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衝撃の「時給2万円」。それでもガイドラインに違反する神戸市いじめ調査委員会のあり得ぬ対応

先日掲載の「まるで昭和の借金取り。いじめ被害者の父親が残業の日を狙って激しく呼び鈴を鳴らした『訪問者』の正体」でもお伝えした通り、いじめの被害者に寄り添うどころか脅迫行為を行っていたことが明らかになった神戸市教育委員会。その異常性は同市いじめ調査委員会も同じく持ち合わせていたようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、いじめ被害者家族が語ったいじめ調査委のあまりにひどい対応の数々を誌上で紹介。自治体ぐるみで被害者を貶めようという神戸市の呆れた対応を白日の下に晒しています。

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自治体ぐるみで隠蔽か。被害者家族が語った神戸市いじめ調査委員会の異常

神戸市小学生いじめ隠ぺい事件の続報。

歯が取れるほど、頭を打つなどの怪我をするいじめ被害があり、これを学校も教育委員会も隠蔽、さらに二次被害を引き起こし、これを調べるはずの第三者委員会も機能不全という、神戸市で起きているいじめ隠ぺい事件。

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被害者家族は私に、こう話してくれた。

小学1年生当時から小学4年生になるまでいじめ不登校への対応がなされず、被害者の学習権だけが侵害され続けていることに、神戸市の異常さを痛感しています。学校市教委は「心配でたまらない」とでっち上げの通告まで行ったのに、その後も不登校の原因となった学校市教委からの違法行為についての調査、不登校について本人の意向を聞くなどの配慮は全くなく、通告がいじめ被害者をただ消し去ることの手段だったことは明らかです。

 

学校が、自ら不登校問題を発生させ、これに適切な対応もせず、また保護者からの質問にも答えず、膠着状態を自ら招いたにも関わらず、安易に「安否不明」として虐待通報をしたことの問題として2021年から市会議員等も関わり、市教委の問題は子どもたち全体に関わってくることなので、自分達だけの問題ではないことを踏まえて臨むように言われて、様々な犠牲を払い調査委員会への協力をしてきましたが、今その調査委員会もまた加害者となっている現実に打ちひしがれています。

―― 改めて聞いても、どこへ行っても救われないということがそもそも神戸市のいじめ対策がなっていないと思えますが、まずは重大事態いじめになるまで大変でしたよね。

(被害者家族)記事の通り、学校市教委から数々の脅迫や圧力があり、2021年3月に神戸市教育長と校長宛に「市教委と学校による違法行為」の数々についての質問書を送付しました。市教委はそれまで「学校に連絡しろ、自分で解決しろ」と言っていたのに、質問書の回答からは「今後は市教委が対応する」と言い始めました。

 

神戸市のいじめ指針には「重大事態として、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、迅速に調査に着手する」とありますが、2020年7月以来放置されました。

 

2021年11月にようやく被害児童保護者による意見陳述を行いました。

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教頭が被害社宅に送りつけてきた信じられない写真

―― 学生の期間は有限ですよね。こんなに時間をかけられると、教員側は逃げがききますね。

(被害者家族)「重大事態認定後」まもなくの2021年4月1日には、校長以外の教頭や担任などの事件関係教職員がなぜか全員異動となり、翌年度には校長が表向き「退職」し(実際は教育委員会付となっていると聞いています)、さらに驚くことにこの2023年4月には、嘘をつきいじめを放置し続けた教頭が、処分を受けるどころか他の市立小学校の校長に昇任しています。元教頭は、息子が登校できず心身症状が出ている事を知りながら「早く出てきた方が良い」とか、すでに欠席届を提出しているのに「給食をとめるかどうか」等、とんちんかんな発言を繰り返していました。

 

元校長は、代理人として弁護士がこちらに就くまで、開示しなければならない学校評価制度のアンケートを被害者からは取らず、結果も知らせない、わが家にだけ「全市対象」の全保護者に対して行うべき案内を配布しない、配布すべきタブレット端末も配布しない等、極めて悪質な不当行為を被害者家庭に続けました。

