束する中国
鈴木英司さんは、スパイ容疑で中国の刑務所に6年間服役していた。氏は「日本は自分を裏切った」と言った。
中国の外国人に対する投獄を数値化することは難しいが、北京は異常に多くの日本人をスパイ容疑で拘束しているようだ。
日中友好団体の元会長である鈴木氏の場合、逮捕されたのは2016年の中国への旅行中で、1983年に初めて中国を訪れて以来、200回以上訪れていたうちの1回であった。
これらの訪問で、彼は多くの中国の学者やトップと親しくなり、李克強前首相にも2度会ったという。その後、大学で中国に関する講義をしたり、戦後の日中関係正常化に関する本を翻訳したりしている。
しかし、中国が外国人に対する警戒心を強めるにつれ、そうした人間関係や資格が彼を疑いの対象にしたと彼は言う。
日本の大学から帰国した中国人教授20人近くが逮捕されるなど、中国政府が中国に関する学術研究を統制しようとする動きを強めている中で、鈴木氏は自分が標的にされたと考えている。
鈴木さんは北京から帰国する準備をしていたところ、私服の男たちにバンに放り込まれ、7カ月間、非公式に拘束され、取り調べを受けた。
その間、部屋の電気は寝ているときも消されることはなく、太陽は一度だけ、わずか15分ほどしか拝めなかったという。
日本の領事は月に1度、鈴木さんを訪ねてきた。
しかし、彼らはほとんどサポートをしてくれなかったという。外交官の一人に、自分のことを公表してほしいと頼むと、叱られたそうだ「“これ以上有名になりたいのか”と言われました」
昨年10月、ようやく帰国した彼は、自分の拘束についてほとんど誰も聞いていないことに気づいたという。
解説
私も鈴木氏が中国から帰国したことはニュースで知っていたのですが、それほど大きな話題になることもなかったという印象です。
日本のマスコミの中国に対する忖度があったのかもしれません。
鈴木氏にすれば「北朝鮮の拉致被害者と同じようなものではないか。なぜもっと大きく取り上げてくれないのだ」という気持ちがあったのでしょう。
今回、アステラス製薬の社員の拘束で、あらためて中国に6年間拘禁された鈴木さんにNYタイムズがスポットライトを当てた形です。
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さらに記事は続きます。
先月、中国で日本の製薬会社役員がスパイ容疑で逮捕されたことで中国は再び日本の決意を試している。
中国は日本にとって最大の輸出市場であり、日本の政治家も企業も同様のケースについて発言することを躊躇してきた。
しかし、今回の逮捕は、中国にある日本のビジネス界に衝撃を与え、幹部の釈放を要求している東京からも異例の強い反応があった。
日本の外務大臣は、今月初めに北京を訪問した際に、この問題を提起したと伝えられている。
しかし、今回の事件における日本の行動は、同じような状況に直面している他の国々と比べても、はるかに控えめなものである。
解説
さらにニューヨーク・タイムズ紙は日本外務省に鈴木氏の拘束に関する質問をしたそうです。
「個々のケースの詳細については言及できないが、一般的には、拘束された日本国民に可能な限りのサポートを提供している」との外務省の返答だったそうです。
日本の外交交渉の弱さを感じます。
「外交とは右手で握手しながら左手で殴り合うことだ」との言葉がありますが、そういった感覚、日本人には苦手とするものでしょう。
記事によると中国が2014年と2015年に新しい国家機密法を導入し、スパイ行為として主張できる範囲を拡大したそうです。
そして国家機密法違反の容疑で拘束された17人の日本人のうち、製薬会社役員を含む5人が現在も収監されているとのことです。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』4月16日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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