世襲議員「増加」の悪影響も。導入から30年を迎える小選挙区制の功罪を総括する

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さまざまな議論と各政党間の調整の末、それまでの中選挙区制から小選挙区比例代表並立制となった衆議院の選挙制度。導入からおよそ30年、細川政権による「政治改革国会」で成立した同制度は、日本の政治を「改革」するに至ったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、先日から始まった選挙制度改革の功罪を検証する協議会における、細川護熙元首相と自民党の河野洋平元総裁の発言を紹介。その上で、彼らの言を引きつつ自身の小選挙区制に対する評価を明らかにしています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年7月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

小選挙区制は日本の政治を「改革」できたのか。導入30年を総括する

1993年春の「政治改革国会」で、従来の中選挙区制を小選挙区比例代表並立制に改めることが決まってから30年が経ち、与野党6党からなる「衆院選挙制度のあり方に関する協議会」でこの選挙制度改革の功罪を検証する議論が始まっている。6月19日には自民党の河野洋平=元総裁、26日には細川護煕=元首相を招いて意見を聴いたが、河野が小選挙区制そのものに強い疑問を述べたのに対し、細川は肯定的な評価を語った。

この協議会は、衆議院の選挙区を「10増10減」した公職選挙法改正に当たりその附帯決議で設置が決まったもので、直接には、2016年から導入した「アダムズ方式」と呼ばれる議席配分の方法が「1票の格差是正」の目的に適っているかどうかを議論する場ではあるけれども、現行制度を前提とした上での微調整的な是正では到底対処しきれないことは自明で、どうしても選挙制度そのものの抜本的な再検討に行き着かざるを得ない。

とはいえ、各党の関心の置き所はバラバラで、維新は議員定数の削減を最重点とするのに対し、公明は小選挙区を減らして比例の定数を増やすと言い、共産はもっと極端に小選挙区を廃止し比例代表のみにすべきだと主張する。また国民民主は、そのような大きな組み換えよりも現行制度の中での「比例復活」の仕組みを再検討することを優先する考えのようで、この様子では何年かかっても結論は得られそうにない。

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