 

その後も加害児童達が楽しく学校生活を送る写真を送付してくるなどの嫌がらせが止まないため、現在は学校からの送付物も代理人宛に送付されている状態です。

―― 元教頭…。あまりに不登校への理解がないというか、逆効果な対応をしてきたわけですね。残念な人ほど出世してしまう、一般社会でもアルアルですが、異動も考えると、逃げ得をしようとしたとも思えますね。

(被害者家族)2021年5月、面談で教育委員会は「不登校への教育委員会の対応の問題については、対象となるかは調査委員会次第」「調査委員会第1回か事前準備段階で保護者の話を伺う場を設ける。そこで目的の共有化をはかる」とはっきり回答しました。

 

2021年11月、教師の不適切指導やいじめへの対応、登校圧力、教育委員会事務局からの家庭への脅迫行為の内容、元校長の就任より当該小学校に不審な多くの児童転出が見られること、いじめは上級生からも行われて目撃者もいることなどの意見陳述を行い、そこで調査委員会と目的の共有化をはかりました。

 

しかしそれも嘘で、私たちは調査終了まで本当の調査目的を開示されないまま、調査に協力させられ、証拠を提出することになりました。

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いじめ調査委員会が「証拠より重視する」と言い出したもの

―― 本当の目的とは、どんなことでしょうか?さすがに、ここまで不誠実だとは思いませんでした。

(被害者家族)調査開始まもない2022年2月、嘘しかつかない学校側職員への聴き取りと被害者側への調査ばかりで、加害児童への調査について一切言及されないことについて不信に思いました。

 

2022年5月には、調査委員会より「調査は一通り終わった」と報告され、「公的な調査だから被害者ヒアリングは義務である」かのような嘘の説明による圧力や、なんと「証拠よりも現時点の発言を重視する」と信じられないような事を言われ始めました。

 

メモ1枚でも当然に証拠になるし、証拠だけでもいじめの認定をしなければならないにも関わらず、まるでそれが本人面談をしなければ認定できないかのような提示をしてきました。

 

調査委員会は「学校・教育委員会関係のヒアリングは終わっている」としていながら、その手法については被害者の同意が必要なのに、これまでその要望聴き取りもなく、一切の報告がない、ここまでガイドライン無視の調査を行うことに、ただただ驚きました。

 

2022年6月に委員長と弁護士による被害児童保護者への最後のヒアリングが行われましたが、まるで自分たちが裁判官のようなふるまいで、警察の取り調べのようで非常に苦痛でした。自分達は取り調べのように質問をしてくるのに、こちらが調査についてこれまで行われていない報告について「いじめの加害者と保護者への聴き取りも済んだのか?」等質問しても答えず、無視されました。

 

ここで、いじめの調査をしていないこと、市の調査委員会であるにもかかわらず、学校内で全く本事案について問題にせず、被害者だけが調査対象となっていることを確信しました。そして本人の聴き取りが必要だと押しつけ、被害児童本人の面談なのに「今ここで親が決めろ」とまで言われました。

 

集団いじめについても言及すると、調査開始前から言っているのに、調査委員会の弁護士は、さも聞いていないかのように「それはヒアリングの対象になり得る。名前を教えろ」などと信じられないような発言がありました。それを調査するのが調査員の仕事だし、調査していないことを露呈させました。いじめの認定に必要な詳細は、提出書類にきちんと記載してあるのに、事実と異なることを口にしたり、文書すらきちんと読んでいないことが窺えました。

 

非常に不安を感じ、被害児童本人は調査員と面談できる状態にないことを説明すると「病院に行っているのか」などと聞いてきたり、とにかく自分たちのやり方を通す姿勢や、被害者の意見を聞く態度が全くないことに、このような調査委員と子どもが話をできるわけがないとしか思えませんでした。

 

