労働者の生活が豊かになること、すなわちアメリカの繁栄だとフォードは信じていたのも事実です。彼は言っています。
「私たちが繁栄しているから自動車を持てたのではない。私たちは、自動車を持っているからこそ繁栄したのだ」
自動車産業の興隆イコールアメリカの繁栄だと信じて疑わなかったのです。フォード・モーター・カンパニーは20万人を超える従業員を抱えるエクセレントカンパニーとなりました。
それでも、永久に続く繁栄などありません。フォードの凋落は、皮肉にもT型フォードが売れすぎたがために始まりました。全米に自動車が普及し、市場は飽和状態になります。すると、T型フォードは消費者から飽きられてゆきました。頑なにT型フォードを生産し続けるフォードに対し、ゼネラルモーターズは製作したシボレーのモデルチェンジを毎年繰り返しました。
T型フォードはシボレーに押され、1927年、ついに生産中止になりました。そして試行錯誤の末、同年の12月A型フォードを生産、ゼネラルモーターズに倣って毎年モデルチェンジをするようになります。
ビジネスに競合はつきものです。自動車黎明期にはガソリン車が勝利しましたが21世紀はどうなるのでしょう
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