どのような調査を行っているか分からないような調査委員会と、無条件に子ども本人を面談させられないため、中間報告を行うように求めました。

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被害者の代理人宛に届いたあり得ない内容の文書

―― 中間報告は被害者に寄り添うという、いじめ防止対策推進法の理念と根幹にかかわることです。だから、どんな委員会でも中間報告を丁寧に行い、調査精度を含め、よくよく吟味するはずなのですが…。

(被害者家族)22年7月、なんと「報告書は被害者側へは見せずに市教委に提出し、中間報告も拒否する」という文書が代理人宛に届きます。本調査委員会は、被害者へは何の開示もせず、報告書の説明もせずに、市教委に提出したものを見ろと回答し、このまま終了させようとしていました。第三者委員会としてありえない対応です。調査に不足があれば、第三者委員会に責任を言い渡された判例もあります。

 

高額な報酬が、ただでさえ加害当事者である神戸市教育委員会から調査委員に支払われている上に、委員長は市の講師や委員を多数歴職しており、他の委員についても不審な点が見つかり、調査委員への中立性はいかに調査されて決定したのかと思いました。

 

このような文章を被害者側に送りつけて来ることに、家族一同、大変な驚きとショックを受けていること、調査がガイドライン違反であること、いじめを受けて2年間経つのに、未だ学校がどのような対応をとったのか報告がないこと、本人は何もしていないのに一方的に殴られたり、いじめを受けており報告は当然の要望であること、いじめの被害者が2年間放置された状態であるということは、いじめ行為を訴えたにもかかわらず、自分の話を大人の代表でもある教職員が無視を続けたことを意味し、不信感があり本人が面談をできる状態になく、ガイドラインに従い中間報告を行うことを再び求めました。

―― 神戸の第三者委員会の報酬は他所と比べると破格で、時給2万円とも言われていますね。地域によっては、およそ15倍以上の報酬であるのに、この対応では、信託した側であろう市議会も市民も裏切っている状態ですね…。そしてガイドライン違反、何度被害者を貶めれば良いのだと思えてしまいます。

(被害者家族)2022年10月、中間報告もないまま4カ月も放置されたあげく、また前回の文書と同内容の「保護者が児童に面談させない」旨の文書が代理人宛に送付されてきました。

 

こちらは本人への聴き取りについて拒絶は一切しておらず、環境が整っていないので整えてほしい、そして子どもの人権や心情等を配慮してほしいと、これまで再三に渡ってお願いしてきたこと、中間報告の必要性の説明、調査委員会に被害者側にも個人情報があり、保護されなければならないということの認識が見られないため、被害者側にも人権があるので、人権配慮の中で調査を行うよう伝えました。

 

調査もさることながら、とにかく「いじめ被害者を徹底的に守る」という姿勢が全くないため、何度も同じことの説明をさせられてきました。

 

2023年1月に行われた報告会では「委員会としての結果は固まっている」と繰り返し、明らかに報告内容の事実がおかしいため、その場で指摘をしましたが、無視され「この素案を2月にまとめ3月末に提出する」と言われました。当初より、自分たちのスケジュールばかりを通そうとしていました。

 

報告会は、文書で報告することもせず、都合の悪いことを聞こえにくくさらさらと口頭で説明して被害者にその場で必死に書き取らせるなど、悪質としか言いようのない対応で、ただ憤りを感じました。都合のよいことだけを説明し、今後のスケジュールについてもこちらから尋ねないと答えませんでした。

 

被害者に拒み続けた中間報告等は、委員長、副委員長や代理人の三者で22年の2月には済んでおり、その時にこの委員会の調査の方針、調査対象等の説明をしたと説明されました。

 

報告された内容は、初期段階で報告可能な内容であり、これまでの教育委員会の言い分と同様であり、こちらから提出した書類、証拠、発言は無視されていました。

 

調査はほぼ終了したと語っていた夏には6回ほどの調査委員会開催でしたが、その後10回ほど開催し、1月時点で15回目にもなるというのに、聞き取り等にはほとんど時間をかけずに何を議論しているのかと思いました。

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いじめ調査委員会が被害者家族に隠し続けてきたこと

―― これは…なんとも酷いですね。子ども1人で複数人の大人で、あまり思い出したくはないいじめについて根掘り葉掘り聞こうというわけで、子どもからしたらこれがトラウマになりかねない。そういう配慮もなく、今度は聞き取り拒否を調査をしなければならない側が主張するなどもってのほかです。そして、さらに「アレ」が発覚するわけですね。

(被害者家族)はい、この日唯一配布された紙「神戸市教育長から委嘱を受けた重点調査事項」について、初めて内容を知りました。市教委から委嘱を受けた内容が2つしかないことを。

 

調査が終了したという今、本日初めて被害者に説明し、情報を聞き出すためこれまで伏せていたその悪質さに言葉を失いました。面談では「どこまで調べましょうかね」などと語ったり、調査内容が極めて限定的であることなど微塵も見せなかったからです。

 

「いじめ防止対策推進法第28条第1項 いじめの定義 に 則っていて 当該児童に関する いじめの客観的な評価の認定」を、調査委員会の方でより具体的にしたものが配布したものだと説明され、市教委からは「いじめ」とされているが、調査委員会がいじめの内容を勝手に2つに限定し、他は調査しないことにしたということが判明しました。嫌がっていたクラスメイトからのメッセージ等も提出してありますが、なぜか極めて限定して調査を行ったのです。

 

学校、教育委員会の非違行為についてあれだけ初めに説明し調査するよう訴え、協議したにもかかわらず、調査するつもりは初めからなく、それを被害者サイドには隠していたことになります。また、この日も学校がどのような対応をしたのかについて一切説明はありませんでした。聞き取り調査対象についても他にもいるが伏せている様子も見られました。

 

被害者家庭には執拗に家族全員の面談を求めてきましたが、やはり加害者の保護者へは聞き取りすら行っていませんでした。

 

代理人が「最初に学校市教委による不適切な対応について調べるように言った」と語るも「その辺は当委員会の意見として記載してゆく」というような回答で、「結論は固まった」「これは方針」と一切意見を聞くことはありませんでした。私たちがいかに法令遵守を求めても、憲法・法令・ガイドラインを守るものだという認識がない態度は、教育委員会と同じでした。

 

本当に1年以上を無駄にし、こちらだけが負担をかけられたのだと理解し、怒りしか湧いてきませんでした。

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平然とガイドラインを破り続けるいじめ調査委員会

―― つまり、そもそも答えがあって、それに引き寄せて調査をしたとも言えてしまいますね。そもそも本人聞き取りなどしようとも思ってなかったと言えますね。

(被害者家族)ガイドラインは、アンケート等を行う際に被害者への事前説明を求めていますが、教職員にアンケート等を勝手に行い、そしてその内容も知らされていません。

 

本人聞き取りは、もはや不要と拒否されました。

 

報告を受けて、2月に第三者委員会委員長宛に以下を問いました。

 

  • これまで国のガイドライン(指針)に沿った対応を求めてきたが、拒絶されるなどのハラスメントを受けて精神的苦痛を負っていること
  • 本人はいじめられたことに加え、絶対に助けてくれると思った先生達や校長、市教委に助けてもらえず、そして今、きちんと調査してもらえると信じていた調査委員会が、ウソばかりの調査報告書を勝手にまとめようとしていたことに大きなショックを受け、学校教育へのさらなる不信感へとつながってしまったこと
  • いじめ防止対策推進法に基づき文部科学省作成の指針は、「重大事態」と認定されたいじめを調査する際、被害者側の意向を十分に踏まえるよう求めているが、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢に、不信感を募らせていること
  • 「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の遵守必要性についての説明。最高裁判決により「いじめの防止等のための基本的な方針」や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が定める調査手続が遵守されなかった場合、十全な調査がなされないことから、調査結果の調査(再調査)の対象となりうること
  • 調査として、不登校といじめ、学校市教委からの度重なる非違行為との因果関係が全く検証されていないことに大変憤りを感じる。これは調査の放棄とも言える。度重なる報告の求めを拒否し、被害者に真偽の確認もせず、違法な対応を続けた学校市教委からのヒアリング内容だけで嘘の報告書を作成するとはどういう調査なのか
  • いじめ事件における第三者委員会というのは、いじめ防止対策推進法に基づいて運営されていくべきで、いじめ防止対策推進法は、その名の通りいじめの発生と再発の防止が最大かつ唯一の目的であり、第三者委員会もいじめ被害者の立場に立って行う大前提である
  • 再三に渡り、子どもの今後に向けて学校においてどのように調査対応したかを報告するよう求めてきたが、今日に至るまで息子の訴えは無視され、未だに学校がどのような対応をしたのかすら分からないままであること
  • 初めから確認している通り、質問書の内容については「調査委員会の報告書で回答する」と市教委が約束しているのだから調査する義務があるが、本調査委員会は当初より、被害者に対して開示すべき情報を隠し、事実ではないことを自分たちの意見のみで判断して最終報告書まで提出する予定であること
  • 担任は、いじめと不適切指導により欠席を余儀なくされた直後に、同級生に対して「家の都合で休む」と嘘の説明をしているが、十分な調査も行わないのに、このような発言をしない義務を負っていたこと
  • 学校の教諭らについては、重大事態としての調査を行わなかったこと、校長と教頭、担任、市教委は職務上の義務に反し、違法になること
  • 特に市教委は、重大事態としての調査を怠り、調査の必要性を学校の教諭らに指導しなかったことは職務上の義務に違反する上、その後被害者家庭に対して脅迫行為を繰り返した。こうしたことから、不登校に対して適切な措置をとることが妨げられ、校長や教頭、担任の発言で事態の早期の沈静化を妨げた。そのことが、問題が複雑化・長期化し、長期間の不登校になった。それが「現在もいじめられたとの記憶や大人への不信感に苦しんでいること」の大きな原因となっていること
  • 「調査を怠れば違法」と司法は明言しており、また、教員の「いじめはない」という発言が違法になること、校長は調査もせずに「本校でいじめはありえない」と発言した。休む必要がある子どもに休養すら許さず、自らは法に反し調査すら行わず、登校だけを強要されて息子はさらに傷つき、復学どころではなくなってしまった。子ども自身の「自立」すら奪ったこと
  • 文部科学省も県も「これからの教育は、不登校生に対して学校復帰よりも自立を優先させる」という教育方針であること
  • これまでの議事録の開示を求める
  • 第三者委員会による調査を求めたのは、自分たちのためだけではなく、神戸市ではいじめによる自死が多発し、同じようにいじめで苦しい思いをしながら声をあげられずにいる人たちのためにも「二度と同じことを繰り返さないために、今後に生かしてほしい」という思いからであること

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報告書で明らかになった、学校がいじめの対応をしなかった理由

―― 確かに神戸市の事案は他所と異なり、頻発していて、露骨な隠蔽が多いと感じています。それに、記事にすればするほど、私も被害を受けましたという連絡が来ますから、頻発するように見えている件数自体が実は氷山の一角だとも考えられます。そもそも市教委自体がやる気ないというか、改善する気もないと思えてきます。

(被害者家族)私たちからの問いに調査委員会が答えることはなく、今月になり、調査委員会より市教委に提出する報告書を年度内に完成した、議事録の開示は自分で行えと連絡がありました。内容としては、やはり嘘の列挙と、調査自体の内容や対象などが曖昧で調査不足としか言いようのない報告書でした。

 

神戸市教育委員会は、加害者・裁判所も認めた17年前のいじめを未だに認めず、いじめ調査文書も隠蔽していました。その他の事案においてもメモ等の隠蔽が報道されています。そしてまた今回、本事案においても幾度も神戸市教委が行ってきたいじめアンケートの隠蔽が明かされました。何のためにアンケートはあるのでしょうか。

 

調査委員会はなぜ、すぐ報告をしなかったのか、そしていじめの調査をきちんと行わなかったのか、怒りしかありません。

 

息子はアンケートや口頭で何回も先生に助けを求めていましたが、無視され、今までその事すら保護者にも隠し続けられてきました。

 

報告書では、学校がいじめの対応をしなかった理由について「教員達が忙しいから」と目を疑うような記述がなされていました。いじめを「児童間のいざこざ」とし、当該校では教職員が校務分掌により多忙であり、対応できないことを是とするような印象すら受けました。どこの教職員も複数の校務分掌を受け持ちながらも、ひとたびいじめが発生すれば速やかに被害加害両者に対してきちんと対応を行っているのです。

 

いじめ対応をできないような学校を運営しているのであれば、当然に市教委に責任がありますが、そうした事への追及もなく何の意味がある報告書なのでしょうか。

―― 本人聞き取りを調査側が拒絶しているのですから、それ自体でもはや調査不足になるのは火を見るより明らかですね。さらに第三者委員会の設置者が調査対象であって、隠蔽の実行をしていたとすれば、もはや救いようがありません。

(被害者家族)息子が登校できなくなり2年近く経過した頃、小学校では急に保護者会が開かれいじめアンケートを取られ、不審に思った複数の学校関係者から、あなたたちは知っているのかと連絡がありました。調査は終了したと言いながら、こちらから報告を再三求められ、調査委員会は慌てて1年経とうという時期に初めて、学校の保護者に何らかの説明を勝手に行い、調査を行ったのです。

 

中間報告を求めて4カ月も 放置された期間がありましたが、その期間に自分たちの保身のためだけに勝手に調査を行い、その事実は報告書にも一切記述せず、そしてその事はずっと私たち被害者本人には伏せられています。このような調査報告書の何を信用できるのでしょうか。

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被害者家族を分断し周囲の人間のコントロールをも試みる神戸市教委

―― 信用できないし、報告内容自体に証拠価値は薄いし、そもそもこの第三者委員会の根拠となるいじめ防止対策推進法を冒とくしているとも言えますね。改めて、聞いて、その酷さが臭ってくるほど、酷いと思います。最後に、読者の皆さんに何か伝えたいことはありますか?

(被害者家族)神戸市教委による被害者は、徹底的に家族を分断され、それでも対象者をコントロールできないと分かると、今度は被害者に対する周囲の人たちの見方考え方をコントロールされます。被害者たちが連携して声を上げてゆく必要性を強く感じています。>

―― ありがとうございました。

いつ同じ立場になってもおかしくない日本全国の子を持つ親

ハッキリ言って、いじめの被害は被害者の落ち度などはなく、加害者の選択に過ぎない。神戸市小学生いじめ隠ぺい事件も同様、被害者に落ち度は1つもない。無さ過ぎたから、嘘をつかざるを得なくなって、結局、証拠よりも嘘の証言に重きを置くという、意味不明な説明を第三者委員会がしたわけだ。

お子さんがいる親世代の方々、気が付いてほしいのは、いつあなたが同じ立場になるかわからないということです。そして、現対応が是とされる限り、改善の余地はありません。

成功している地域をモデルとしても、その中心にある志と理念がなければ、必ず同じ過ちを犯すはずです。いじめ対策は、仕組みも大事だが、それを使う側の理念と志が何よりも大切です。

これは私の勝手な思いですが、本件、神戸市小学生いじめ隠ぺい事件は、首長による第三者委員会を早急に組織し、前任調査の在り方の検証を含め、直ちに改善をしなければならないと思います。

事件は議会でも起きているかもしれないが、本当の被害者と加害者がいるのは現場です。現状も理解できない、把握を紙の上でしかしてない為政者は、ハッキリ申しあげて偽物のなんちゃって大賞だということを忘れないでもらいたいし、公務員が罰則がないからと法を守らず、中立公正なはずの存在が、嘘をついたと感じさせたらそれこそ役不足ですし、嘘をついたら、存在意義を失う以上の異常事態です。

さらに神戸市については、調べを進めたいと思います。

また、同様被害に遭われている方などいましたら、メッセージを頂けたらと思います。

 

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image by: 神戸市

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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